吉田義人(ラグビー指導者)<前編>「音も楽しむ飲みニケーション」

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二宮清純: 今回はラグビー日本代表のウイング(WTB)として大活躍し、W杯2度出場の吉田義人さんをお招きしました。雲海酒造の本格芋焼酎『木挽BLUE』を飲みながら、ラグビー談義といきましょう。まずはロックで。

吉田義人: いただきます。スッキリしていますね。好きな味ですね。まず香りがすごく良い。スッキリしているけど、後味はガツンとくる。

 

 

 

 

二宮: 飲み方はロック派ですか?

吉田: やっぱり焼酎はロックで飲んだ方がいいですね。なぜロックが好きかというと、話しながら飲んでいると氷が解けてくる。その音が良い。これが心地良いんです。僕は人とのコミュニケーションは五感だと思うんですよ。雰囲気や匂い。お酒はすごく重要な要素になりますよね。グラスも好きで、氷がカランと鳴る音を楽しむんです。

 

二宮: スポーツも音やリズムが大事ですよね。ラグビーではスクラムを組む瞬間、良いチームは音を出さない。スッと入ると言われています。

吉田: その通りです。タックルを受けてもそうですね。レベルの高いチームのタックラーは、心地良いタックルがくるので、こちらも“参りました。ナイスタックル”と思える。意識の低いチームとやると、予想していない状況からタックルをしてくるのでケガをしちゃうんですよ。

 

二宮: 相手からすれば、吉田義人を倒せば一生自慢できますからね。

吉田: 大学時代には腕に頭から突っ込んでこられて、ケガをしたこともありますよ。意識の低いチームは怖い。レベルの高い者同士であれば、危険なプレーやケガをしちゃうプレーが皮膚感覚でわかる。トップ選手のタックルはきれいに入るので、逆に心地良いくらいです。

 

 V9帝京大の強さ

 

二宮: 大学ラグビーでは帝京大が全国大学選手権で前人未到の9連覇を達成しました。吉田さんの母校・明治大を破っての大記録。まず帝京の強さはどんなところに感じますか?

吉田: まず基礎要素がしっかりしていますね。高校時代にキャプテンを務めたり、全国大会で好成績を収めた選手たちが入学しています。大学日本一は岩出雅之監督の下、先輩たちが脈々と良い血が継承している。先輩たちが背中を見せて、率先垂範してやっている。これはもうなかなか崩れないですよね。

 

二宮: 岩出監督は「風土を変えた」とおっしゃっていました。

吉田: 勝つべくして勝つチームなんです。“これをしっかりやっていれば勝ちはついてくる”と選手たちも信じている。日々の自らを律することをしっかりできないと邪心が出てきます。でも間違った方向にいかないように、リーダーがものすごくしっかりしているのが強みですね。

 

二宮: 吉田さんの母校である明治は19年ぶりの決勝進出でした。トータルスコアでは20対21の惜敗でしたけど、元日本代表のフルバック(FB)今泉清さんは「勝つための文化がなかった」と述べていました。

吉田: その通りだと思います。僕がターニングポイントに挙げるのは後半開始早々のプレーです。前半をリードして終えて、トライを取って突き放す絶好の機会でペナルティーゴール(PG)を選択したことです。僕がキャプテンであれば、トライを取りにいくところ。2トライ2ゴールでも追いつかないスコアにすることで帝京は焦るはずなんです。ダメージの大きさも考えると、あのシチュエーションではとことんやっつけなければいけないんです。

 

二宮: チャンピオンではなくチャレンジャーという立ち位置ですからね。攻め続けなければいけなかったと。

吉田: そうなんです。帝京にとってはPGの3点で済んだのでまだ冷静さを保てました。3年前のラグビーW杯イングランド大会では日本代表のキャプテンのフランカー(FL)リーチ・マイケル選手が南アフリカ戦で試合終了間際に相手の反則を受け、スクラムを選択したシーンがありましたね。エディー・ジョーンズHCは「ショット(PGを選択)しろ」と指示を出していました。だけどリーチ・マイケル選手はキャプテンとして戦っていてわかるんですよ。彼は“絶対にいくしかない”ということで、自分で判断した。そしたらトライを取って、大逆転ですから。

 

