二宮清純: 今回のゲストはシドニー五輪で200m背泳ぎ4位、200m個人メドレーでは8位入賞を果たした元競泳日本代表の萩原智子さんです。“ハギトモ”の愛称で親しまれた萩原さんと雲海酒造の本格芋焼酎『木挽BLUE』を飲みながら、水泳界の話を伺います。まずはロックでいきましょう。

萩原智子: これ美味しいですね。芋焼酎は初めて飲んだ時から好きになりました。私、サツマイモがすごく好きなんです。

 

 

 

 

二宮: イモ党ですか?

萩原: はい。これもスッキリしていて、すごく飲みやすいです。

 

二宮: キレのある甘味と爽やかな口当たりが特徴です。萩原さんのイメージに重なりますね。

萩原: そうですか、ありがとうございます(笑)。

 

二宮: 2006年にテレビ局のディレクターと結婚されました。ご主人とお酒を飲まれたりすることは?

萩原: 主人はお酒が飲めないんです。だからいつもご飯を食べに行くと、私が飲んで、主人が運転して帰ってくる。すごく楽ですね(笑)。

 

二宮: メディア関係に勤める人で下戸は珍しいですね。

萩原: よく言われます。ただ、主人はみんなのお酒を飲んでいるテンションについてこられるキャラなんです。私もそういう席が好き。みんなでウダウダ何かを言ったりして、楽しい話をするのが良いんです。

 

二宮: そういう時の方が、本音が出るのかもしれませんね。

萩原: あとは家で料理をしながら、ひとりで飲んでいます。翌日用の下ごしらえに野菜を刻んだり、作り置きを作りながらお酒を飲む。それがストレス解消になっています。

 

二宮: 普段はそういう飲み方なんですか。

萩原: 明日から、このお酒もキッチンの横に置かせてください(笑)。

 

 明暗分けるタッチ

 

二宮: さて4月の日本選手権では池江璃花子選手が出場全4種目(50m&100m自由形、50m&100mバタフライ)で計6度の日本記録を塗り替えました。2年後の東京オリンピックへの期待も高まっています。

萩原: 彼女の種目は、短距離の自由形とバタフライ。この種目は世界のレベルに日本がやっと追いついてきたという状況なんです。彼女の潜在能力を考えると、まだまだ伸びる余地はあるので表彰台は目指せます。

 

二宮: リオデジャネイロオリンピックの100mで5位入賞を果たしたバタフライの方がメダルの可能性は高いですか?

萩原: 現実的に考えるとそうですね。ただ最後の上位5人はある意味、誰が勝つかわからないほど僅差です。短距離は特にタッチの差。池江選手がこの2年でやらなければいけないのは、とにかく世界大会の決勝の舞台をたくさん踏み、そして競り勝つことです。勝ちグセをつけないといけません。

 

二宮: おっしゃるように最後はタッチが明暗を分けます。

萩原: 特にバタフライは両手でタッチする種目なので、難しいんです。池江選手は日本選手権の100mバタフライ準決勝で50mの折り返しでタッチが合わなかった。それでも日本新は出たんですよ。私は「それが合っていれば、記録が0.2秒上がりますよ」と解説したのですが、翌日はタッチがうまく合って、準決勝の記録を0.2秒更新しました。そのぐらいタッチはすごく大事なんです。

 

二宮: 短距離における0.2秒なら、順位も大きく違ってきますね。

萩原: 変わりますね。ターンの際のタッチはもちろん、フィニッシュでゴール板にタッチする時もそうです。

 

二宮: タッチは練習で何度もやるしかない?

萩原: そうですね。ただ泳ぎのキレが良過ぎてタッチが合わなくなってくることもあります。ストロークが長くなったり、泳ぐスピードが上がることで感覚はずれる。それは調子が悪い時にも言えます。だから調整がすごく難しいんです。

 

二宮: 最後のタッチまで、だいたい想定通りに泳げるものでしょうか。

萩原: 私の場合は背泳ぎですが、調子が良い時はスタートして1かき目で、どちらの手でタッチするかわかりました。あくまで感覚なのですが、“この距離、この感覚だと右手タッチだな”と思ったら、本当にそうなるんです。

 

二宮: ゴールまでの道筋をきちんと描けているんでしょうね。

萩原: たとえばアテネと北京の2大会連続で2冠を達成した平泳ぎの北島康介君は5m前からタッチが合わないと思ったら調節していたそうです。ちょっと速く掻いてみたり、長く伸びたりして、最後のタッチをうまく合うようにしている。それが本当の一流選手。池江選手が目指すのはもちろんパワーアップも必要ですが、細かい技術も習得しなければいけません。トップスイマーや大きな大会で結果を残している人を見ると、そういうところをきっちり穴埋めして勝っています。

 

 イチ押しは幌村尚

 

二宮: 東京オリンピックに向けて、池江選手の他に4月の日本選手権で気になった選手は?

萩原: 男子の200mバタフライで優勝した幌村尚選手です。身長170cmと小柄ですが、すごく泳ぎが良いんです。

 

二宮: 具体的にはどの点が優れているのでしょうか?

