男女でファイナル進出なるか!? 〜JA全農世界卓球〜

 4月28日に開幕したJA全農世界卓球選手権団体東京大会は、GW中の2日からいよいよ決勝トーナメントがスタートする。男女日本代表はともにグループリーグ首位で準々決勝進出を決めた。男子は37年ぶり、女子は31年ぶりの決勝進出を狙う。3位決定戦を行なわないため、まずは男子が2日に、女子が3日にメダルをかけて準々決勝に挑む。開催国のプライドにかけて、男女ペアでの表彰台に上がれるのか。そしてGWに金のメダルを胸に飾るのは――。31年ぶりの東京で卓球世界一決定戦に注目が集まる。
(写真:決勝トーナメントでのキーマンとなりそうな松平)
 背水の陣から巻き返し。“第3の男”がカギを握る

 ITTF世界ランキング10位の水谷隼(DIOジャパン)を筆頭にメンバー5人全員が世界ランキング30位以内に入り、「近年最強」との呼び声高い男子日本代表。大会前の期待値は高かった。しかし、初戦に落とし穴が待っていた。チームランキングは3位の日本に対し、16位のギリシャ。格下と言ってもいい相手にいきなり敗れてしまう。グループリーグを全勝での突破を狙っていただけに、いきなり出鼻をくじかれた。

 2試合目のルーマニア戦からの3試合は、水谷、丹羽孝希(明治大)、松平健太(ホリプロ)とランキング的には最上位のトリオで臨み3連勝で盛り返した。グループリーグ最終戦となったハンガリー戦も制し、“背水の陣”となってから巻き返した日本は4勝1敗でグループリーグを1位で突破した。これで決勝トーナメントを2日夜の準々決勝からスタートすることができることとなった。ハンガリーに負けていれば同日の午前中に試合が組まれる可能性があっただけに倉嶋洋介監督も「かなり大きい。午前中に勝って勢いをつけるというのもありますが、ここまで来ると体力的なところも出てきますし、体力が切れると集中力にも影響していいプレーができなくなってしまう。いい休養がちょっとできるかな」と安堵した。

 メダルをかけた戦いとなる準々決勝。ここからが山場である。対戦相手は決勝トーナメント1回戦のグループC2位のポルトガルとグループA3位のポーランドの勝者となる。世界ランキング12位のマルコス・フレイタス、同23位のティアゴ・アポローニャ、同56位のジョアン・モンテイロと3本柱のいるポルトガルの勝ち上がりが有力視されている。ロンドン五輪では8強入りを果たしたポルトガルとは同組で4月30日に対戦しており3対1で下しているため、相性は悪くない。

 日本はここまでエースの水谷と最年少19歳の丹羽が全勝と好調だ。特に水谷は8戦負けなしとエースとしての役割を十分に果たしている。そこで今後のカギを握るのが、2人に続く3番手だろう。その“第3の男”の第一候補が昨年パリでの世界選手権個人戦でベスト8に入る躍進を見せた松平である。倉嶋監督からの期待もギリシャ戦での黒星により「健太に勝利を挙げさせたかった」と使う予定のなかったルーマニア戦で起用したことでうかがえる。ただ、ここまで2勝2敗と波に乗り切れていない印象がある。指揮官も「フィーリングというか、勝負の勘がまだパリの世界選手権と比べると冴えがない」と本調子でないことを認めている。昨年は中国勢を破るなど、キーマンのひとりであることには間違いない。準々決勝からの復調を期待したいところだ。

 そのほかにも経験豊富な岸川聖也(ファースト)もいるが、ここまで4戦全敗と完全に出遅れている。そうなると負けの許されないトーナメントでの起用は難しいだろう。「秘密兵器」とされるカットマン・塩野真人(東京アート)もカット打ちが苦手な相手であれば、起用もあり得るはずだ。

「先にメダルを決定させて女子にプレッシャーをかけたい」と倉嶋監督。まずは4大会連続の表彰台を決めて勢いに乗りたい。準々決勝を勝ち上がれば、決勝進出をかけて戦うのはおそらく世界ランキング2位のドイツ。男子は中国とドイツの2強だが、6連覇中の中国よりは組し易い相手だろう。世界ランキング9位のティモ・ボル、同4位のディミトリー・オフチャロフとダブルエースは強敵だが、3番手になると20位以下となり少し実力は落ちる。チームとしては日本より格上とはいえ、指揮官は「100%以上の力を出せれば」とアップセットを狙う。

