メジャーリーグのプレーオフ・リーグチャンピオンシップは20日、アメリカンリーグでボストン・レッドソックスがデトロイト・タイガースに5−2で勝利し、4勝2敗で6年ぶり13度目のリーグ優勝を収めた。1点を先制しながら、6回に逆転を許したレッドソックスだが、7回に満塁のチャンスでシェーン・ビクトリノが再逆転のグランドスラムを放つ。3点リードで最終回は抑えの上原浩治がマウンドへ。走者を出しながら危なげなくゼロに抑え、胴上げ投手となった。上原はこのシリーズ3セーブ目でチャンピオンシップMVPにも輝いた。田澤純一は7回のピンチで強打者のミゲル・カブレラを打ち取り、直後の逆転を呼び込んで勝ち投手になった。ナショナルリーグ覇者のセントルイス・カージナルスとのワールドシリーズは24日から始まる。
◇ア・リーグ
 上原、5試合登板で無失点(レッドソックス4勝2敗、フェンウェイ・パーク)
デトロイト・タイガース    2 = 000002000
ボストン・レッドソックス   5 = 00001040×
勝利投手 田澤(1勝0敗)
敗戦投手 シャーザー(0勝1敗)
セーブ   上原(1勝0敗3S)
本塁打  (レ)ビクトリノ1号満塁

 上原と田澤。2人の日本人右腕がこれまでの戦い同様、きっちり役割を果たしてチームをリーグ優勝に導いた。

 田澤は1点ビハインドの7回、2死一、二塁でカブレラを迎えたところで登板。第3戦、第5戦ではいずれもカブレラを併殺打に仕留めており、ベンチが満を持して送り込んだ。田澤はその期待にこたえ、カブレラをショートゴロに打ち取る。抜けそうな当たりをショートのスティーブン・ドルーも好捕し、窮地を切り抜けた。

 試合をひっくり返して最終回は上原の登場だ。満員のスタンドからコージコールがこだまする中、先頭のアレックス・アビラを2球で追い込む。そして3球目はスプリットでバットに空を切らせた。

 続くオマー・インファンテはセーフティバントで何とか出塁を試みるも、上原が冷静に処理して2アウト。オースティン・ジャクソンには二遊間に運ばれてショートへの内野安打となったが、ホセ・イグレシアスも簡単に2ナッシングとストライクを先行させる。

 1球ファールを挟んで、最後は再びスプリットだ。ストライクからボールへ、測ったように落ちる伝家の宝刀は分かっていても打てない。あえなくイグレシアスは空振り三振に倒れ、レッドソックスに歓喜の瞬間がやってきた。

 この日、投じた11球のうち、ボールは1球もなし。コントロール良く相手を追い込み、付け入るスキをまったく与えない。今回のリーグチャンピオンシップでは5試合に投げ、イニングまたぎもありながら、無失点ピッチングを続けた。文句なしのMVPだ。

 上原にとってメジャーリーグでリーグ優勝を経験するのはテキサス・レンジャーズ時代の2011年以来2度目。だが、この年はポストシーズンでまさかの3試合連続被弾。ワールドシリーズではロースター入りできなかった。しかし、今年は押しも押されもせぬ絶対的守護神としてベンチ入りは間違いない。頂上決戦でも2人の日本人投手が必勝リレーで、世界一を狙う。