“チームのために最も貢献した魂あふれるプレー”に贈られるNPBの「ジョージア魂賞」では、このほど2013年の第10回目の受賞プレーが決まりました。今回は巨人・長野久義選手が8月29日(対阪神)にみせた首位攻防3連勝を決めるサヨナラ弾に対して賞が贈られます。

(写真:両リーグ最速70勝を呼び込み、連覇へ大きく前進した一発)
 今回のジョージア魂賞は、8月23日から9月5日にかけて行われた公式戦から山田久志氏(元阪急)、衣笠祥雄氏(元広島)、梨田昌孝氏(元近鉄)、工藤公康氏(元西武)、小林光男氏(週刊ベースボール編集長)、二宮清純(当HP編集長)の6名の選考委員によってノミネート6プレーが選出され、「ジョージア ベースボールパーク」のサイト上や、Facebookの“いいね!”ボタンを通じたファン投票により、決定しました。長野選手のプレーには、総投票数23,654票中、最多の7,408票が集まりました。

 なお、第9回のジョージア魂賞には、東北楽天・田中将大投手が8月16日(対埼玉西武)にみせた金字塔を打ち立てた魂の投球が選ばれています。田中投手のプレーには、総投票数31,533票中、最多の14,931票が集まりました。受賞者にはトロフィーとともに副賞としてジョージア製品1年分(12ケース)、賞金30万円が贈られます。
(写真:優勝がかかった9月26日の西武戦ではリリーフ登板で胴上げ投手に)

「ジョージア ベースボールパーク」のサイトでは、選考委員のひとりでもある二宮清純の書き下ろしコラム「アナザースピリット 〜 チームを支える魂のプレー〜」のコーナーが好評連載中です。惜しくも受賞は逃したものの、二宮が印象に残ったノミネートプレーを毎月1回ペースで選び、コラムを執筆します。今回は第9回にノミネートされていた東京ヤクルトのウラディミール・バレンティン選手(8月21日、対巨人でのチームの連敗を止める2アーチ)について書いています。

 当サイトでは特別に、前回更新されたオリックス・金子千尋投手(7月17日、対楽天でのチームの連敗を止める完封勝利)に関するコラムを紹介します。

 オリックス・金子千尋「楽天キラーの心意気」

 球界の今季の主役は東北楽天のエース、マー君こと田中将大である。昨年8月から26連勝中。今季は開幕から22連勝だ(記録は9月30日現在)。その田中よりも三振を多く奪っているピッチャーがいることをご存知か?
(写真:投球回数も200イニングを超えてトップ。防御率1.98も田中に次いで2位)

 オリックスのエース金子千尋である。 ちなみに田中の奪三振が173であるのに対し、金子は188。奪三振率は田中が7.82で金子は8.08。三振だけではない。完投数(金子10、田中8)と完封勝利数(金子3、田中2)でも田中を上回っている。チームが下位で低迷しているため脚光を浴びることは少ないが、その実力は折り紙付きだ。

 現場の声を2つほど紹介しよう。まずはアスレチックスの中島裕之。渡米する直前、「対戦しがいのあったピッチャーは?」と問うた。中島が口にしたのが「金子」だった。「彼はいろんなボールを器用に投げ分ける。ダルビッシュ的なピッチングをします。あれはいいピッチャーですワ」

 続いて東北楽天の銀次。今季は一時、打率トップにも立った。
「ストレート、カット、シュート、カーブ、チェンジアップ、スライダー、フォークボール……。金子さんは全部の球種でストライクがとれるんです。それに、ものすごくコントロールがいい。しかも全部のボールがウイニングショットになる。もう“素晴らしい”としか言いようがないです」

 金子は“楽天キラー”としても知られる。今季は2勝2敗と勝敗は五分だが、対戦防御率は1.33。通算では15勝3敗と大きく勝ち越している。球団創設初優勝を目指す楽天にとっては“越えなければならない壁”だった。

 その金子がさる7月17日、魂のピッチングを披露した。本拠地の京セラドームで首位を走る楽天相手に3安打シャットアウト勝ちを収めたのだ。圧巻だったのは2回。無死二、三塁のピンチで迎えたバッターは好調の枡田慎太郎。フォークで空振り三振を奪うと、続く松井稼頭央も空振り三振に仕留めた。嶋基宏はセンターフライ。鬼気迫るピッチングだった。

 試合後のコメントが振るっていた。
「前に飛ばさせたくなかった。それには三振がいいと思って……」
 3年前には17勝をあげ、最多勝に輝いたほどの男が、昨季は右ヒジなどの故障で、わずか4勝しかできなかった。チームに迷惑をかけた、との思いがあるのだろう。今季は開幕から飛ばしている。

「優勝したいのなら、オレを倒してからにしろ」
 ジョージア魂賞に輝いた本拠地での完封劇。口にこそしないが、金子の表情からは、そんな言葉が読み取れた。
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「ジョージア ベースボールパーク」では現在、第11回ジョージア魂賞ファン投票も合わせて実施中です。千葉ロッテ・古谷拓哉投手、北海道日本ハム・陽岱鋼選手、東北楽天・長谷部康平投手、東京ヤクルト・ウラディミール・バレンティン選手、巨人・内海哲也投手、広島・石原慶幸捕手の6プレーがノミネートされています。投票は10月16日(水)まで。ぜひ参加してみてください。

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