二宮清純: この人と飲みたい、引き続き元WBA世界スーパーフェザー級チャンピオンの内山高志さんと一緒に『木挽BLUE』のグラスを傾けます。いかがですか?
内山高志 もう4、5杯目ですが、キレがあってすっきりした口あたりでグイグイと飲めますね。

 

二宮: ボトルもかなり空いてきましたよ。
内山 飽きることなくずっと飲んでいられます。ボクシングでいえばスタミナがあってフルラウンドいける、そういうタイプですね。

 

二宮: 焼肉との相性も抜群でしょう。
内山 焼肉と『木挽BLUE』のコンビネーション、これなら世界を獲れますよ(笑)。

 

二宮: 世界ですか! 内山さんが言うんだから間違いない(笑)。

 

 ハードパンチャーの勲章

 

二宮: 内山さんは2005年、25歳でプロデビューしました。遅めのプロ転向でしたが、WBA世界スーパーフェザー級のベルトを11回連続防衛。引退した今、振り返ってみると満足していますか、それともまだやれたという感じですか?
内山 欲を言えば「海外でやりたかった」「あの相手と戦いたかった」などもありますが、でも総体的には満足なボクサー人生でした。25歳でプロになって、なんとか良くできたなと思っています。

 

二宮: 11回防衛ですから、良くできたどころじゃないですよ。
内山 いや、自分ではそこまでいくとは思ってなかったので……。ケガも多かったし、ヒジや拳の手術もプロになって4回もしましたから。

 

(写真:度重なる負傷と手術の影響で、右手の甲、中央部がボコリと盛り上がっている)

二宮: 4回もやってますか!?
内山 ここ見てください。右手の甲の部分、形が変わっているでしょう? これ、骨が2本折れて中に入っちゃったんですよ。

 

二宮: すごい。これはハードパンチャーの勲章ですね。前に三浦隆司選手との防衛戦、右拳骨折を隠して戦ったことがありました。あれは驚きでした。
内山 2011年1月、3度目の防衛戦のときですね。1カ月前の練習中に痛めて、試合はキャンセルできないし、情報がどこから漏れるかわからないから絶対に言えない。それで痛み止めでごまかしながら試合に臨んだら、試合中に折れちゃいました。後で診断したら脱臼だったんですけど、靭帯切れてるし大変でしたよ。

 

二宮: あのとき試合を見ていて、「なんで右を出さないんだろう」と不思議に思っていたんですよ。何かトラブルが発生したのかな、と思いましたがまさか骨折とは……。
内山 出さないんじゃなくて、出せなかったんですね。もちろん何発かは右でも打っていましたよ。相手にケガのことを悟られるわけにはいかないですから。でも音は「スパーンッ!」とするけど、拳を握れないからダメージはなかったでしょうね。

 

二宮: 後で三浦選手に聞いたら「拳を痛めていたなんて全然気付かなかった」と言っていました。あの試合は結局、内山さんが左のジャブの連打で三浦選手の右目をふさぎ、8ラウンドTKOで勝ちました。あのとき3ラウンドにダウンを奪われましたが、三浦選手の印象は?
内山 強いボクサーだな、と。その強い三浦が相手だったから、僕の株も上がったのかなと思っています。まあその後のWBC世界スーパーフェザー級チャンピオンですからね、当然強いですよ。そして何よりもガッツがあって、なんか昔の日本人という感じでいいヤツです。

 

 昨日の敵と飲み会

 

二宮: 他に日本人ボクサーと防衛戦は?
内山 金子大樹とやりました。

 

二宮: 13年の大晦日ですね。判定勝ちで8回目の防衛に成功した試合です。金子選手はどういうボクサーでしたか。
内山 彼はなによりもハートが強い。そういえば去年、三浦と金子、そして僕の3人で飲みに行きましたよ。

 

二宮: ホーッ! それはすごいメンバーですね。
内山 話したのは今のボクシング界のことや、あとは「お前、あのとき会見でガン飛ばしてたろうが」とか(笑)。

 

二宮: アハハ。お店で殴り合いになったら大変ですよ。
内山 ないです、ないです。リングを降りたら、みんな紳士ですから。

 

二宮: それにしても、引退後も体型が変わりませんね。体重は?
内山 63キロくらいで、これも現役時代と変わりません。

 

二宮: スーパーフェザーのリミットは体重58.967キロですから、減量も苦じゃなかった?
内山 僕はほぼナチュラルウエイトでしたから、まったく苦労しませんでした。その分、普段から食べ物に気を使ったり、野菜ジュースを飲んだりして節制してましたけど。

 

二宮: ボクサーといえば漫画「あしたのジョー」にあるように、毛布をかぶって汗をかいたり、水を飲まないように水道の蛇口を針金で縛ったりと、苦しい減量がつきものというイメージですよね。
内山 僕は今の自分より弱くなるのがイヤというのもあって、ナチュラルでやっていたんですよ。たとえば1階級や2階級下で戦うために体重を減らした自分を想像すると、「なんか弱々しいな」と思っちゃうんですよ。体格的には階級を下げた方が有利なんですけどね。

 

二宮: 内山さんのスーパーフェザー級だと、対戦相手のほとんどは普段、体重70キロ近い選手ですね。
内山 そうですね。基本、僕よりもひと回り骨格が大きい選手ばかりでした。

 

