ボストン・レッドソックスの上原浩治が18日、本拠地でのボルチモア・オリオールズ戦に4番手で登板し、1回1失点で今季初黒星(4勝1敗19S)を喫した。上原は先頭のダニー・バレンシアにセンターオーバーの三塁打を許して8月18日から続いていた連続アウトの記録が37人で途切れると、その後、犠飛で失点。7月7日以来の無失点登板も27試合でストップした。試合は2−3でレッドソックスは接戦を落とし、上原は2年ぶりの敗戦投手となった。
 記録が止まったとはいえ、日本人守護神の存在がア・リーグ東地区でレッドソックスが首位を独走する大きな要因になっている。
 今季、レンジャーズから移籍した上原は、開幕から田澤純一とリリーフで好投。抑えのジョエル・ハンラハンの故障離脱や代役投手の不調もあって、6月下旬からは締めくくり役を任された。クローザーに回っても安定したピッチングを継続し、オールスターゲームでは「最後の1人」(出場選手の残り1枠をファン投票で決定する)の候補者にノミネートされた。

 抑えに転向し、37イニング3分の1を投げて、与えた四球はわずかに2個。抜群のコントロールで相手打者を牛耳り、8月18日のヤンキース戦でライル・オーバーベイにヒットを許した後は、ヒットはもちろん、四死球による走者も許さず、11試合にわたってパーフェクトピッチングを続けていた。

 メジャーリーグでリリーフでの連続アウト記録は2007年にボビー・ジェンクス(当時ホワイトソックス)がつくった41。登板前まで連続37アウトを積み重ねていた上原だが、この日は先頭のバレンシアを2ストライクと追い込みながら、ストレートを弾き返される。打球は必死に追いかけたセンターの頭上を越えるヒット。1カ月ぶりに走者を許した。

 クローザーはほんのわずかな失敗が勝敗に直結するポジションだ。一気に三塁まで進んだランナーが続くマット・ウィータースの犠飛で生還し、これが試合を決める1点となった。それでも上原は後続をきっちり打ち取り、最少失点で1イニングを投げ終えた。

 記録が途絶え、負けがついたものの、レッドソックスの地区優勝へのマジックは3。プレーオフ進出はほぼ確実だ。上原にはレンジャーズ時代の11年、ポストシーズンでまさかの3試合連続ホームランを浴び、ワールドシリーズのロースターから外れた苦い思い出がある。「ワールドシリーズで投げたかった」との思いは今も消えていない。

 今季はチームの守護神としてシリーズ出場と世界一を目指せる、絶好のチャンスだ。メジャーリーグ5年目、38歳となり、円熟味を増した右腕は頂点へ向かって再び快投をみせる。