二宮清純: この人と飲みたい、今回のゲストは元プロボクサーの内山高志さんです。内山さんはWBA世界スーパーフェザー級王者として11回連続防衛を果たし、「ノックアウト・ダイナマイト」の異名をとりました。
内山高志 よろしくお願いします。

 

二宮: 今宵は元世界チャンピオンと雲海酒造の本格芋焼酎『木挽BLUE』をレフェリーにして、拳ではなくグラスを交えます。お手柔らかに。
内山 こちらこそ。現役を引退して食べて飲んでという日々を送っているので、そういう意味では準備万端です。

 

二宮: では早速、『木挽BLUE』の香りが際立つロックをどうぞ。
内山 うん、香りが良くすっきりしていて味わい深いですね。開始早々、きれいにワンツーを決めたような爽快な美味しさです。

 

二宮: 私はすきっ腹だったので、いきなりドスンとボディを打ち抜かれました。
内山 アハハ。盛り返してフルラウンドいきましょう。

 

 

 

 

 

 イチローの言葉に感銘

 

二宮: 改めて伺いますが、現役を引退してどれくらいになりますか?
内山 正式に発表したのが去年の7月なのでようやく1年ですね。でも、実際はその前、3月とか4月には決めていました。最後の試合(2016年12月31日)からだと、もう1年半以上経っているんですね。

 

二宮: これまでロードワークなど練習がハードだったから、何か物足りない感じじゃないですか?
内山 全然、物足りないですよ(笑)。今もランニングと筋トレを週イチでやってますけど、そうすると試合がしたくなります。

 

二宮: リングが恋しい?
内山 だってボクシングほど面白いものはありませんからね。最近、感銘を受けたのがメジャーリーガー・イチロー選手の「野球の研究者になりたい」という言葉なんです。「最低でも50歳まで野球を続けて、その年齢でどうなっているのかを見たい」と言っていましたよね。

 

二宮: では、内山さんはボクシングの研究者に?
内山 プロで13年、アマチュアも入れたら23年間、せっかくやってきたんだから、体を緩めるのがもったいない気もします。いくつまで体を維持できるかわからないけど、ボクシングを続けてみたいという気持ちがあります。ジムをオープンするのも、自分が体を動かしたいという思いがあったからです。

 

二宮: 開設するのはボクシングジム?
内山 フィットネス、トレーニング、ボクササイズなどのジムで、プロ養成のジムじゃないです。プロ、しかもチャンピオンを生み出そうとなったらマンツーマンで指導しないと難しいですから、それはまた別の話です。だから今回、オープンするのはボクシングの楽しさ、運動の楽しさを広める、そういうスタンスのジムです。

 

二宮: 開設の暁には、私も会員に。
内山 ぜひ、お願いします!

 

二宮: もうグラスが空になりました。この飲みっぷりを見ていると、内山さんはお酒が強そうですね。
内山 ええ、それなりに。

 

二宮: 現役時代も飲んでいましたか?
内山 試合のないオフの日は飲みました。昔はボクサーにアルコールはご法度という感じでしたが、まあ気晴らしも必要かな、と。でも次の日に朝練があるので、アルコールが残っていちゃいけない。そのあたりはコントロールしていました。

 

二宮: プロデビュー前は会社勤めもしていたから、その時代の方が飲んだんじゃないですか?
内山 いや、サラリーマン時代はずっとアマチュアでボクシングをやっていたので飲む時間がなかった。

 

二宮: アフター5の飲み会も?
内山 毎日、朝4時50分起きで会社に行って、それで夜の練習が終わって帰って寝るのが11時とか12時。それでまた翌朝、4時50分起きだから飲む時間なんてありませんでした。残念ながら……。

 

二宮: それはきつかったでしょう。
内山 その生活を2年間やっていました。確かに辛かったですね。

 

二宮: 今は現役を引退して、ようやくお酒を楽しめていますか?
内山 練習もないので、365日外食で毎晩飲んじゃってます。

 

二宮: 飲むのは焼酎?
内山 焼酎やワインですが、和食なら最初から焼酎です。この『木挽BLUE』はクセがないから、何にでも合いそうですね。この焼肉にもピッタリですよ。

 

