キャンプも最終クール、そしてオープン戦も始まり、いよいよプロ野球の季節です。各球団、そして選手たちはそれぞれの課題をキャンプできちんと消化できたのか注目ですね。


 このキャンプでは中日・松坂大輔が注目の的でした。私もブルペンでの投球シーンを動画でつぶさにチェックしましたが、去年までよりも格段に状態がいい。股関節をちゃんと回すことができているから体重移動も使えて、腕を思い切り振って投げている。松坂の復活、十分に期待していいと思います。

 

 でも松坂復活というのはどのレベルのことを言うのか、そこかポイントです。私はローテーションに戻って故障なく1年を過ごす、それが復活の第一ステージだと思っています。あれだけの実績あるピッチャーですから、復活=15勝、というイメージもあるでしょうが、それよりも故障せずローテーションを守るのが本当の復帰の第一歩でしょうね。

 

 全盛期を100としたら今の松坂は70くらい。70の力なら故障さえなければローテーションに食い込めます。そこから80、90と状態が戻ってくれば……でも、故障しなければというのが大前提ですけどね。無事に過ごして欲しいものです。

 

 今の季節はブルペンでどうした、フリーバッティングでなんだ。こんなニュースがいっぱいです。でも野球はシーズンが始まってみないと何もわからないんです。タイムを競うスポーツならどの程度の仕上がりかを数字で測ることができますが、野球にタイムはない。スピードがいくら出ても、何メートルの柵越えを放っても、やはりオープン戦、シーズンにならないと本当のところは分かりませんね。

 

 筒香の新フォームに注目

 新人で注目しているのは北海道日本ハムの清宮幸太郎はもちろんですが、ロッテの安田尚憲、ピッチャーではオリックスの田嶋大樹。田嶋は結構、いい活躍をすると見ています。

 

 横浜DeNAの筒香嘉智が新しいフォームにした意図も気になりますね。あれだけの実績を残している選手が、あえて新しいことを取り入れる。とても勇気のいることなので、シーズンが始まりその成果を見たいですね。

 

 新外国人では阪神のウィリン・ロサリオは打ち損じがなく軸もぶれないので期待できそうです。オープン戦で揺さぶりをかけられて、そこでどう対応するのかに注目しています。

 

 Bクラスから巻き返しを狙う巨人ですが、ピッチャーはやりくり次第でどうにでもなるので、問題は野手です。巨人は良くも悪くも阿部慎之助ありきのチームです。阿部の調子にチーム状態が左右されてしまうようでは浮上は望めません。岡本和真にファーストを守らせるというプランもあるようですが、阿部と岡本を併用して、岡本が阿部のように2割8分、20~25ホームランを打てるかどうか。というよりも岡本自身が、首脳陣のその意図をわかっているのか。それが心配ですね。

 

 阿部の代わりに2割8分、25本。その意識を持ってキャンプに取り組んだのか、必死でやったのか。そういう意味で岡本に注目しています。

 

 

image佐野 慈紀(さの・しげき)
1968年4月30日、愛媛県出身。松山商高で甲子園に出場し準優勝を果たす。卒業後に近大呉工学部を経て90年、ドラフト3位で近鉄に入団。その後、中日、エルマイラ・パイオニアーズ(米独立)、ロサンジェルス・ドジャース、メキシコシティ(メキシカンリーグ)、エルマイラ・パイオニアーズ、オリックス・ブルーウェーブと、現役13年間で6球団を渡り歩いた。主にセットアッパーとして活躍、通算353試合に登板、41勝31敗21S、防御率3.80。現在は野球解説者。


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