3日(現地時間)、サッカーロシアW杯決勝トーナメント1回戦のイングランド代表対コロンビア代表の一戦がモスクワで行われた。試合は1対1の同点でPK戦の末、イングランドがベスト8に駒を進めた。後半12分にFWハリー・ケインのPKでイングランドが先制したが、アディショナルタイムにDFジェリー・ミナのゴールでコロンビアが追いついた。PK戦では4人目までに互いに1人ずつ失敗。先攻のコロンビアの5人目のFWカルロス・バッカが失敗し、後攻のイングランドの5人目のMFエリック・ダイアーが左隅に決めた。

 

 ケイン、今大会6点目!(モスクワ)

イングランド 1-1 コロンビア

      (PK -3)

【得点】

[イ] ハリー・ケイン(57分)

[コ] ジェリー・ミナ(90+3分)

 

 前半、両チームとも流れの中ではほとんど好機はなかった。

 

 31分、イングランドのFWラヒーム・スターリングが右サイドからカットインしてシュートを放つがコロンビアDFにブロックされた。32分にはスローインをFWラダメル・ファルカオがポストプレーで落とすと、MFファン・キンテーロが左足でミドルを打つがゴール左にそれた。

 

 互いが慎重になり、硬い試合展開となったが後半に入り試合が動いた。

 

 後半9分、イングランドの右CK。ペナルティーエリア内でのポジション争いの際に、コロンビアのMFカルロス・サンチェスがイングランドのケインを抱え込み、最後は上に飛び乗り倒してしまう。主審は迷うことなく笛を吹き、ペナルティースポットを指さした。このPKをケインがゴールの真ん中に蹴り込んでイングランドが先制した。

 

 何とかボールを奪うために前から追いかけ回すコロンビア、プレスをいなしながら隙あらば追加点を奪いたいイングランド。この得点を境に、両チームともファウルが乱発する荒れた展開になった。

 

 失点後、コロンビアは冷静さを失っていたが、徐々にチャンスが増える。36分には途中出場のバッカが相手DFからボールをかっさらいショートカウンターを仕掛ける。ゴール右に走り込んだFWファン・クアドラードがボールを受けシュートを放ったがわずかにゴール右にそれた。

 

 後半アディショナルタイムにはMFマテウス・ウリベが右足で約40メートルの位置からゴールを狙う。シュートは枠内に飛んだがイングランドGKのジャック・バトランドがセービングで右CKに逃げた。この右CKキッカーのクアドラードが直接クロスを入れる。空中戦に強いミナが頭で合わせてコロンビアが土壇場で同点に追いつき、試合は延長戦に突入した。

 

 延長では互いに1回ずつチャンスをつくったが、決めきれず試合はPK戦にもつれ込んだ。

 

 先攻はコロンビア、後攻はイングランドだった。イングランドの3人目、MFジョーダン・ヘンダーソンの右を狙ったシュートはコロンビアGKのダビド・オスピナが左手一本でセーブ。しかし、コロンビアの4人目、ウリベのキックはバーに嫌われた。イングランドの4人目、DFキーラン・トリッピアーは危なげなく成功。コロンビア5人目のバッカのキックはイングランドの守護神、ジョーダン・ピックフォードが左手で止めた。そして、イングランドのラストキッカーを務めたダイアーが左隅に蹴り込んでイングランドが勝負を制した。

 

 大会前、下馬評の低かったイングランドがベスト8進出を果たした。次の対戦相手は今大会でダークホース的な存在となっているスウェーデンだ。1990年大会以来のベスト4進出をかけて堅守が武器の古豪と対戦する。

 

(文/大木雄貴)