6月30日

 

 カザンから空路で首都モスクワに移動しました。この日は、ライター、カメラマンとの「合宿チーム」から離れて一人旅です。

 

 ドモジェドヴォ国際空港に到着すると、市内への移動はアエロエクスプレスを使います。今回、ワールドカップを取材するプレスは「フリーライド」と言って、地下鉄やバスなど公共交通機関に無料で乗れるというサービスがあるのです。ただ、開催都市ごとに申請しなければなりません。明日の決勝トーナメント1回戦、ロシア―スペイン戦を取材する際に申請しようと思っているので、今回は500ルーブル(約900円)でチケットを買って乗りました。購入は英語表記があるので簡単でした。

 

 アエロエクスプレスは快適です。国鉄のパヴェレツカヤ駅まで、ノンストップで50分。成田エクスプレスに似ているのかなと思いました。ウトウトしてハッと目覚めたら、もう駅に到着していました。

 

 さて、今日は時間があるので、モスクワに住む元編集者の友人に再会して観光です。

 

 

 ホテルにチェックインしてから地下鉄で赤の広場の最寄り駅へ。地下鉄に「ダイドー」の自動販売機があったのにはびっくりしました。中身はコーラなどダイドーの商品ではないように見えましたが……。

 

 モスクワと言えば赤の広場ですよね。高い城壁の内側には大統領府など政府の施設のほか宮殿や聖堂が立ち並びます。

 

 

 石畳の広場は各国のサポーターが集っていました。アルゼンチンに、ブラジルに、コロンビア……なぜか南米の人たちが多いです。赤の広場の名物と言えば、ポクロフスキー聖堂です。カラフルなドームが特徴で、中央の塔は46mの高さがあるとか。多くの人がここで写真撮影していました。

 

 

 

 赤の広場を一周してから、ブランド店が並ぶ有名なグム百貨店に立ち寄りました。ここのアイスクリームが有名だそうです。確かに観光客が並んでいましたね。

 サッカーボールの風船や各国の国旗があちこちに飾られていて、ショッピングをしなくても見て回るだけで楽しかったです。

 

 

 グム百貨店を出た後は、メインストリートのトゥヴェルスカヤ通りへ。電飾が吊り下げられていて、夜になるとイルミネーションがストリートを彩ります。ここも人が多い。原宿よりもごった返している印象です。レストランやカフェが立ち並び、試合の時間になるとサッカーファンで人だかりができるそうです。

 

 

 僕たちが入ったレストランはジョージア料理のお店。友人から「小籠包に近いから食べてみて」と勧められたのが、ヒンカリ。中に肉と野菜が入っていて、肉汁がジュワと出てきます。確かに小籠包です、これ。そしてチーズと玉子が入ったパンのハチャプリも食べてみました。ジョージアでは国民食と呼ばれているとか。やみつきになりそうです。

 

 友人からロシア事情もいろいろと聞けて勉強になりました。

 移動の疲れもあるので、ホテルに戻ります! おやすみなさい!

 

7月1日

 

 きょうは決勝トーナメント1回戦、開催国ロシアと強豪スペインの一戦です。先輩ライターと合流し、メディアバスを使用して、いざルジニキ・スタジアムへ。

 

 今大会最大の8万1000人の収容規模を誇るルジニキは昨年、改装されました。決勝戦もここで行われます。開場は1956年で、60年以上の歴史を誇ります。旧称はレーニン・スタジアムだったそうです。確かにレーニンの銅像もありました。

 

 

 試合の3時間前に到着すると、人、人、人……。

 もうお祭りです。ADセンターで「フリーライド」を取得してから、メディアセンターにたどりつくまで20分は掛かったでしょうか。地元ロシアのファン、サポーターが大半です。

 

 試合は1-1で延長戦でも決着がつかず、PK戦の末にロシアがスペインを破るアップセットを起こしました。

 最後にロシアのGKイゴール・アキンフェーフが左足で防いでPK戦を終わらせると、地鳴りのような歓声が起こりました。そして「ロシア! ロシア!」の大合唱。粘り強く守って、勝利を手繰り寄せた素晴らしいゲームだったと思います。

 

 時間が遅くなったので、食事はメディアセンターで簡単に済ませました。ライスもありますし、サラダもあります。チキンナゲットやポテトなども。ここではビールも売っています。さすがにノンアルコールですが。各国のメディアもここで食事をする人が多いです。

 

 原稿を書いてからメディアセンターを出ると、ロシアのサポーターはまだまだ盛り上がっていました。メディアバスでホテルに戻りましたが、昨日一緒に食事をしたロシア在住の友人にあとで聞くと、夜中も車のクラクションが鳴りっぱなしだったとか。

 

 さて私のロシア日記もここでおしまいです。

 初めてのロシアでしたが、とても過ごしやすく、人も親切でした(空港で塩対応されたことも何度かありましたが)。ただちょっと移動が大変で、疲れが抜けないまま過ごした日々でした。

 

 スパシーバ!(ありがとう)、ダ スヴィダーニャ!(ごきげんよう)