22日、富士ゼロックススーパーカップが東京・国立競技場で行われ、13年Jリーグチャンピオンのサンフレッチェ広島が13年度天皇杯王者の横浜F・マリノスを2−0で下した。広島は前半6分、MF野津田岳人のゴールで先制する。後半21分にはFW浅野拓磨の公式戦初ゴールでリードを広げた。広島はピンチを招く場面もあったが、守備陣が体を張った守りで横浜FMをシャットアウト。連覇の広島は同大会3度目の優勝。25日からのアジアチャンピオンズリーグ、3連覇を狙うJリーグ開幕(3月1日)に弾みをつけた。

 野津田と浅野、19歳コンビが躍動(国立)
サンフレッチェ広島 2−0 横浜F・マリノス
【得点】
[広島] 野津田岳人(6分)、浅野拓磨(66分)
 V3へ向けて好発進を切った。広島が2シーズン、リーグ戦で勝てなかった横浜FMに完勝した。試合を決めたのはともに19歳の野津田と浅野。FW佐藤寿人、MF青山敏弘らJ連覇の原動力となった主力に新星が加わり、準備万全でシーズン開幕を迎える。

 野津田はスタメン、浅野はベンチという状況でキックオフを迎えた。野津田は前半6分、いきなり結果を出した。MF石原直樹がロングボールに抜け出し、右サイドからグラウンダーのクロス。ニアサイドでFW佐藤寿人がつぶれ、中央に流れてきたボールを野津田が左足で押し込んだ。「普段の練習からもやっているパターン」という得意なかたちで、先発起用の期待に応えた。

 早い時間帯に先制した広島は、高い位置から横浜FMの選手にプレスをかけ続ける。特にボランチの青山は、相手のキーマン・MF中村俊輔を徹底してマーク。中村に前線でボールを受けさせず、横浜FMに攻撃のリズムをつくらせなかった。裏をとられてピンチを迎える場面もあったが、DF千葉和彦、DF塩谷司らが体を張ったブロックでゴールは許さない。1対0でリードしたまま、試合を折り返した。

 後半も広島ペースで試合が進んだ。後半5分、石原が右サイドを突破し、折り返しのボールを佐藤が合わせた。これはGKの好守に阻まれたものの、積極的に追加点を狙う姿勢が強く出ていた。14分には、佐藤に代えて浅野を投入。すると2年目のストライカーも、野津田に負けじと光を放った。

 21分、浅野はPA裏へ鋭く動き出し、野津田からのスルーパスを呼び込む。GKが前に出てくる中、受けたボールをダイレクトでゴールに流し込んだ。浅野にとって待望の公式戦初ゴール。浅野、野津田の19歳コンビで奪ったゴールに、森保一監督もベンチで手を叩いて喜びを表した。

 リードを広げた広島は、その後もボールを支配し、相手ゴールに襲い掛かった。30分には野津田が左足で右ポスト直撃のミドルシュート。浅野もスピードを生かしてカウンターから抜け出すなど、持ち味を発揮した。結局、3点目は奪えなかったものの、2対0の完勝で広島が今季初タイトルを獲得した。

「野津田と浅野が、今日の試合で得点を決めて攻守ともにいいプレーをしてくれた。なによりも2人に関してよかったと思ったことは、元日(天皇杯)の決勝のときは2人とも途中出場で出て、あまりいいプレーができなかった。DFに止められて、うまくいったシーンの方が少なかった。その経験を踏まえて、今日は2人とも素晴らしいプレーを見せてくれて、チームの中のレギュラー争いに加わっていけるくらいのパフォーマンスを見せてくれた。(天皇杯の)悔しさをバネにこうして成長してきてくれていることが僕としても嬉しい」

 森保監督は結果を出した19歳コンビに賛辞を惜しまなかった。佐藤らこれまでの主力はまだまだ健在だが、若い世代の台頭がなければ強さを継続させることは難しい。かねてから「広島は育成型クラブ」と公言する指揮官のチームづくりは、順調にきているようだ。その上で、「(浅野、野津田の)2人だけでなく、これからも若手が出てくることに期待している。チームとしても若手とベテランが切磋琢磨してチーム力を上げていけるように」と更なるチーム力アップを図る。

 結果を出した19歳コンビも、上を見据えている。浅野が「まだまだ課題は沢山ある。もっと点を取れるように課題を解決していきたい。(今季は)全ての大会で点を取りたい」と語れば、野津田も「これからもしっかりと結果を出して、自分が勝利に貢献できるように、そして3連覇に向かって沢山ゴールが取れるようにしたい」と意気込んだ。

 ベテランと若手の共存――広島は黄金期に突入しようとしている。

(鈴木友多)