四国アイランドリーグPlusは30日、都内で会見を開き、11月4日から10日間の日程で高知でウインターリーグを開催すると発表した。国内外問わず、80名の選手を募集して4チームをつくり、9試合を実施する予定。ウインターリーグは選手が自身のレベルアップや、メジャーリーグなどに売り込む目的で中南米を中心に開催されているが、日本で行われるのは初めてとなる。会見に臨んだアイランドリーグの田室和紀専務理事は「アイランドリーグのみならず、他のリーグやNPB、MLBのスカウトの皆さんにも集まっていただき、選手発掘の場にしてほしい」とアピールした。
(写真:日本初の試みに意気込むリーグ各球団の代表者たち)
 来季、創設10年目を迎えるアイランドリーグが新たな挑戦をする。
 2005年に誕生した同リーグは選手育成と地域貢献を両輪に、野球をする若者のチャレンジの場として四国で活動を続けてきた。育成面では1年目から毎年、所属選手をNPBに送り込み、ドラフトを経ずに入団した外国人や元NPB選手の復帰も含めると、その数は39名にのぼる。その中には今春のWBC日本代表に選ばれた角中勝也(千葉ロッテ、元高知)など1軍で活躍する選手も出てきている。

 しかし、次の10年に向けてリーグを発展させるには、単に日本のNPBへ人材を供給する場だけでなく、その役割に広がりをもたせる必要がある。そこで浮上してきたのが「国際化」だ。リーグではこれまでもカープドミニカアカデミーや、米独立リーグの外国人選手を受け入れてきた。アレッサンドロ・マエストリ(元香川)のように結果を残し、オリックスに助っ人として途中入団したケースもある。

 今回スタートするウインターリーグでは、アイランドリーグ以外のリーグ、NPB、MLBのスカウトにも声をかけており、そこで国内の選手も海外の選手も試合を通じて、日本と世界へ自身をアピールできる。「日本の選手が世界でチャンスを広げ、世界の選手が日本でチャンスを広げる。リーグとしても地域から世界へ、と次のステージを目指すチャンスになる」と会見に出席した徳島球団の坂口裕昭社長は期待を寄せた。

 参加選手は18歳以上であれば国籍は問わず、ウインターリーグの特設サイトを通じて申し込む。参加費用は21万円で、アイランドリーグの選手も希望すれば参加可能だ。既に元NPB選手、北米やヨーロッパなどの選手に参加を打診しており、今後はオーストラリアなどにも呼び掛けていく。定員は80名で応募が多数の場合は、運営サイドで選手を絞り込む。

 期間中、選手たちは四国最南端の足摺半島に位置する土佐清水市内のホテルに宿泊し、四万十スタジアム、大方球場、土佐清水総合運動公園の3会場で、4チーム(1チーム20名)に分かれて9試合をこなす。選手にとっては短期間のトライアウトとは違ってチャンスも多く、選手を獲得する側には「実戦を通じて能力を判断できる」(香川球団・堀込孝二代表)のがメリットだ。

 また、選手に加え、スタッフ、各リーグのスカウトも含めれば100名前後が10日間に渡って滞在することが見込まれる。また入場料はとらず、観戦は自由だ。ホスト県となる高知球団の武政重和代表は「スポーツツーリズムの観点からも高知県、土佐清水市にとっても意義がある」と開催を歓迎した。

 現在、アジアでは台湾でウインターリーグが開かれているが、この試みが定着すれば、韓国や台湾、中国といった近隣の選手たちが世界へはばたく出発点が日本にもできることになる。アイランドリーグとしては、ゆくゆくは現状の四国4球団によるリーグ戦と、ウインターリーグを二本柱にして存在価値を高めたい意向だ。

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