1日、J1第1節が各地で行われ、3連覇を狙うサンフレッチェ広島は大阪長居スタジアムでセレッソ大阪を1対0で下し、白星スタートを切った。前半はともに決定機をつくるには至らず、0対0のまま試合を折り返した。後半も互角の展開が続いたが、27分、広島がDF塩谷司のゴールで先制。その後はホームのC大阪にボールを支配されたものの、落ち着いた守りで攻撃を跳ね返した。注目のFWディエゴ・フォルランは先発出場したが、無得点で後半36分に交代した。

 塩谷、豪快左足ボレー弾!(長居)
セレッソ大阪 0−1 サンフレッチェ広島
【得点】
[広島] 塩谷司(72分)
 スコア以上に広島の強さが際立つ試合だった。公式戦3連戦(富士ゼロックス・スーパー杯、ACL)の3戦目。疲労が蓄積している中での勝利に、森保一監督は「大きな自信になる」と選手たちを称えた。

 序盤は互いに出方を伺う静かな展開となった。
 広島のチャンスは前半19分、MF野津田岳人が裏に抜け出し、シュート。これはGKに弾き出され右てCKとなった。そのCKでは、MF石原直樹が頭で合わせたものの、わずかにゴール左に外れた。44分には、塩谷がCKからヘディングシュート。これもわずかにゴール上へ。いずれも得点にはならなかったが、ゴールの匂いは広島に漂っていた。

 後半、序盤はC大阪に押し込まれた。9分、MF南野拓実にPA内からシュートを打たれた。DFに当たりながら枠に飛んだが、これはGK林卓人が好守で防いだ。その後、広島はしっかりとブロックを構築し、なかなかシュートにまで持ち込ませない。DF千葉和彦が「スライドしての守備は、ゼロックスで手応えを得ていた。押し込まれる時間もあったけど、守備の距離感が良かったし、慌てることはなかった」と語ったように、リーグ最少失点だった昨年からの堅守は今年も健在だ。

 劣勢を凌ぐと、巡ってきたチャンスをしっかりとモノにした。27分、塩谷が先制点を決めた。縦パスをつなぎ、受けた石原がPA内右サイドを仕掛け、中央へ浮き球のクロス。これに塩谷が左足ボレーでゴールに叩き込んだ。塩谷の機を見た果敢な攻撃参加が光った。

 先制後は、前に出てきたC大阪の猛攻にあった。36分、DF丸橋祐介に左足でゴールを狙われた。強烈なシュートが枠内に飛んだが、林がパンチングで防いだ。広島は押し込まれたものの、ゴール前に人数をかけ、簡単にシュートを打たせない。セカンドボールへの反応も早く、波状攻撃を許さなかった。世界屈指の点取り屋・フォルランにも決定的な仕事をさせなかった。「よくボールに触っていたけど、裏を取る動きがなかったので、そんなに怖くはなかった」と千葉。個に対して、しっかりと組織で対応できていた。

「開幕戦はやはり特別な、独特な雰囲気がある。内容はどうであれ、この開幕戦を勝てるかどうかが非常に大切だと思うので、そこで勝利できたということは、何よりもよかった」
 森保監督はこう語った。MF高萩洋次郎、MF清水航平ら主力をケガで欠く中での勝利。指揮官は「(代わりに)出場機会を得られている選手が活躍してくれて、結果をものにすることができるというのは、チーム一丸となってやれている証拠。チーム全体の底上げができているように思う」と手応えを口にした。

 チーム力の向上は、選手も感じている。千葉は「昨年は、主力が欠けたら勝てない試合が多かった。でも、今年は総合力が上がっていると思う」と胸を張った。現状維持ではなく、レベルアップ。強くなり続ける王者が、3連覇へ向けて大きな一歩を踏み出した。

 浦和、敵地で勝ち点3

 唯一のナイトゲームで行われた一戦は、浦和レッズがJ2から昇格したガンバ大阪を1対0で下した。両者ともにチャンスが少なかったが、前半43分、DF槙野智章が先制弾を決めた。後半、浦和はG大阪の攻勢をしのぎ、カウンターで対抗。2点目は奪えなかったものの、完封勝利で開幕戦を飾った。

 G大阪、2年ぶりJ1は黒星発進(万博)
ガンバ大阪 0−1 浦和レッズ
【得点】
[浦和] 槙野智章(43分)

(鈴木友多)