5日、キリンチャレンジカップ2014が東京・国立競技場で行われ、日本代表がニュージーランド代表を4対2で下した。日本は前半4分、MF岡崎慎司(マインツ)のゴールで先制。その後、8分にMF香川真司(マンU)、11分にDF森重真人(FC東京)、17分に岡崎の得点でリードを広げた。しかし、中盤以降は相手に押し込まれ、39分、FWクリス・ウッドに1点を返された。後半もニュージーランドの猛攻に遭い、35分、再びウッドに決められた。結局、日本は現国立ラストマッチを白星で飾ったものの、W杯に向けて攻守に課題を残した。

  本田、2アシストもゴール遠く(国立)
日本代表 4−2 ニュージーランド代表
【得点】
[日] 岡崎慎司(4分、17分)、香川真司(8分)、森重真人(11分)
[ニ] クリス・ウッド(39分、80分)
「最初の25分間は我々のいいプレーができていた」
 アルベルト・ザッケローニ監督はこう試合を振り返った。前半20分までは4点を奪って相手を圧倒した。しかし、中盤以降は一転してNZを攻めあぐね、逆に主導権を握られた。

 朝から降り続いていた雨は、試合直前に止んだ。そしてキックオフと同時に、日本が猛攻を仕掛けた。4分、岡崎が先制点を奪った。香川のピッチ中央付近からのロングフィードに抜け出し、相手DFと競り合う。DFに体を入れられたが、背後から足を伸ばして強引にゴールへ流し込んだ。
 8分には香川がPKで追加点を奪った。PA手前でボールを受けると、ドリブルで仕掛けてPA内に入ったところでDFに倒された。ボールを持って自らキッカーに名乗り出ると、右足でゴール左へ。GKの手をかすめたが、しっかりゴールネットを揺らした。

 11分にはメモリアルゴールが生まれた。MF本田圭佑(ACミラン)が右サイドで得たFKをゴール前へ。これに森重が打点の高いヘディングでゴールに叩き込んだ。森重はA代表初ゴール、そして現国立で開催された代表戦で得点した100人目(国際Aマッチ以外の試合も含む)の日本人選手となった。この時点で3対0。しかし、日本の攻撃は止まらない。17分、カウンターから香川が左サイドを攻め上がり、中央の本田へパス。本田はヒールで前方へ送り、走り込んだ岡崎が左足でゴール右に蹴り込んだ。怒涛のゴールラッシュに、平日ながら詰め掛けた4万7670人の大観衆が沸いた。

 ところが、である。日本のゴールは4点目以降は生まれなかった。ロングボールを用いたNZのシンプルな攻撃に押し込まれ、与えたセットプレーからピンチを迎える場面もあった。すると39分、ウッドに個人の突破からゴールを決められた。左サイドを攻め上がられ、DF酒井宏樹(ハノーファー)とMF山口蛍(C大阪)が対応するも、酒井がクリアしようしたボールが山口に当たり、PA内左へこぼれる。これをウッドに拾われ、角度のない位置からゴール右サイドネットへねじ込まれた。リバウンドが相手にこぼれる不運もあったが、守りの人数は揃っていただけに、悔やまれる失点だった。

 後半開始から日本は4選手を入れ替えた。早目に5点目を奪って再び勢いを取り戻したいところだったが、落ち着いてゴール前を固めるNZ守備陣をなかなか崩せない。
 20分、本田がドリブルから左足でミドルシュートを放つが、GK正面。29分には、途中出場のMF清武弘嗣(ニュルンベルク)がPA手前から打ったシュートがゴール左のポストを直撃して外れた。

 守りではロングボールとサイド攻撃を織り交ぜるNZに幾度もチャンスをつくられた。相手のシュート精度の低さや連係のズレから得点に至っていなかったが35分、ついに2点目を奪われる。右サイドから上げられたアーリークロスに、またもウッドに右足ダイレクトボレーで合わせられた。直前にマークしていた森重がウッドに体を当てられ、ファールのようにも見えた。しかし、本田は「あれで点を取られてしまったら、あれで1点になる」と語り、「センタリングを上げられた時にいやな雰囲気が出たりするところをもう少し回数を減らしたい」と課題を口にした。

「早い時間で4点リードしたことで、チームとしても少しペースを落としてしまった」
 ザッケローニ監督は、前半中盤以降の不調の理由をこう説明した。DF吉田麻也(サウサンプトン)も「こういう試合はやっぱり難しい。力の差はもちろんあったし、点差が早い段階で開くと難しい感じになりうる。前半30分くらいまでは僕らもすごい良かったと思うし、あれを継続できていればもっと良かった」と語った。

 4点目を奪って以降、日本はパスミスやドリブルを止められてボールを失う場面が多く見受けられた。吉田が「(攻撃の)精度は落ちていた」、本田は「綺麗にやろうとしすぎた」と攻めあぐねた要因を分析。攻め時と選手が判断して4点を奪うまではよかった。だが、日本はゴールを奪いにいく姿勢が強過ぎたため、バランスを崩したように映る。攻めあぐねた時には、「今は落ち着いて正確にボールを支配する」というゲームマネジメントも必要だ。その意識を全員でいかに共有できるかが、今後の課題だろう。

 W杯本番まで約3カ月。内容も伴った勝利をブラジルで手にするため、残り時間でザックジャパンはどこまで成長できるのか。