二宮: 日本代表のロック(LO)真壁伸弥選手は「レフェリーのスクラムを告げたのはリーチだけど、あれはFW全員で決めたこと」と話していました。

吉田: ただ現場で判断したことなので、あれが明治としてのベストチョイスだと思うんです。ただ自分がキャプテンだったら、違う選択をしていたかなと。

 

二宮: 前半9分には帝京はシンビン(10分間の一時退場)を受けて1人少ない状況になりました。

吉田: 帝京は1人少ないことに対する危機管理能力が高かった。だから明治はものすごくプレッシャーを感じたんじゃないでしょうか。帝京にとって幸いWTBの選手だったので、ディフェンスの上ではカバーできる。アタック面では当然不利になりますが、トライを防ぐ配置はつくれます。

 

二宮: リスクマネジメントを含め、帝京の方が一枚も上だったと。

吉田: 帝京には連覇してきた自信があり、明治には優勝から遠ざかっている分の不安もあった。そこに大きな違いがあったのかもしれませんね。

 

 2019年W杯、ベスト8は当然

 

二宮: 日本代表に目を向けると、自国開催のW杯が来年に控えています。ジェイミー・ジョセフ体制となった日本代表をどう見ていますか?

吉田: 僕はね。時間との闘いだと思います。監督は自分の色を出すのは当然。エディーはエディーのスタイルがあり、ジェイミーが引き継いで自分の色を出して段々浸透していきました。あと1年半は時間との闘い。“間に合わせてくれ”という思いしかないです。

 

二宮 まだ1年半あるのか、もう1年半なのか……。

吉田: ジェイミーの良いところは、選手に自律を求めること。ニュージーランドのトッププレーヤーたちはそうやって育ってきている。ラグビー選手、1人の人間としてこうあるべきだと。だから、ジェイミーも選手たちへの要求は高い。ジェイミーは日本のトップリーグでプレーし、日本代表も経験しているので、日本人のことをよくわかっている。ただ就任1年目はジレンマがあったと思います。

 

二宮: ジレンマとは?

吉田: キックを戦法に取り入れたことです。ニュージーランドの選手なら、キックを戦法に取り入れたらゲームの中でコーディネートできる。アンストラクチャー(互いの陣形の乱れた状態)というものをつくり、それに対する攻防でどうするべきかを理解している。でも日本人は違う。だからうまくいかない時期がありました。評論家の人たちから「キックを使うべきではない」「エディーのようにボールを繋いでいくべきでは?」という声もありましたが、僕は間違った戦術・戦略を立てているとは思わなかった。キックを有効に使うのは当たり前で必須なことです。

 

二宮: キックは大きな武器だと?

吉田: そうなんです。僕も日本で子どもたちに指導する機会がありますが、キックはほとんどできないです。

 

二宮: サッカーでキックを磨いた選手は多いですよね。

吉田: キックでひとつの戦況を劇的に変えられる。トライの演出もできる。すごく大事な要素をジェイミーは思い切ってやろうとした。トニー・ブラウンというアタックコーチを参謀役に置いた。浸透するまでには時間がかかりましたが、今はだいぶ良くなっている印象があります。

 

二宮: 飛び道具も必要ですよね。

吉田: エディーはボールを保持して「攻撃は最大の防御」というラグビーでした。ジェイミーはそれを継続しつつ、キックを有効にどう使っていくかがカギを握る。これはベスト8へ行くためには絶対必要な要素です。パス回しだけで突破できるほど生易しい相手ではない。日本代表がベスト8にいくのは当たり前。自国開催なんだからベスト4、その先の決勝へいってやるぞというくらいの気概とチーム力をつけないとW杯で日本中を歓喜と熱狂させることはできないでしょう。

 

二宮: ベスト8が当たり前。それほど期待は高いと。

吉田: 前回は3勝しながらベスト8に行けませんでしたが、今回は可能性が高いと見ています。なぜならジェイミーは外側を使う戦術を用いているからです。前回のW杯は得失点差で次に進めなかった。なぜかと言うとトライが少なかった。ジェイミーの志向するラグビーでは、WTBなどのフィニッシャーがキーマンです。イングランド大会では山田章仁、福岡堅樹、松島幸太朗ら4試合で1つずつしかトライを取れていない。僕が宿澤広朗監督の時には「エースの吉田に集めろ」というラグビーでトライを量産することができた。WTBの選手が1試合1つ取ることは当然だと思っています。

 

二宮: フィニッシャーの責任だと?

