16日、サッカーロシアW杯のグループB第1節のポルトガル代表対スペイン代表の一戦がフィシュトで行われ、3対3の引き分けに終わった。前半4分、ポルトガルのFWクリスティアーノ・ロナウドが先制ゴールを決めるが、20分後にスペインはFWジエゴ・コスタのゴールで追いついた。前半終了間際にロナウドがこの日2点目のゴールを奪った。後半、スペインはコスタとDFナチョ・フェルナンデスのゴールで一時逆転に成功。しかし、43分にロナウドがFKを直接決めて引き分けに持ち込んだ。

 

 C・ロナウド、ハットトリックの大暴れ(フィシュト)

ポルトガル 3-3 スペイン

【得点】

[ポ] クリスティアーノ・ロナウド(4分、44分、88分)

[ス] ジエゴ・コスタ(24分、55分)、ナチョ・フェルナンデス(58分)

 

 優勝候補同士が大会序盤で当たったこの一戦。レベルの高いゲームだったが、勝ち点1を分け合った。

 

 最初にチャンスを掴んだのはポルトガルだった。前半4分、ポルトガルのロナウドがスペインのDFナチョにペナルティーエリア内で倒されて得たPKを冷静にゴール右に決めて先制をした。シザースフェイントでナチョをうまく誘いPKをもぎ取るあたりはさすがだった。

 

 この後、スペインがボールを持つが、危険な位置で回せなかった。ところが24分。DFラインからロングボールを受けたコスタが、一人で仕掛ける。ペナルティーエリア内に侵入し、2度のキックフェイントでDFを揺さぶり右足を振りぬいた。シュートはゴール左に決まり、試合を振り出しに戻した。

 

 ところが、前半終了間際だった。再びロナウドの駆け引きが奏功した。ロングボールをゴール前でFWゴンサロ・グエデスが収める。この時、ロナウドはオフサイドポジションにいた。スペインDFラインがずるずると下がりロナウドがオンサイドに。その瞬間にグエステがロナウドにショートパスを送る。ボールを受けた背番号7はトラップ後、左足で弾丸シュートを放った。強烈なボールはスペインの守護神、ダビド・デ・ヘアがセーブしきれずゴールラインを割った。再びポルトガルがリードし、試合を折り返した。

 

 後半に入り、最初に流れを掴んだのはスペインだった。10分、ゴール正面のやや遠い位置からのセットプレー。MFダビド・シルバがゴール右サイドにクロスを入れてMFセルヒオ・ブスケツが頭でゴール中央に折り返す。このボールをコスタが押し込んでスペインが同点に追いついた。このゴールから3分後、ロナウドにPKを与えたナチョが豪快なミドルシュートをねじ込みスペインが一時逆転に成功した。

 

 しかし、これら全てはロナウドを引き立てるためのものだった。2対3で迎えた43分。ペナルティーエリア手前やや右の位置でロナウドがスペインのDFジェラール・ピケに倒されて得たFKを自らセット。カーブのかかったコントロールショットは高い壁を越えて絶妙な角度で落ち、ゴール右サイドに決まった。

 

 今大会の主役の一人が大仕事をやってのけた。ポルトガルにとっては勝ちに等しい引き分け。スペインにとっては負けに等しい引き分けとなった。この引き分けが、グループBの今後を面白くするのは火を見るよりも明らかである。

 

(文/大木雄貴)