2012年のロンドン五輪で“火の鳥 NIPPON”ことバレーボール全日本女子が銅メダルを獲得。それは 1984年ロサンゼルス大会以来となる 28年ぶりの表彰台だった。その貢献者のひとりがリベロの佐野優子だ。ワールドクラスのアタッカーたちの強烈なスパイクを身を呈して拾い上げ、チームを救った。海外リーグの経験も豊富で、今シーズンはスイスのチームと契約。未だ衰え知らずの身体能力・技術は、どこからくるのか。世界のリベロに二宮清純がインタビュー。ロンドン五輪の舞台裏について訊いた。
二宮 : 昨年のロンドン五輪では、 28年ぶりにメダルを獲得。全日本女子に新たな歴史の1ページが刻まれました。
佐野 : 「絶対にメダルを獲ろう」ということでやってきていましたが、実際メダルを目にした時には、ちょっと信じられなかったですね。でも、「今までやってきて良かった」という達成感がありました。

二宮 : 準々決勝の中国戦に勝ったことが大きかったのでは?
佐野 : そうですね。日本は中国を少し苦手としていた部分があって、これまでも大きな大会であまり勝ったことがなかったんです。その中国に勝ったことで、勢いに乗れたんだと思います。

二宮 : 準決勝ではブラジルにストレート負けを喫しました。
佐野 : もうコテンパンにやられたという感じでしたね(笑)。ブラジルは予選リーグではあまり良くなかったんです。それが決勝トーナメントに入ったとたんに……。特に準決勝の日本戦で息を吹き返して、優勝までいったという感じだったと思います。やっぱり、ここぞという時に力を出すチームなんだなと。

二宮 : 3位決定戦の相手は韓国でした。
佐野 : 韓国は最終予選の時からすごく調子を上げてきていたので、その勢いのままやられていたら、あの試合も危なかったと思います。スタートで日本が流れをつかんだことが大きかったですね。

二宮 : 韓国といえば、やはりエースのキム・ヨンギョン。
佐野 : 彼女は本当に技術があって、巧さのある選手なので、乗せてしまうと、なかなか手がつけられなくなってしまいます。でも、あの試合では序盤にミスがあったので、『今日はいけるかもしれない』という気持ちではいました。

二宮 : 佐野さんの守備を意識したのでは?
佐野 : いえいえ(笑)。あのスパイクは簡単には取れませんから。

二宮 : 大方の予想では接戦になると思われていましたが、終わってみれば3−0のストレート勝ち。日本の勢いを感じました。
佐野 : 最後、追い上げられそうになったのですが、そこもなんとか踏ん張ることができました。

二宮 : 勝った瞬間はどんな思いでしたか?
佐野 : 今まで嬉し泣きをしたことがなかったのですが、あの時はずっと涙が止まりませんでした。本当に嬉しかったです。

< 20日発売の小学館『ビッグコミックオリジナル』( 2013年10 月5日号)に佐野選手のインタビュー記事が掲載されています。こちらもぜひご覧ください>