待ちに待ったプロ野球が開幕する。3月30日、セ、パ両リーグ同時にスタートし、ポストシーズンゲームを含めて11月まで熱戦が続く。

 今季、セ・リーグは広島のリーグ3連覇、パ・リーグは福岡ソフトバンクの連続日本一に注目が集まっている。

 

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 広島V3への課題

 

 広島は菊池涼介、田中広輔、丸佳浩のセンターラインが盤石な上に昨季、ケガで離脱していた鈴木誠也も戻ってきた。野手陣に不安はないが、唯一の懸念材料が投手陣のサウスポー不足だ。

 

 昨季、サウスポーで勝ち星をあげたのはクリス・ジョンソン(6勝)、床田寛樹(1勝)の2人だけ。リリーフ陣に至っては飯田哲矢、戸田隆矢が1ホールドを記録したに過ぎない。ブルペンを中心に「左腕日照り」と言われて久しかったが、今季は高卒2年目のサウスポー・高橋昂也が先発ローテーション入りに名乗りを上げた。

 

 高橋はキャンプから好調で、紅白戦と練習試合で計6回無失点と結果を残し、緒方孝市監督からキャンプ監督賞を贈られた。さらにオープン戦でもここまで2試合を投げて自責点0。先発ローテーション入りは確実視されており、リーグV3を狙う広島にとって心強い存在だ。

 

 広島の対抗は昨季3位からクライマックスシリーズを勝ち上がり日本シリーズに駒を進めた横浜DeNAだろう。

 

 昨秋のドラフトでは立命館大の東克樹を1位指名。石田健大、今永昇太、濵口遥大と合わせて“左腕カルテット”を形成しそうだ。10年連続Bクラスだったチームを16年に就任するなり3位へ押し上げたアレックス・ラミレス監督は、「リーグ優勝、そして日本一」を今季の目標に掲げる。

 

 パ・リーグは「ソフトバンクの1強。戦力が他球団より抜け出ている」と多くの評論家が口を揃える。中でも絶対的守護神のデニス・サファテの存在が大きい。昨季、プロ野球新記録の54セーブを記録し、リーグMVPと日本シリーズMVPをダブル受賞した。この4月で37歳になるサファテは、名球会入りの基準の通算250セーブまであと21と迫っている。

 

 昨季ソフトバンクが6回をリードして終えた試合の戦績(レギュラーシーズン)は76勝3敗。勝率は実に9割6分2厘。クローザーのサファテを筆頭に、岩嵜翔、森唯斗、五十嵐亮太、リバン・モイネロ……。2年ぶりのV奪還を支えたリリーフ陣は、他球団にとって最大の脅威だろう。

 

 ストップ・ザ・ソフトバンクの筆頭は埼玉西武か。チームを引っ張るのは、昨季16勝をあげて最多勝のタイトルに輝いた菊池雄星。ルール改正も彼を後押しする。今季から2段モーションが解禁になったのだ。昨季、「フォームに連続性がない」として違反投球宣告を2度受けた菊池にとってこのルール改正は追い風となるだろう。秋山翔吾、中村剛也、山川穂高ら攻撃陣も強力で、10年ぶりのリーグ優勝に期待がかかる。

 

 MLB復帰組に注目

 

 さて今季のプロ野球では"復活"がキーワードになりそうだ。ソフトバンクを戦力外になった松坂大輔はテストを受けて、中日に入団。これまでは古傷の右肩をかばうあまり左肩の開きが早くなっていた投球フォームも、今キャンプで修正された。森繁和監督は「開幕2カード目、巨人戦で投げさせる」と語っている。ここ3年間で1軍登板はわずか1試合の「怪物」に劇的なカムバックストーリーは用意されているのか。

 

 メジャーリーグからの出戻り組では東京ヤクルトの青木宣親、巨人の上原浩治にも注目が集まる。小川淳司監督は青木を4番に据える構想で、チームリーダーとして最下位に終わった古巣の牽引役を任せる方針だ。

 

 10年ぶりに巨人復帰の上原は、日米通算134勝、128セーブの実績を持つ。手薄な巨人ブルペンには最良の補強だが、効果はそれだけではない。思い出すのは15年、パドレスからの20億円オファーを蹴って古巣・広島に復帰した黒田博樹だ。

 

 黒田は復帰1年目に11勝、翌16年に10勝をあげ、広島の25年ぶりのリーグ優勝に貢献した。だが、勝ち星以上のものを黒田は広島投手陣に残した。いわば“無形の財産”だ。広島には黒田に薫陶を受けた若手投手が何人もいて、16年に16勝をあげ最多勝のタイトルに輝いた野村祐輔もその1人である。

「黒田さんが帰ってきて、見ているだけでも参考になることがある。ストライクで勝負、攻めているピッチングが勉強になります。ストライクゾーンでも球が動けばバッターは打ち難い。これは大きな発見でした」

 

 上原効果で巨人投手陣にも同様の意識改革が起きれば、4年ぶりのリーグ優勝も現実味を帯びてくる。

 

 スカパー!は今年も全12球団の熱戦を全て伝える。清宮幸太郎(北海道日本ハム)をはじめとする大物ルーキーはどうなるか、メジャー復帰組は古巣でも輝けるのか。スポーツの話題の中心、そこには常にプロ野球がある。

 

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