10日、キリンチャレンジカップ2013が横浜・日産スタジアムで行われ、日本代表がガーナ代表を3−1で下した。日本は前半24分、MFアチェアポングに先制ゴールを奪われた。その後、日本はチャンスをつくったものの、無得点で試合を折り返した。だが後半5分、MF香川真司(マンU)の得点で追いつくと、19分、MF遠藤保仁(G大阪)のゴールで逆転。26分には、MF本田圭佑(CSKAモスクワ)の3試合連続弾でリードを広げた。

 本田、ダメ押しのヘディング弾(日産スタジアム)
日本代表 3−1 ガーナ代表
【得点】
[日] 香川真司(50分)、遠藤保仁(64分)、本田圭佑(72分)
[ガ] アチェアポング(24分)
「終始僕らが試合をコントロールしていたといっても過言ではない内容だった」
 本田はこのように試合を振り返った。先制され、チャンスを決めきれない場面もあったが、確実に勝利を掴みとった。その中で、攻守に光るプレーを見せたのが本田だった。

 本田はトップ下で先発し、前線の起点として日本の攻撃を牽引した。前半10分、PA手前から左足で強烈なミドルシュート。これはGKに弾かれたものの、2戦連続ゴール中の男はこの試合もキレていた。

 ただ、ボールを支配した日本だが、6日のグアテマラ戦同様、決定機を決めきれない。23分、MF清武弘嗣が、香川からのロングパスに抜け出し、GKと1対1に。だが、右足で狙ったシュートはGKに防がれてしまった。

 ガーナに先制点を奪われたのはその直後だった。24分、左サイドで香川のDF長友佑都へのバックパスをカットされ、カウンターを仕掛けられる。香川は必死に戻ってクロスボールを足に当てたが、これがPA内中央にいたアチェアンポングに渡ってしまう。アチェアポングのシュートは、ブロックに入った内田の体に当たってゴール左へと吸い込まれた。ミスと不運が重なり、ゴールにつながってしまった。

 29分には、本田が決定機を逸してしまう。カウンターからFW柿谷曜一朗がPA内右に抜け出し、折り返す。あとは押し込むだけという場面だったが、合わせた本田のシュートはゴール上へ。本田は一度、顔を手で覆ってから天を仰いだ。結局、日本は追いつけないまま試合を折り返した。

 ただ、後半に入ると、前半の決定力不足がウソのようにゴールを陥れた。まずは後半5分、香川が圧巻の同点弾を挙げた。左サイドでパスを受けると、そこからスピードに乗ったドリブルで中に切れ込み、PA手前から右足を振り抜いた。シュートはゴール左下に突き刺さり、香川は右手で小さなガッツポーズをつくった。

 勢いづく日本は、15分に本田がバイシクルシュートを見せるなど、ガーナを押し込んでいった。

 そんな19分、逆転弾が生まれた。遠藤のゴールをアシストしたのは、本田だった。本田は遠藤からのクサビのパスをヒールで落とす。リターンを受けたかたちの遠藤が、右足でゴール右にシュート。GKに横っ飛びで触られたものの、こぼれたボールは静かにゴールネットを揺らした。

 そして迎えた27分、この男がついにゴールを奪った。左サイド深くで得たFKを、遠藤がゴール前へ入れる。本田は相手DFと競り合いながら、ヘディングでゴールに叩き込んだ。8月のウルグアイ戦から3試合連続ゴール。「前半、外していたので、ちょっと焦ってはいた」という背番号4は、ゴール後、笑顔を浮かべて、何度もガッツポーズを繰り出した。

 ダメを押した日本はその後、システムを3−4−3に変えて、オプションを確認。そのなかでも高いボールポゼッションを維持し、チャンスもつくりだしていた。守っては本田が前線で激しいプレスをかけてガーナの攻撃の芽をことごとくつぶした。これにはDF吉田麻也も「ファーストディフェンスのところでファールでもいいから潰してくれると、非常にやりやすい」と感謝した。失点は前半の1点のみに抑え、9月シリーズを連勝で終えた。

「チーム力や組織力は確実に日本のほうが上だった」
 本田はこう言い切った。主力選手がいなかったとはいえ、ガーナは南アフリカW杯のベスト8。その相手に終始、主導権を握れてことは評価できる。ただ、本田は「個々の部分を見たらどうか」と課題も口にした。特にサイドの攻防では、ガーナの選手の突破についていけない場面も見受けられた。その上で本田は「今日感じたスピードを忘れないように意識して取り組んでいくことが大事」と、自身を含めた選手のレベルアップの必要性を語った。

 周囲も期待していたACミランの今夏加入は幻となった。だが、本人は「残念ではあるけど、次に向かっているし、みなさんが思っている以上に残念には思っていない」と強調する。CSKAモスクワとの契約期間は残り約4カ月。「(欧州CLなど)非常にいい試合が何試合も組まれているし、悲観的な感じでモスクワに戻るということはない」と語る日本のエースは、今いる場所で結果を残しつづける。