二宮: では、もう一杯!
内山 お言葉に甘えて、おかわりをお願いします。

 

 走り込んだヤツが強い

 

二宮: さて、今のボクシング界です。先日、3階級制覇を果たしたWBA世界バンタム級王者の井上尚弥選手は、元チャンピオンの目から見てどうですか?。
内山 本当に強いですよ。10年間負けなしの王者ジェイミー・マクドネルとの一戦は、やる前から「尚弥の方が強いな」と感じていました。

 

二宮: 戦前は身長差、リーチ差もあって苦しい戦いになるのでは、という見方もありました。
内山 やはりスピードが段違いなんですよ、尚弥は。対してマクドネルはスピードがそんなにあるわけじゃないので、まあ尚弥が勝つだろうな、と。

 

二宮: それにしても1ラウンドTKOですから、ハンパなかったですね。
内山 尚弥はゴングが鳴ってすぐにマクドネルの実力を見切ったんじゃないですかね。「違う、実力が違う」と、自分の感覚でわかったんだと思います。そうじゃないとあんなに思い切って踏みこんで打てないですよ。

 

二宮: 井上選手は今度、ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)に出場します。ボクシング王者が集うトーナメントですが、井上選手に勝算は?
内山 尚弥は普通に勝つと思いますよ。海外開催なので、日本と調整の仕方が変わるところに不安はありますが……。

 

二宮: 優勝賞金1000万ドル(約11億円)、内山さんも現役なら出たかったでしょう。
内山 もちろん、出たいですよ。あんなに楽しい大会はないじゃないですか。強いヤツが集まっていて、それで賞金もすごいし。

 

二宮: 内山さんは11回も防衛して、相当に貯まっているでしょう(笑)。
内山 いや、それほどでもありません。僕はボクシング以外でテレビなどのメディアには出ないようにしていたので、そんなに稼いでませんよ。だからWBSS、余計に出たかったなァ(笑)。

 

二宮: 日本人ボクサーではロンドン五輪ミドル級金メダリストで、現WBA世界ミドル級王者の村田諒太はどうですか?
内山 村田はミドル級の日本人ではトップレベルだと思います。彼はハデさがなくて地味だから、強さが伝わりにくいんですけど、体幹を含めてパワーがすごい。だからガードも頑丈だし、やはり強いんですよ。オリンピックのときもあのガード主体でいって、結局それで勝ったじゃないですか。ブロックが強くて、地味にパワーがあるということです。

 

二宮: なるほど。他に村田選手の強さの秘密は?
内山 彼は足がめちゃくちゃ速い。しかも短距離も長距離も。

 

二宮: それは下半身ができているということですか?
内山 そうなんです。下半身の差は試合の後半に出ます。走り込むなどして下半身をしっかりさせてないと、後半にKOできない。足が疲れちゃって、腕の力だけに頼っちゃいますから。

 

二宮: ああ、なるほど。そういえば強いボクサーは皆、ふくらはぎの筋肉がパンッとしてますよね。
内山 走り込んだ証拠です。本当、下半身は大事ですよ。

 

 言い訳は一切しない

 

二宮: 防衛を続けていたころ、「俺は強い、誰とやっても勝てる」という心境で、不安なんてなかったのでは?
内山 いいえ、不安しかなかったですね。

 

二宮: あれだけ強かった内山さんでも?
内山 もう、いつかやられるなっていう不安ばかりでしたよ。特に年齢が35歳を過ぎたあたりから。練習でやっぱり反応が落ちているという実感がありましたから。

 

二宮: 若いときに比べて落ちている、と。
内山 はい。11回目の防衛戦、オリバー・フローレスと戦ったときに、3ラウンドに一発で倒したんですが、その前のラウンドではちょこちょこダメージにならない浅いジャブをもらっていたんですよ。

 

二宮: 「なんで、こんなのをもらうんだ」と?
内山 ええ。スパーリングでも、前より少しもらうようになったな、と思っていたので、やはり不安だらけでしたね。

 

二宮: そういうとき、不安はどう払拭するんですか?
内山 いや、もうとにかく練習です。練習量で補うというか、キツイ練習をしたんだから大丈夫と思える。ボクシングというは最後は「どんだけキツイ練習をしてきたか」がよりどころになるスポーツだと思いますね。

