(写真:ライザップの瀬戸社長<左>、湘南の真壁潔会長、三栄建築設計の小池信三社長<右>)

 フィットネスジム事業などを展開するRIZAP(ライザップ)グループ株式会社は6日、サッカーJ1・湘南ベルマーレの筆頭株主である株式会社三栄建築設計と合弁会社を設立し、湘南の経営権を取得すると発表した。合弁会社の社名は株式会社メルディアRIZAP湘南スポーツパートナーズになる予定だ。

 

 合弁会社の出資比率はライザップが49.95%、三栄建築設計が50.05%。株主間契約により、ライザップの連結子会社になる。これにより、湘南はライザップの全面サポートを受けることになる。

 

 ライザップの瀬戸健社長は「湘南に3年間で10億円を投資する」と語った。財政面が強化されることで選手の報酬アップと生え抜きの流出防止が期待される。湘南は地域密着型のクラブで、ユース年代の育成に定評がある。だが、ユースからトップチームに上がり、活躍した選手は他クラブに引き抜かれることが多かった。

 

 湘南の16年度決算の営業収益は、J1全18チーム中17番目の16億2700万円。これでは生え抜き選手の引き抜きをめぐる他クラブとの競争に勝てない。代表例がリオデジャネイロ五輪で主将を務めたDF遠藤航だ。遠藤は高校生の頃から湘南の下部組織に所属していた。ユーティリティ性や豊富な運動量が買われ、2016年に湘南よりも好条件の浦和に移籍した。瀬戸社長は「活躍した選手にはしっかりとした報酬をもらって欲しい」と語った。

 

 また、ライザップは科学的トレーニングのノウハウも湘南に提供。選手のフィジカル能力向上もサポートする。トップチームやユースの選手だけでなく、市民も使えるトレーニング施設をつくる構想も明らかにした。

 

 瀬戸社長は出資にあたって、クラブと2つの約束をかわしたという。

 1つ目は、2020年までにJリーグ、天皇杯、ルヴァンカップのいずれかを獲得すること。2つ目は、2020年までにスタジアムの収容率をナンバーワンにすること。湘南のサッカーは運動量が豊富で攻撃的なサッカーだ。ここにライザップが投入する資金とフィジカル向上のノウハウが加われば、不可能な目標ではない。収容率も主力がクラブに残り続けるようになればサポーターの足も自然とスタジアムに向くようになる。

 

 湘南はかつて、MF中田英寿、FW呂比須ワグナー、GK小島伸幸ら日本代表が所属した名門だった。しかし、近年ではJ1とJ2を行き来する“エレベータークラブ”となってしまった。湘南はライザップの支援を受け、名門復活へと前進する。

 

(文・写真/大木雄貴)