8日、バドミントンの全日本選手権最終日が東京・代々木第二体育館で行われた。男子シングルス決勝は田児賢一(NTT東日本)が上田拓馬(日本ユニシス)をストレートで下し、同種目史上初の6連覇を達成した。女子シングルスは三谷美菜津(NTT東日本)が廣瀬栄理子(ヨネックス)を2−0で破り、初優勝。女子ダブルスは高橋礼華、松友美佐紀組(日本ユニシス)が3連覇、男子ダブルスは早川賢一、遠藤大由組(同)が連覇を成し遂げた。早川と松友は混合ダブルスも制し、今大会2冠を達成した。
(写真:今大会オールストレート勝ちで優勝した田児)
「結果として6回連続、早く世界で優勝したい」。日本のエース田児は喜びつつも、頬を引き締めていた。対戦相手の上田も「壁が高かった」と脱帽し、日本には、もはや敵なしの感がある。

 会場の代々木第二体育館は独特の風が舞う。前日とは違う風向きに気付いた田児は、試合でしっかりとアジャスト。一方の上田はそれを掌握し切れなかった。第1ゲームを21−7で取り、「すんなりとれたことが勝因」と勢いに乗った。第2ゲームも序盤からリードを奪い、優位に試合を運んだ。終盤は競り合ったが、21−17でストレート勝ちを収めた。

「世界に向けてトライ」というアグレッシブな戦法をとった。自ら仕掛け、強烈なスマッシュを相手コートに何度も叩き込んだ。今年はBWFスーパーシリーズ(SS)で好成績を残し、10月のフランスオープンではBWF世界ランキング1位のリー・チョンウェイ(マレーシア)に初勝利した。しかし、未だにSSでの優勝はない。“何かを変えなくてはいけない”と思索する中で「(世界で)優勝する選手は攻撃している。(僕は)最後の1本を自分でいっていない」という結論にたどり着いた。

「たとえ負けたとしても次につながる」と、6連覇が止まったとしても構わないという覚悟で臨んだ。来週からはシンガポールでSSファイナルが控える。あくまで田児の視線は世界に向けられている。

 一方で「NTT東日本は負けてはいけない」と、所属チームのプライドを覗かせる場面もあった。女子シングルスは三谷が制し、女子ダブルスでは樽野恵、新玉美郷組が準優勝した。「まだ重みはわかっていない。これから絶対に負けてはいけない戦いになる。(王者として)受けに立った時にいいプレーができるか。それで勝ち続けることが真の王者」とアドバイス。負けられない戦いを続けている第一人者の言葉だけに重みがあった。
(写真:胸のチームロゴを応援席にアピールした)

 昨年に並んだ小島一平、舛田圭太の記録を超える前人未到の6連覇達成。日本最強プレーヤーは、後継者に後輩の名を挙げた。昨年の世界ジュニア王者で、今年からチームメイトとなった桃田賢斗である。今大会の準決勝で対峙し、成長を実感したようだ。「僕が出なかったら彼が優勝していたと思う。自分の役割を果たせると思うし、果たさなくてはいけない」と、次代のエースに期待を寄せた。