「愛媛FCレディースの快進撃は続く!」

 

愛媛新聞社

 

 

 

 

 2018プレナスなでしこリーグ2部の開幕戦にて勝利し、好スタートを切った愛媛FCレディース。その後のリーグ戦においても、引き分けを挟みつつ僅差の試合をものにし、第9節を終えて4勝5分け」と未だ無敗をキープ。勝ち点17で2位につけている。目指す1部昇格も遠い夢では無くなりつつあるのだ。

 

 これまでの戦いの中でも、現在も首位を走る伊賀フットボールクラブくノ一から勝利をもぎ取った第6節を振り返りたい。第5節終了時点でも首位は伊賀、愛媛FCレディースは2位だった。

 

 1位と2位の直接対決はホームの丸山公園陸上競技場(宇和島市和霊町)で行われた。絶好のシチュエーションに興奮せずにはいられなかった。注目の一戦を観戦するため、いつにも増して大勢のサポーターやファン、マスコミの方々が会場へと詰め掛けていた。

 

 晴天に恵まれたこの日の丸山公園。ピッチには眩しい日差しが降り注ぎ、試合直前の気温は30℃近くまで上昇していた。選手たちにとっては過酷とも思える環境の中、時刻は午後1時を過ぎ、愛媛FCレディースのキックオフで試合がスタートした。

 

 立ち上がり、相手にボールを奪われ、DFラインの裏を狙われる愛媛FCレディース。それでもGK吉原南美選手が落ち着いたセービングを見せ、相手の得点を許さない。

 

 愛媛FCレディースは自陣でボールを繋ぎ、徐々にボールの支配率を高めながら攻撃のタイミングを探る。すると前半6分、早くも歓喜の瞬間が訪れる。敵陣左サイドで相手のボールを奪ったMF山城見友希選手が中央を駆け上がるFW阿久根真奈選手にスルーパスを供給。ボールを受けた阿久根選手がペナルティアークまでドリブルで持ち込み右足を振り抜いた。ゴール左隅を狙った素晴らしいシュートだったが、相手GKが横っ飛びでセーブ。それでもキャッチはできず、ゴール脇にボールが転がった。ゴール前に詰めていたMF仲松叶実選手が、このこぼれ球に素早くアプローチ。角度の無いところからボールを押し込み見事ゴールイン! スタンドから大歓声が沸き起こる! 選手と抱き合い喜びを表現する仲松選手。「スウィーギン スウィンギン愛媛FCレディース フォーエヴァー~!」。サポーターも大合唱でゴールを称える!

 

 重要な一戦で貴重な先制ゴールを奪うことに成功し、優位に試合を進められるかと思ったが甘くはなかった。愛媛FCレディースが細かなパスワークでビルドアップを試みる中、相手に激しいボディコンタクトでボールを奪われ、カウンターからゴールを脅かされる場面が何度か続いた。

 

 強敵を相手に奮闘する愛媛FCレディース。前半25分にも好機が訪れる。右サイドのFW大矢歩選手から敵陣中央の山城選手にボールが渡る。この間に仲松選手が左サイドを駆け上がる。山城選手からのパスを受けた仲松選手がドリブルで中央にボールを運び、ペナルティアーク付近から右足を振り抜く! ボールは僅かにクロスバーの上を越えていき、惜しくもゴールとはならなかった。

 

 1点リードのまま後半に突入。FW上野真実選手の豪快なシュートや途中出場のFW桜井由衣香選手の突破なども見られたが得点には結び付かない。反撃とばかり相手もアグレッシブに攻め立ててきたが、GK吉原選手やDF武田菜津美選手ら守備陣が身体を張ってゴールを死守。その後も一進一退の攻防が続く中、時間は過ぎ去り、遂にタイムアップ!

 

 試合終了を告げるホイッスルと共に、大歓声と拍手が沸き起こる!「オッオー! WE ARE エ・ヒ・メ!」。勝利した選手たちを称えるチャントが鳴りやまない。試合後は選手たちと一緒に笑顔のラインダンスで喜びを分かち合った。

 

 リーグ戦としては、まだまだ序盤であって、今後どんな展開が待ち受けているかは分からないが、この時ばかりは至福のひと時に浸った。

 

 伊賀戦は、決して楽な試合ではなかった。序盤に先制したものの、相手の鋭い攻撃に失点を覚悟したシーンも少なくはなかった。それでも全ての局面において愛媛FCレディースの選手たちは、相手の闘志を上回る気迫溢れるプレーを見せて、しっかりと結果を残してくれた。暑く体力の消耗が激しい中、本当に素晴らしいゲームだった。

 

 10月末まで続く過酷なリーグ戦だが、このチームならきっと夢の切符を掴んでくれるに違いない。

 

 <松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。

 

愛媛新聞社


◎バックナンバーはこちらから