メジャーリーグは30日、各地でレギュラーシーズンの最終戦を迎え、最後までもつれたアメリカンリーグのワイルドカード争いは東地区2位のタンパベイ・レイズと、西地区2位のテキサス・レンジャーズが91勝71敗で並び、10月1日に直接対決でプレーオフ進出チームを決めることになった。プレーオフは2日よりワイルドカードによる進出2チームの対戦からスタートする。
 絶対に負けられない最終戦。レンジャーズの先発を任されたのはダルビッシュ有だ。ロサンゼルス・エンゼルスとの対戦は初回、マイク・トラウトにソロアーチを浴び、先制を許す。しかし、その後は立ち直って5回までに8個の三振を奪い、今季の奪三振数を277個まで伸ばす。6回、四球とヒットでピンチを迎えたところで降板し、後を継いだ投手が同点タイムリーを許したため、勝敗はつかなかったが、5回3分の2を投げて4安打2失点と最低限の役割を果たした。試合は同点に追い付かれた6回裏にレンジャーズが女房役のジョバニー・ソトの二塁打で勝ち越し。その後も得点を重ねて6−2で勝利した。

 今季のダルビッシュは13勝9敗、防御率2.83。夏場に入って勝ち星が伸びず、昨季の勝ち星(16勝)を下回ったものの、奪三振数でデトロイト・タイガースのマックス・シャーザーに37個差をつけ、メジャーでは初のタイトル獲得が確定。日本人投手では2001年に野茂英雄(当時ボストン・レッドソックス)が奪三振王に輝いて以来の快挙を達成した。

 レギュラーシーズンを終えて、各地区の優勝はア・リーグが東地区ボストン・レッドソックス(6年ぶり7回目)、中地区デトロイト・タイガース(3年連続6回目)、西地区オークランド・アスレチックス(2年連続16回目)。ナショナルリーグが東地区アトランタ・ブレーブス(8年ぶり17回目)、中地区セントルイス・カージナルス(4年ぶり11回目)、西地区ロサンゼルス・ドジャース(4年ぶり12回目)。2位以下で各リーグ勝率上位2チームに与えられるワイルドカードはア・リーグはクリーブランド・インディアンス(中地区2位)の1枠が決定。ナ・リーグはピッツバーグ・パイレーツ(中地区2位)とシンシナティ・レッズ(同3位)が入った。

 現時点でプレーオフ出場が確定している日本人選手は、レッドソックスの上原浩治と田澤純一だ。上原はシーズン途中から抑えに転向し、4勝1敗21S。防御率1.09と抜群の安定感をみせ、チーム最多の73試合に登板した。また田澤も勝ちパターンの中継ぎとして上原に次ぐ71試合でマウンドに上がり、5勝4敗、防御率3.16の成績を残した。

 プレーオフ出場を逃したチームで光った日本人は岩隈久志(シアトル・マリナーズ)。1年間先発ローテーションを守り切り、下位に沈んだチームの中で14勝(6敗)をあげた。防御率2.66はリーグ3位でタイトル争いにも絡んだ。

 一方、5年ぶりにプレーオフ進出を逃したニューヨーク・ヤンキースでは、黒田博樹が終盤に6連敗と失速。日本人投手では初の4年連続2ケタ勝利(11勝)をあげたが、13敗と負け越した。8月に日米通算4000安打を達成したイチローも左ピッチャーが先発の際にはベンチスタートとなるケースも増え、打率.262、136安打はメジャー13年目でいずれもワーストの成績だった。

 トロント・ブルージェイズの川崎宗則はマリナーズ時代の昨季を上回る96試合に出場。打率.229、1本塁打、24打点と成績は芳しくないが、ムードメーカーとしてチームで一定のポジションを得た。日本人ではイチロー以来となるシーズン200安打を目標に掲げていた青木宣親(ミルウォーキー・ブルワーズ)は171安打。打率.286、8本塁打、37打点、20盗塁と1年目の昨季よりやや数字を落とした。8月にインディアンスからニューヨーク・メッツに移籍した松坂大輔は1年ぶりの勝利をあげてからは3連勝。調子を上げ、来季の契約に望みをつないだ。