(写真:今年度は男子6名、女子2名の選手で臨む)

 伊予銀行テニス部は就任2年目の日下部聡監督の下、来る国民体育大会、日本リーグに向けて強化の真っ最中だ。今年度から佐野紘一がキャプテンを務め、早稲田大学から河野優平が新たに加わった。新チームで動き出した伊予銀行。その現状に迫る。

 

 

 4月に松山で行われたITTFユニ・チャームトロフィー愛媛国際オープンには伊予銀行からも6名がエントリーした。期待のルーキー河野は早大の後輩・坂井勇仁と組むダブルスで準優勝と好成績を挙げた。

 

(写真:入社してすぐに結果を出して見せた河野)

 これには日下部監督も「そこそこはいくかなとは思っていましたが、予想よりも良い結果を残してくれました」とうれしい誤算だったようだ。「チャレンジャー精神を前面に出し、ポイントを取りに向かっていく姿は非常に良かった」。昨年のインカレダブルス王者が、早速その実力をアピールした。

 

 河野は5月の埼玉オープンでも中島啓とのペアで優勝した。岡山県出身で、柳川高校を経て早大に進んだ。名門校を渡り歩いてきた河野に、日下部監督は「前衛でのボレーの対処方法など前での動きが良い。シングルスよりダブルス向きかもしれません。サーブ力もあるので、サーブとボレーを軸にした組み立ては高いレベルを持っています」と期待を寄せている。

 

(写真:新キャプテンの佐野、粘りのプレーが持ち味)

 前キャプテンの廣瀬一義の引退により、チーム最年長となった佐野がキャプテンの座に就いた。本人も昨年度の日本リーグ終了後には「年齢的にも一番上になるので、引っ張っていけたらいいなと思います」と語っており、その自覚は十分だ。以前よりも練習に取り組む姿勢は高まっているという。

 

 日下部監督は「他の選手を鼓舞し、ぐいぐい引っ張っていくようなタイプではありません。競技に対する姿勢など背中で見せてほしい」と要求する。佐野はダブルスで、異なるペアリングながら4大会を制した。シングルスも3大会で準優勝するなど安定した成績を残している。

 

 全日本選手権の愛媛県予選を兼ねた国体予選、男子は片山翔の優勝。2位は佐野、3位は飯野翔太、4位は中島とベスト4を伊予銀行勢で占めた。女子では長谷川茉美が制し、昨年は惜しくも逃した国体の代表権を獲得した。

 

(写真:弱点の少ないオールラウンダーの長谷川)

 日下部監督が今年度のキーマンとして挙げるのが、国体予選の優勝者2人だ。

「片山には軸になる選手。昨年度の日本リーグ決勝トーナメントでもあともう少しで勝てそうでした。彼に頼ってばかりでもいけないのですが、絶対的エースとしての活躍に期待したい。長谷川は一昨年の国体成年女子優勝メンバーです。昨年は代表になれず悔しい思いをしましたが、今年は海外大会の出場を増やすことでレベルアップを図っています。彼女はブレない精神力と脚力が武器。国体の3連覇に貢献してくれると思っています」

 

 コーチを経て、昨年の日本リーグ開幕より伊予銀行の指揮を執る日下部監督。「リラックスして練習や試合に臨めるような環境づくりをしたい」というスタンスを大きく変えるつもりはない。選手のレベルアップに応じて出場試合数が増え、以前より各々の日程は過密になっているという。各選手のコンディションに注視しながら、トレーニングメニューを組んでいくつもりだ。他には基礎練習を重点的に取り組み、地力アップを狙う。

 

 目指すは国体連覇と日本リーグV。ライバルたちが戦力アップを図り、力を伸ばしている中、目標達成は容易ではない。「日本リーグは5位が続いているので、まずはそこを超えたい。そして最終的には優勝できたらいいと思っています」。今はそのための種を蒔き、水をかけている最中だ。

 

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