二宮: 初防衛戦の相手、アンヘル・グラナドスはウエルター級(リミット66.678キロ)で戦った経験もある選手でした。リーチも長くて、戦いづらかったでしょう。
内山 グラナドスは身長185センチ、リーチは192センチありました。確かにやりづらかったですよ。

 

二宮: でも6ラウンドに右フック一発でダウンを奪い、そのままTKO勝ち。さすが「ノックアウト・ダイナマイト」です。内山さんの右は当たれば倒れるという、すごい破壊力でしたね。
内山 三浦戦で右手を負傷するまでは、相手の顔のどこかに右が当たれば倒せると自分でも思っていました。ケガの後は左がフィニッシュブローになりましたけど。

 

 ボクシング普及へ

 

二宮: 内山さんは左も強烈でした。相手の懐に潜り込んで左フックでボディをえぐって倒したこともありますよね。いやー、今、思い返しても内山さんの試合は本当に面白かった。
内山 ありがとうございます。そうやって面白いと思ってもらえて、日本のボクシングファン、そしてボクシング人口がもっと増えるといいなと思っています。

 

二宮: 現状、ボクシング人口は?
内山 近年は減少傾向だそうです。ただ、大橋秀行さん(大橋ボクシングジム会長)が提唱するキッズボクシングでボクシングを始めた子たちが高校、大学に進むようになれば、また増えると思いますよ。

 

二宮: 内山さんがオープンするフィットネスジムもボクシング普及のきっかけになればいいですね。
内山 そうですね。ボクササイズで面白さを知ってもらえたら、と考えています。あと僕がジムをオープンするのには、ひとつ大きな理由があるんですよ。

 

二宮: なんでしょう?
内山 老若男女問わず体を動かす楽しさを知ってもらって、それで健康寿命を伸ばすことなんです。

 

二宮: 確かに平均寿命は伸びていますが、それといつまでも動いていられるかは別ですからね。
内山 何歳になっても元気に動けて、それで長寿というのが最高じゃないですか。そのための一助になればと思っています。そういえば、うちの母もジムオープンには乗り気なんですよ。

 

二宮: お母さんはおいくつですか?
内山 還暦はとうに過ぎていますが、毎日、フラダンスやヨガをやっているんです。それで「お前のジムがオープンしたら、そこでやらせてくれ」って。

 

二宮: 最高の親孝行じゃないですか。
内山 そうですね。だから今はジムの物件探しや内装のこと、それにウェブサイトのデザインの打ち合わせなどもやっていて、忙しいけど充実した毎日です。

 

二宮: さて、『木挽BLUE』とのフルラウンドマッチ、そろそろお時間となります。
内山 いや、すっきりとした飲み口でついつい飲みすぎてしまいました。でも、いいリフレッシュになりましたよ。

 

二宮: 明日への活力が湧きましたか?
内山 そうですね。ボクサーがきつい練習や減量になぜ耐えられるかというと、試合後に一度リセットして、美味しいものを食べたりして心も体もリフレッシュするからなんです。

 

二宮: 内山さんには今度、経営者としての戦いが待っていますね。
内山 頑張ります。では、最後に『木挽BLUE』をもう1杯いただきます。

 

二宮: 飲み方は?
内山 ストレートで!

 

二宮: 一発KOですね。今日はありがとうございました。

 

(文/SC編集部・西崎)

 

<内山高志(うちやま・たかし)プロフィール>
1979年11月10日、埼玉県生まれ。高校からボクシングを始め、拓殖大ボクシング部へ進む。同大卒業後は会社勤めをしながらアマチュアボクシングを継続し、全日本選手権3連覇を果たす。2005年、25歳でプロデビュー。07年、OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王座を奪取。10年、ファン・カルロス・サルガドを破りWBA世界スーパーフェザー級王座を獲得した。その後、防衛を重ね、11連続防衛を果たした。プロ通算27戦24勝(20KO)2敗1分け。17年7月、引退。そのKO率の高さから「ノックアウト・ダイナマイト」の異名をとった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回、内山さんと楽しんだお酒は芋焼酎「木挽BLUE(ブルー)」。宮崎の海 日向灘から採取した、雲海酒造独自の酵母【日向灘黒潮酵母】を使用し、宮崎・綾の日本有数の照葉樹林が生み出す清らかな水と南九州産の厳選された芋(黄金千貫)を原料に、綾蔵の熟練の蔵人達が丹精込めて造り上げました。芋焼酎なのにすっきりとしていて、ロックでも飲みやすい、爽やかな口当たりの本格芋焼酎です。

 

提供/雲海酒造株式会社

 

<対談協力>
ドロップキック
東京都新宿区荒木町3 第3ハルシオン1F
TEL:03-5368-8474
営業時間:月曜-金曜18時~翌6時、土曜18時~翌3時、日曜18時~24時
定休日: お盆、年末年始

 

 

 

 

☆プレゼント☆

 内山さんの直筆サイン色紙を芋焼酎「木挽BLUE」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はこちらのメールフォームより、件名と本文の最初に「内山高志さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、郵便番号、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)を明記し、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストをお書き添えの上、お送りください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は18年8月9日(木)。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。

 

◎クイズ◎

 今回、内山高志さんと楽しんだお酒の名前は?

 

 

 お酒は20歳になってから。

 お酒は楽しく適量を。

 飲酒運転は絶対にやめましょう。

 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。


◎バックナンバーはこちらから