4日、日本代表は5日のキリンチャレンジカップ2014ニュージーランド代表戦に向けて東京・国立競技場で公式練習を行った。練習には微熱が出たDF今野泰幸(G大阪)以外の22人が参加。同日午前に帰国したMF本田圭佑(ACミラン)、MF香川真司(マンU)らが明日の試合へ向けて調整した。練習は15分のみ公開され、2日に試合があった本田、DF酒井高徳(シュツットガルト)は一部別メニューで汗を流した。
(写真:右SBで先発が予想される酒井高徳)
 控え選手にとってはチャンス到来だ。長谷部誠(ニュルンベルク)、内田篤人(シャルケ)、柿谷陽一朗(C大阪)をケガや体調不良で欠く中、守備の要・今野も微熱で前日練習を欠席した。ポジションでいえばボランチ、右サイドバック(SB)、センターバック(CB)、ワントップ。NZ戦ではこれら4つのポジションで、彼らに代わって試合に出場する選手が出てくる。

 ザックジャパンにおいて、ボランチは最激戦区と言っても過言ではない。これまでレギュラーはMF遠藤保仁(G大阪)と長谷部が不動だった。その長谷部が不在の中、先発出場が濃厚なのは、MF山口蛍(C大阪)だ。代表には昨年からコンスタントに召集され、オランダ、ベルギーと戦った欧州遠征でも出場機会を得た。山口は対人守備に強く、積極的に攻め上がってからのミドルシュートも魅力だ。明日はMF遠藤保仁(G大阪)とコンビを組むことが予想される。山口は「誰と組んでも大丈夫」と語り、こう続けた。
「(試合では)状況を見ながら、自分が上がる時は上がるし、下がる時は下がる。相手の動きを見ながらやっていきたい」
 山口の他には、MF細貝萌(ベルリン)、MF青山敏弘(広島)もボランチとして出番をうかがっている。指揮官が誰を起用するかに注目だ。
(写真:山口はボランチで代表生き残りを争う)

 右SBは酒井高、DF酒井宏樹(ハノーファー)、DF駒野友一(磐田)がプレーできる。直近の状況を比較すると、試合勘でドイツで開幕から継続的に出場している酒井高が一歩リードしている。酒井宏はここ5試合で1試合しかプレーしておらず、駒野もJリーグが開幕して間がない。スタメンは酒井高、後半から酒井宏もしくは駒野に交代するかたちか。駒野は両サイドでプレーできるため、左のDF長友佑都(インテル)と交代することも考えられる。

 CBはDF森重真人(FC東京)、DF伊野波雅彦(磐田)が出場機会を得そうだ。CBは相手FWと接触プレーが多いため、負傷のリスクが高い。またきわどいプレーで警告をもらって累積で出場停止になる可能性もある。今野と鉄板コンビを築いてきたDF吉田麻也(サウサンプトン)も「チームの総力を上げないといけない」と今後への危機感を口にした。NZ戦は今野の出場が微妙なだけに、緊急事態を想定して森重または伊野波がいかに吉田とフィットするかがポイントだ。

 ワントップはFW大迫勇也(1860ミュンヘン)とFW豊田陽平(鳥栖)が、出番を争う。大迫は今年1月にドイツへ渡り、2部ながらも当たりの激しいリーグ戦でゴールを挙げるなど、着実に成長しているように映る。移籍してから最初の代表戦には「まずはゴールに向かって、点を取ること。その迫力を出していければ」と意気込んだ。対する豊田も1日のJ1開幕戦(対徳島)で2ゴール。こちらも好調を維持して明日に臨む。発熱で辞退した柿谷を含めてワントップの序列は現在、横一線。出場した時に結果を出せるかどうかが、唯一の生き残る術だ。
(写真:大迫<右>のシュート練習を見つめる豊田)

「ある選手が出れないということは、ある選手にチャンスが回ってくるということ。アピールという意味では、この試合をいかに戦うかが大切になる。どこまでのインパクトを残せるかによって、この先の招集にも影響してくると思う」
 アルベルト・ザッケローニ監督は、練習後の会見でこう語った。W杯本番に向けて、チームのさらなるレベルアップは必須。そのために、指揮官はレギュラー争いの激化を求めている。果たして、ラストマッチとなる国立で、アピールに成功するのはどの選手か。