(写真:「最終判断はVARではなく主審が決める。VARは主審の手助け」と強調したエラレイ氏)

 Jリーグは22日、2018年シーズンより試験導入予定のビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)に関し、都内でメディア向けに説明会を開いた。国際サッカー評議会(IFAB)テクニカルダイレクターのデイビッド・エラレイ氏がVARについて語った。その他、Jリーグの原博実副理事長らが出席した。

 

“VARの父”と言われるエラレイ氏が登壇した。VARは16日にロシアW杯での正式導入が決まった。賛否両論ある“科学の眼”についてエラレイ氏は「最小限の介入で最大限の成果をあげる」と語った。

 

 エラレイ氏はこの2年間の実験の成果を報告。VAR制度を試験導入したトップレベルのリーグの972試合中、672試合で映像検証はされなかった。1ゲームの中で映像検証を1回行ったのが247試合、2回行ったのが48試合。3回は4試合、4回は1試合のみだった。

 

「VAR制度を使ってのジャッジは試合の流れを止める」との懸念もある。主審がプレーを止めてVTRをチェックし、判定を下すまでに平均で55秒。この数字はサッカーの試合の1%にも満たないため、エラレイ氏は「1試合で55秒は短いだろう」と胸を張った。

 

 一方で、原副理事長はVARの育成面について課題をあげた。

「僕もVARのモニタールームに入ったことがある。たくさんのモニターを確認するなど普通の審判とはまた違う能力も求められる」

 

 JリーグでもVARの導入を検討しているが、原副理事長は「VARは難しい」と本格導入の具体的な期日の明言は避けた。JリーグでのVAR導入は、世界のサッカーの動向を見つつ、慎重に検討される。

 

(文・写真/大木雄貴)