NPBもアイランドリーグもシーズンは大詰めを迎えている。アイランドリーグ出身選手では千葉ロッテの角中勝也(元高知)が3割近い打率をマークしてチームの上位争いに貢献し、東京ヤクルトの三輪正義(元香川)もスーパーサブとして1軍のベンチで控える。育成選手だった横浜DeNAの西森将司、冨田康祐(ともに元香川)は7月に支配下登録され、早速1軍出場を果たした。福岡ソフトバンクの金無英(元福岡)も5日の北海道日本ハム戦で初の先発を任されている。NPB入りというひとつの夢を叶えた彼らの今を追いかけた。
 1軍昇格へパワーアップ――岡賢二郎

 愛媛にいた頃と比べると体つきが随分たくましくなった。アイランドリーグ時代、77キロだった体重は、今や87キロだ。
「ケガしない体づくりとパワーアップ。この2つを目的にオフから取り組みました」
 Tシャツからのぞく日焼けした腕は一回りも二回りも大きくなっていた。

 アイランドリーグから強肩キャッチャーとしてドラフト指名を受け、今季が3年目。まだ1軍出場はない。昨オフから「1軍で勝負すること」を念頭に臨んできた。2年間、NPBでプレーして痛感したのは長丁場を戦い抜く体力のなさだ。
「シーズン中、疲労で肩、ヒジの調子が悪くなる時期もありましたし、スイングにも力強さが足りないと思いました」

 トレーニングのみならず、食事の量を増やし、サプリメントを活用し、4キロ近く増量に成功した。その成果に本人も手応えを感じつつある。
「今年はまったく肩、ヒジの調子が悪くならない。打球の力強さも増しました」
 アイランドリーグの香川でトレーナーを務め、現在はDeNAの2軍でコンディショニング部門を受け持つ四角純哉は「プロらしい体になってきた」と目を細める。
「筒香(嘉智)と競い合ってトレーニングしています。昨年は夏場に体重が落ちていましたが、今年はこの酷暑でもしっかりキープできていました」

 今季、滑り出しは順調だった。春のキャンプで1軍メンバーに選ばれ、オープン戦でもマスクを被った。初の開幕1軍メンバーにも入った。1軍に帯同しての発見は多かった。
「1軍のバッターはミスショットが少ないし、どんどん振ってくる。1打席目で凡打しても、次にはきっちり修正してくる。リードをする上でも、2軍以上に気をつけなくてはいけないと改めて思いました」
 広島の丸佳浩、福岡ソフトバンクの今宮健太……自分より年下ながら1軍で活躍している選手のスイングが鋭いことに驚いた。

「でも、積極的に打ってくるのを逆手にとって、1球で仕留めるチャンスも出てくる。しっかりバッターの様子を見て1軍レベルで駆け引きができるようになりたいですね」
 得るものは多かった1軍体験だが、それを実際にグラウンドで生かすことはできなかった。出場機会のないまま、開幕から1週間で1軍登録を抹消された。それからは再びファーム暮らしが続いている。
 
 2軍では今季、同じくアイランドリーグ出身の西森将司(元香川)が強肩と俊足を見込まれて、レギュラーに定着。支配下登録されて、1軍マスクもかぶった。入団が1年先輩の岡にすれば、先を越された格好だ。もちろん西森以外にも、正捕手の鶴岡一成、若い高城俊人、同い年の黒羽根利規とライバルは多い。

 競争に勝って1軍切符をもう一度得るための方法は、ただひとつ。自らの能力を磨くことだ。リードはもちろん、キャッチングやワンバウンドのブロッキング、スローイングとファームでレベルアップに汗を流す。守りのみならず、バッティングでも変化球への対応をテーマに取り組んだ。増量した体を生かし、軸をしっかりさせて回転で打つ。成績は残せていないが、変化球にも体が泳がされなくなってきている。

「技術的なものは他の選手にも負けていない。あとは結果を出せるかどうか。それだけですね」
 1軍の試合は常にチェックし、配球を含めて自分だったらどうするかを絶えずシミュレーションしている。声がかかれば、いつでも1軍で勝負できる準備は整えてある。
 
 チームは目標とするクライマックスシリーズ進出へ正念場だ。もし、ここでチャンスをつかんで勝利に貢献できれば、存在はより際立つ。DeNAのツルオカといえば、多くのファンは鶴岡を思い浮かべるだろうが、もうひとりのツルオカが虎視眈眈と出番を狙っている。

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(石田洋之)

9月12日(木)

 徳島、引き分けも13日にもV(徳島6勝2敗3分、アグリあなん、235人)
香川オリーブガイナーズ 1 = 000010000
徳島インディゴソックス  1 = 000001000 (9回引き分け)

<順位表> 勝  負  分  勝率   差  残
1.徳島   22  7  6  .759  M2  5
2.愛媛   21 11  3  .656  2.5  5
3.香川   10 20  3  .333  10.0 7
4.高知   8  22  5  .267  2.0  5