吉田: そうです。今は外側にスムーズにボールを運べるようになっているのでトライチャンスも増えていくと思います。

 

 全てが見本のミスターラグビー

 

二宮: 吉田さん2度のW杯を経験されています。やはり特別な舞台ですか?

吉田: そうですね。今では7人制が正式種目になりましたが、我々にとってはオリンピックもない時代でしたから。

 

二宮: 初勝利を挙げたジンバブエ戦では2トライを挙げました。

吉田: 当時は宿澤さんが監督で、キャプテンは平尾誠二さんでした。2人とも50代前半で亡くなってしまいました……。

 

二宮: そうですね。私は携帯電話のアドレス帳に入っている2人の番号はいまだに消していないです。平尾さんにはどんな思い出が?

吉田: 海外遠征行く時に平尾先輩と同部屋でした。平尾先輩からはグラウンド上でもリーダーとしてどう振る舞うかを学ばせてもらいましたが、私生活でのオンとオフの切り替えもとても参考になりました。いろいろと遊びにも連れていってもらいました。

 

二宮: 平尾さんはダンディーでしたね。

吉田: 平尾先輩は着ているものからすべて輝いて見えました。僕にとっては素晴らしい大先輩。日本のトップを究めているミスターラグビーです。すべてにおいて見本だった。本当にカッコ良かったです。下着もカッコ良かった。平尾先輩はランバンでした。

 

二宮: 「本当のオシャレは下着から」と言いますね。

吉田: 僕も伊勢丹に勤めていたので、「平尾先輩、流石だな」と思ったんです。あとはマッチをトイレに持っていって、用を足した後は1本擦る。

 

二宮: ジェントルマンですね。留学経験のあるイギリスで覚えたんでしょうね。

吉田: このように平尾先輩との思い出はたくさんありますね。

 

二宮: 思い出話は尽きませんが、このへんでハーフタイムとしましょうか。次は『木挽BLUE』の水割りでいきますか?

吉田: 僕はロックが好きなので、このままでいきましょう。

 

(後編につづく)

 

吉田義人(よしだ・よしひと)プロフィール>

1969年2月16日、秋田県男鹿市生まれ。秋田工業高校で全国制覇。明治大学でもキャプテンとして大学選手権優勝。明治大学卒業後は伊勢丹でプレー。98年、筑波大学大学院卒業。世界選抜チーム選出3度、ワールドカップ出場2度。現在は一般社団法人日本スポーツ教育アカデミーを設立し、理事長に就任。スポーツを通しての将来の人材育成に力を注いでいる。7人制ラグビー専門チーム「サムライセブン」の代表兼監督を務め、ラグビーワールドカップ2019神奈川県・横浜市特別サポーターとしても活動中。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回、吉田義人さんと楽しんだお酒は芋焼酎「木挽BLUE(ブルー)」。宮崎の海 日向灘から採取した、雲海酒造独自の酵母【日向灘黒潮酵母】を使用し、宮崎・綾の日本有数の照葉樹林が生み出す清らかな水と南九州産の厳選された芋(黄金千貫)を原料に、綾蔵の熟練の蔵人達が丹精込めて造り上げました。芋焼酎なのにすっきりとしていて、ロックでも飲みやすい、爽やかな口当たりの本格芋焼酎です。

 

提供/雲海酒造株式会社

 

<対談協力>
TORYU 鉄板焼き鳥
東京都新宿区荒木町16 エスペロビル102
TEL:03-6274-8949
営業時間

平日・土曜日:18:00~26:00(L.O.25:00)

日曜日・祝日:17:00~24:00(L.O. フード23:00/ドリンク23:30)

不定休

 

☆プレゼント☆

 吉田義人さんの直筆サイン色紙を本格芋焼酎『木挽BLUE』(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はこちらのメールフォームより、件名と本文の最初に「吉田義人さんのサイン色紙希望」と明記の上、下記クイズの答え、郵便番号、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)を明記し、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストをお書き添えの上、お送りください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は3月8日(木)。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。

 

◎クイズ◎

 今回、吉田義人さんと楽しんだお酒の名前は?

 

 お酒は20歳になってから。

 お酒は楽しく適量を。

 飲酒運転は絶対にやめましょう。

 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

 

(写真・構成/杉浦泰介)

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