 

二宮: 11度の防衛を果たした内山さんですが、2016年4月、ジェスレル・コラレスと戦って敗れました。あの試合は2ラウンド2分59秒でKO負け。コラレスのカウンターは当時、「ラッキーパンチ」とも言われていましたが。
内山 いや、あれは試合後にビデオでも確認しましたが、こっちのワンツーをしっかりと見切って、それで打ち返しています。ラッキーではないですね。それに実際に戦って、やり難いなという感覚もあったし、向こうが強かったということです。

 

二宮: そのコラレスと16年の大晦日に再戦。これは内山さんの希望だった?
内山 「2回目どうだ」と言われて、「コラレスとやりたいです」っていう話をしました。次にやっても勝てるかどうかわからないという感覚はあったんですが、でも、コラレスとはもう1回やっておかないと、という気持ちがありましたから。逃げたと思われるのはイヤですし……。

 

二宮: 試合は12ラウンド戦って判定負けでした。あの結果は、後々まで引きずったんじゃないでしょうか?
内山 あの時、こうやっておけば良かったなとか、タラレバはいっぱいあります。でも、もう負けは負け。試合が終わって負けたな、と思っていました。相手が自分よりも強かった、それだけです。

 

二宮: 内山さんは潔いですよね。そこが人気の秘密でもありました。
内山 この『木挽BLUE』も潔い味ですよ( 笑)。僕自身、尊敬しているボクサーがいっぱいいますが、皆さん、潔い。知らず知らずのうちにそういう人たちを見習っているのかもしれませんね。

 

二宮: さて、そろそろ『木挽BLUE』のボトルも半分が空きました。ここまでいかがですか?
内山 内山対木挽BLUE、10対10のイーブンです。

 

二宮: アハハ。じゃあ、そろそろ倒しにいかないと。
内山 そうですね。次はワンツー(ダブル)、ではなくワンツースリー、『木挽BLUE』をトリプルでお願いします。

 

二宮: チャンピオンのエンジンがかかってきたようです。では、後編もお楽しみに。

(つづく)

(文/SC編集部・西崎)

 

<内山高志(うちやま・たかし)プロフィール>
1979年11月10日、埼玉県生まれ。高校からボクシングを始め、拓殖大ボクシング部へ進む。同大卒業後は会社勤めをしながらアマチュアボクシングを継続し、全日本選手権3連覇を果たす。2005年、25歳でプロデビュー。07年、OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王座を奪取。10年、ファン・カルロス・サルガドを破りWBA世界スーパーフェザー級王座を獲得した。その後、防衛を重ね、11連続防衛を果たした。プロ通算27戦24勝(20KO)2敗1分け。17年7月、引退。そのKO率の高さから「ノックアウト・ダイナマイト」の異名をとった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回、内山さんと楽しんだお酒は芋焼酎「木挽BLUE(ブルー)」。宮崎の海 日向灘から採取した、雲海酒造独自の酵母【日向灘黒潮酵母】を使用し、宮崎・綾の日本有数の照葉樹林が生み出す清らかな水と南九州産の厳選された芋(黄金千貫)を原料に、綾蔵の熟練の蔵人達が丹精込めて造り上げました。芋焼酎なのにすっきりとしていて、ロックでも飲みやすい、爽やかな口当たりの本格芋焼酎です。

 

提供/雲海酒造株式会社

 

<対談協力>
ドロップキック
東京都新宿区荒木町3 第3ハルシオン1F
TEL:03-5368-8474
営業時間:月曜-金曜18時~翌6時、土曜18時~翌3時、日曜18時~24時
定休日: お盆、年末年始

 

 

 

 

☆プレゼント☆

 内山さんの直筆サイン色紙を芋焼酎「木挽BLUE」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はこちらのメールフォームより、件名と本文の最初に「内山高志さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、郵便番号、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)を明記し、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストをお書き添えの上、お送りください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は18年8月9日(木)。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。

 

◎クイズ◎

 今回、内山高志さんと楽しんだお酒の名前は?

 

 

 お酒は20歳になってから。

 お酒は楽しく適量を。

 飲酒運転は絶対にやめましょう。

 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。


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