萩原: まずはすごく柔軟性がある。その柔らかさを生かして、抵抗の少ない泳ぎができます。水の上によく浮いていて、うねりがない。私たちの時代はうねって泳ぐことが主流だったんです。現在はそのうねりを極力少なくして水面と平行に進むことで抵抗を少なくする。今、それが日本でうまくできるのが幌村選手だと思います。

 

二宮: 元々そういう素養があったのでしょうか?

萩原: ジュニア時代からとても良かったんです。ただパワーがなく、泳ぎにバネが足りなかった印象がありました。昨年、大学に入ってから一気に変わりましたね。筋力がついて、力強いキックが打てるようになった。それでバネが出てきて、一気に伸びましたよね。

 

二宮: 日本選手権で才能が開花した印象がありますね。

萩原: 今回の200mバタフライはリオデジャネイロオリンピックの200mバタフライ銀メダリストの坂井聖人選手、2017年の世界選手権同種目銅メダリストの瀬戸大也選手らがいて非常にレベルが高かった。今回、幌村選手が勝てれば、その実力は本物だなと思っていたんです。

 

二宮: 優勝タイムの1分53秒79は昨年の世界選手権銅メダルに相当する好記録です。幌村選手はその実力を証明したと?

萩原: はい。本人も「勝ちたい」と口にしていましたし、メディアの注目度も上がっていました。200メートルバタフライの決勝は、実力者も揃っていて異様な雰囲気だったんです。この緊張感の中で良いレースをして勝つことができたので、これからが楽しみです。

 

二宮: 今年の夏に開催されるパンパシフィック選手権とアジア競技大会、男子は幌村選手、女子は池江選手に注目ですね。

萩原: あとは優勝こそありませんでしたが、両大会の代表に選ばれた渡部香生子選手も楽しみです。

 

二宮: 渡部選手は15歳でロンドンオリンピックに出場。若くして大きな注目を集めましたが、その後、伸び悩みました。15年世界選手権で金メダルを獲得しましたが、リオオリンピックへ決勝にも進めなかった。浮き沈みの激しい競技人生を送っている印象があります。

萩原: 今回はチームにエースと呼べるような選手がたくさんいるので、彼女にかかるプレッシャーも少ないのではないでしょうか。のびのびと上を目指せる気がしますね。

 

二宮: 今年の国際大会は上記の選手の他にもリオオリンピック男子400m個人メドレー金メダリストの萩野公介選手、日本選手権の女子個人メドレー2冠の大橋悠依選手をはじめメダルが期待できる選手がたくさんいるので、とても楽しみですね。さて、グラスも空になりました。折り返し地点をターンして、後半戦は萩原さんの現役時代の話も伺いたいと思います。

萩原: わかりました。『木挽BLUE』はすごく飲みやすいので、ペースを飛ばし過ぎないように気をつけます。競泳もオーバーペースは禁物ですから(笑)。

 

(後編につづく)

 

萩原智子(はぎわら・ともこ)プロフィール>

1980年4月13日、山梨県生まれ。小学2年で水泳を始め、中学3年時には200m背泳ぎで日本中学新記録樹立した。山梨学院大学附属高在学中のインターハイでは、200m背泳ぎで3連覇を達成。山梨学院大進学後の2000年、シドニー五輪に出場し、200m背泳ぎ4位、200m個人メドレーでは8位入賞を果たした。02年日本選手権では史上初の4冠を達成。04年に一度は現役を引退したが、5年後に復帰。翌10年には、30歳にして日本代表に返り咲いたものの、11年4月に「子宮内膜症・卵巣のう腫チョコレートのう胞」を発症する。手術後、懸命なリハビリの末、12年4月に行われたロンドン五輪代表選考会では決勝に残り、意地を見せた。現在は日本水泳連盟理事、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会アスリート委員。テレビ出演や水泳教室、講演活動など多岐に渡る活動を行っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回、萩原智子さんと楽しんだお酒は芋焼酎「木挽BLUE(ブルー)」。宮崎の海 日向灘から採取した、雲海酒造独自の酵母【日向灘黒潮酵母】を使用し、宮崎・綾の日本有数の照葉樹林が生み出す清らかな水と南九州産の厳選された芋(黄金千貫)を原料に、綾蔵の熟練の蔵人達が丹精込めて造り上げました。芋焼酎なのにすっきりとしていて、ロックでも飲みやすい、爽やかな口当たりの本格芋焼酎です。

 

提供/雲海酒造株式会社

 

<対談協力>

今澤

東京都新宿区新宿3-32-10

TEL:03-3356-1818

 

営業時間

17:00~24:00

 

☆プレゼント☆

 

 萩原智子さんの直筆サイン色紙を本格芋焼酎『木挽BLUE』(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はこちらのメールフォームより、件名と本文の最初に「萩原智子さんのサイン色紙希望」と明記の上、下記クイズの答え、郵便番号、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)を明記し、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストをお書き添えの上、お送りください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は6月14日(木)。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。

 

◎クイズ◎

 今回、萩原智子さんと楽しんだお酒の名前は?

 

 お酒は20歳になってから。

 お酒は楽しく適量を。

 飲酒運転は絶対にやめましょう。

 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

 

(写真・構成/杉浦泰介)


◎バックナンバーはこちらから