愛媛FCの選手たちやスタッフによる豪雨被災地支援活動がスタートして、およそ1カ月が経過した。これまで県内外の大勢のボランティアの方々が地域の復旧に向けて汗を流してくださっているが、それでも災害の爪痕は深く、全てが回復するには至っていない。

 

愛媛新聞社

 

 

 

 

 8月6日(月)には、愛媛FC選手会を中心に監督、コーチ、愛媛FCレディース選手・スタッフ、スクールコーチ、事務局フロントスタッフに加え、今回は私達サポーターも復興支援のため、被災地である宇和島市吉田町へと向かうことになった。

 

 当日の朝、私達サポーターは宇和島市総合体育館に一旦集合した。そこからマイクロバスを使い、乗り合わせで吉田町へと向かった。

 

 道中、法面が崩れ、片側通行となっている場所があったり、周囲の山々を見上げると広範囲に渡り土砂が崩れ、山肌が露わになっている場所も見受けられ、改めて災害の恐ろしさを感じた。

 

 吉田町に到着するといくつかの班に分かれた。私は選手とトップチームのコーチ陣、レディースの選手たち、十数名と共に、海岸線に面する被災地現場へと向かった。作業場所は、地域の公民館に近い家屋である。

 

 家屋の北側には、坂に沿って住宅が数軒建ち並んでいたが、その裏山は、無残にも崩れ去り、家屋の周囲に大量の土砂と工作物の残骸が押し寄せていた。今回の私達の作業は、その家屋周囲に蓄積した土砂や残骸等を掻き出す、という内容である。

 

 地域ボランティアの方が用意してくださったショベルを使い土砂を掘り起こし、すくって土のう袋へと詰め込む。その袋を手押し車や人の手で、指定の場所まで運び出す。基本となる作業は、この繰り返しであった。簡単な作業に思われるかもしれないが、この日の気温も40℃近くの猛暑日。その炎天下に怪我を防止するため長袖に長ズボン、足には長靴という格好。おまけに防塵のため、マスクを着用するフル装備である。作業を開始して1分も経たない内に大量の汗が吹き出し、顔や腕から滴り落ちる。マスクのため息苦しさも感じるし、堆積する土砂は汚物も含んでおり、鼻を衝く臭いを放つ。

 

 この班に参加しているサポーターは、私を含め3名だけだったので、あとの参加者はほとんどが長年トレーニングを積み、身体を鍛えてきたアスリートや元アスリートの面々だが、あちこちから「暑いよー!」「きついなぁ」「疲れた……」など、弱音も聞こえてくるが、そう言いながらもみんな、この過酷な環境に耐えつつ、淡々と作業を続けた。

 

 20分ほど作業をして10分の休憩を挟み、また作業へと取り組む。繰り返していく内に、疲労が蓄積していくのを感じる。給水や塩分補給を充分に行っているつもりだったが、あまりの暑さに軽い頭痛も生じる始末。作業ができないような状態ではなかったので、なるべく直射日光を避けながら、土のう袋を所定の場所まで運ぶようにした。

 

 お昼頃、作業現場に宇和島市水道局の方が復旧に向けて水道管の検査に来た。この地域は、まだ断水状態で上水道が復旧していなかったらしい。『記録的な猛暑が続く日々、水道水を使えないなんて不便どころじゃないよ!』。災害から1カ月以上経過して、未だライフラインが戻っていない状況に驚きと心痛を感じざるを得なかった(この日の午後、この地域では上水道が無事に復旧した模様)。

 

 その後も作業と休憩を繰り返しながら、延べ4時間半が経過したところで、この日の活動が終了となった。僅か1軒の家屋だけではあったが、皆の頑張りで周りの土砂を掻き出すことができた。

 

 現場を後にする際、家屋の持ち主の方からは、感謝と労いの言葉までいただいた。そのお心遣いに、こちらこそ感謝を伝えたい。

 

(私たちに作業をさせていただき、また地域の方から災害時のお話しを伺うなど、沢山のことを学ぶことができました。短い時間でしたが、ありがとうございました。一日も早く、平穏な生活を取り戻せるよう、お祈り申し上げます)

 

 この日も選手やスタッフたちは、過酷な環境の中、私たちの故郷のため、必死になって作業をしてくださっていた。今回は、その姿を間近で感じ、気持ちを共有することもでき、この支援活動へ参加して満足している。

 

 夕方、被災地から宇和島市総合体育館に戻り、解散となった後、川井健太監督が私たちの所まで、挨拶に来てくれた。「お疲れ様でした。ありがとうございました」と声を掛けてくださったのだ。宇和島市出身の川井監督。地元が大変な状況になり、心情的にも色々と想うところもあったと思う。何か手伝える事があれば、またサポーターにも相談して欲しい。

 

 今、J2リーグはシーズン真っ只中。川井監督の指揮の下、チーム一丸でJ2残留を目指して日々を戦い、またホームタウンのことを想って被災地でも尽力してくれている。こんなにも地域のため頑張っている愛媛FCを応援&支援しないわけには、いかないでしょ!

 

愛媛新聞社

 

 

 

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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