前人未踏の3連覇を狙う王者レアル・マドリード(スペイン)か、それとも13年ぶりの優勝を目指す古豪リバプール(イングランド)か――。

 

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 ロシアワールドカップイヤーのUEFAチャンピオンズリーグ決勝は5月26日、ウクライナの首都キエフのオリンピスキスタジアムで開催される。

 

 両雄が決勝でぶつかるのは、チャンピオンズカップ時代の1980-81シーズン以来、実に37年ぶりになる。当時は76-77、77-78シーズンで2連覇を果たしたリバプールが“格上”で15年ぶりの決勝進出を果たしたレアルは“挑戦者”だった。結果は1-0、リバプールの優勝で幕を閉じている。長い年月を経て両軍の立場は逆転。今度はリバプールがレアルに挑む構図になる。

 

 運を味方に付けた勝ち上がり

 

 決勝までの道のりを簡単に振り返っておこう。

 

 レアルは苦しみながらここまで勝ち上がってきた。グループリーグはトッテナム(イングランド)、ドルトムント(ドイツ)、アポエル(キプロス)とH組に入り、トッテナムに1分け1敗で2位通過。決勝トーナメント1回戦こそパリ・サンジェルマン(フランス)に2戦合計5-2で力勝ちしながらも、ヒヤリとしたのが去年の決勝カードの再現となった準々決勝ユベントス戦だった。

 

 第1戦はアウェーで3-0と圧勝するも、ホームの第2戦は守勢に回って後半アディショナルタイムに入るまで0-3というよもやの展開。攻撃型サイドバックのマルセロが狙いうちにされ、左サイドを崩された。守りの要セルヒオ・ラモスの欠場が大きく響く形になってしまった。

 

 しかし後半終了寸前、クリスティアーノ・ロナウドが頭で折り返したボールにルーカス・バスケスが反応しようとしたところで、メディ・ベナティアに倒されてPKをもぎ取った。ベナティアは先にボールに触っているとはいえ、飛び上がってバスケスを倒してしまった。ユベントスの選手たちは猛抗議したものの、運を味方につけたのはレアル。C・ロナウドがPKをしっかり決めて、準決勝に駒を進めた。

 

 準決勝の相手はドイツ王者バイエルン・ミュンヘン。こちらも接戦となったが、2戦合計4-3で振り切った。第2戦はバックパスをバイエルンのGKスベン・ウルライヒが“空振り”する珍しいミスから得点が生まれるなどラッキーもあった。

 

 しぶとく勝ち上がってきたレアルに対し、リバプールは力強く決勝まで駆け上がってきたと言える。

 グループステージはセビージャ(スペイン)、スパルタク・モスクワ(ロシア)、マリボル(スロベニア)とE組に入り、首位通過。23得点、得失点差「+17」と、爆発力を見せつけている。

 

 決勝トーナメント1回戦はポルトに対し、第1戦アウェーで5-0圧勝。サディオ・マネがハットトリックを達成し、モハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノもゴールをマークする。勢いに乗った“3本の矢”は、止まらない。

 

 マンチェスター・シティとの準々決勝もこの3人の活躍によって2戦合計5-1で危なげなく勝利した。準決勝のローマ戦も同様だ。サラー、フィルミーノ、マネのトリオ弾によって2戦合計7-6と打ち合いを制している。この攻撃力と勢いは本物である。

 

 中盤の攻防がカギ

 

 決勝のポイントは、どちらが自分たちの「色」を出せるかにある。

 

 レアルの「色」は、試合巧者ぶり。とにもかくにも決勝には滅法強い。最少失点に抑えつつ、チャンスがあれば一気に襲い掛かるしたたかさ。これもC・ロナウドというスーパースターがいるからこそ可能となっている。

 

 リバプールの「色」はもちろん圧倒的な攻撃力。中盤でボールを奪い取り、圧倒的なスピードでサイドを疾走する両翼のサラー、マネ、そしてコンビネーションの軸となるフィルミーノが絡んでゴールを奪いとる。

 

 両者ともカウンターが武器。前線につなぐための中盤の攻防がカギを握ることになる。レアルはイスコをトップ下に置く4-3-1-2を採用するのではないかとみられている。アンカーにカゼミーロが入り、左インサイドハーフにトニ・クロース、右にルカ・モドリッチと役者が揃う。

 

 一方のリバプールは4-3-3予想。中盤はジョーダン・ヘンダーソンをアンカーに置き、左インサイドハーフにジェイムズ・ミルナー、右にジョルジニオ・ワイナルドゥムとハイプレスを有効化する武闘派を並べてくるはず。

 

 中盤の攻防を制して、どちらが高速カウンターを発動させることができるのか。一瞬の隙が命取りになることは間違いない。

 

 リバプールは中盤の枚数こそ足りないが、“3本の矢”にボールが渡れば一気にゴールまで辿りつける。レアルは中盤のタレント力で戦い方をコントロールしつつ、最後はエースのC・ロナウドの“圧倒的な個”に託したいところ。

 

 カウンターvs.カウンター。

“3本の矢”vs.“圧倒的な個”。

 発動合戦の香りが漂っている――。

 

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【UEFAチャンピオンズリーグ 17-18決勝 放送予定】

 

・5月26日(土)深3:00~

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※このコーナーではスカパー!の数多くのスポーツコンテンツの中から、二宮清純が定期的にオススメをナビゲート。ならではの“見方”で、スポーツをより楽しみたい皆さんの“味方”になります。


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