 決勝で待ち受けるのは、ほぼ間違いなく中国になるだろう。ロンドン五輪&世界選手権王者のチャン・ジィカ、現世界ランキング1位のシュ・シンなど他国がうらやむ豪華な面子を揃える。そこに死角は見当たらず、7連覇は堅いと見られている。日本はグループリーグから続くヨーロッパ勢との戦いを制し、まずこの絶対王者への挑戦権を得たい。

 福原不在も盤石のスタート。快進撃はどこまで続くのか

「想定よりいい。今までの世界選手権でもないんじゃないかな」と村上恭和監督が笑顔を見せた女子は、全戦3対0の5連勝を果たした。文句なしの首位通過で、1日の休養を挟み3日の準々決勝に臨む。

 福原愛(ANA)がケガで欠場したITTF世界ランキング3位の日本は「実質6、7位」(村上監督)という大きな戦力ダウンを余儀なくされた。それでも大会が始まると、選手が躍動。グループリーグの5試合でロンドン五輪団体銀メダルのメンバーである石川佳純(全農)と平野早矢香(ミキハウス)が4勝、世界選手権団体は2回目の出場の石垣優香(日本生命)が3勝、初出場の森さくら(昇陽高)、田代早紀(日本生命)が2勝を挙げている。これには指揮官も「5人とも絶好調だからトーナメントで全員使えるなと思っています」と語る。選手起用に幅が持てることは好材料だ。

 石川と平野の2本柱が抜群の安定感を見せているのも心強いが、カットマン石垣の活躍も見逃せない。米国、ハンガリー、台湾との試合にトップバッターで起用され、全て1ゲームも落とさずストレート勝ちとチームに勢いをつけている。福原の“代役”として招集され、本人は「福原さんのようにチームを支えることはできない」と謙遜するが、グループリーグでは与えられた役割を全うした。
(写真:GL突破の立役者のひとりカットマン石垣)

 準々決勝はグループB2位の台湾とグループC3位のオランダの勝者との対戦となる。村上監督は「五分五分」という見立ての両チームは台湾が世界ランキング7位、オランダが8位と実力は伯仲している。グループCで2勝3敗とはいえ、リー・ジャオ、リー・ジエと2人の帰化選手を擁するオランダは不気味である。どちらかといえばグループリーグで勝利しており、過去の対戦成績でも相性の良い台湾が望ましい。カット打ちが苦手の台湾となれば、再び石垣の出番がやって来るだろう。ここで前回ドイツ・ドルトムント大会での準々決勝敗退の雪辱を果たしたい。

 メダル獲得が決まれば、準決勝は第4シードの香港(世界ランキング4位)が有力だ。5戦全勝でグループリーグを勝ち上がっているが、エースのジァン・ホアジュンは2敗を喫しており、チームで世界ランキング最上位(14位)のリー・ホチンにも負けがついているところを見ると、それほど怖い存在とは言えないかもしれない。日本とは昨年の東アジア競技大会で対戦しており、石川の活躍で3対1で勝利を収めている。

 また日本にとっては、苦手とするカットマンがいる韓国(世界ランキング2位)と北朝鮮(同9位)が別のブロックに入ったことも大きい。このドローの結果には村上監督も「いい組み合わせになった」と喜んだ。快進撃が続く女子は、そのままの勢いで決勝トーナメントも勝ち進みたい。決勝に進出すれば31年ぶり。奇しくも同じ東京開催での快挙となる。世界ランキング上位5人がそのままメンバーにいる中国の決勝進出は濃厚。通算18度の優勝を誇る卓球王国を相手に、2年後のリオデジャネイロ、6年後の東京五輪につながる戦いを期待したい。

<チャンピオンシップ・ディビジョン 決勝トーナメント>

◇男子
・5月2日(金)
1回戦4試合 ポルトガル×ポーランドなど 10:00〜、16:30〜
準々決勝2試合 日本×1回戦(ポルトガル×ポーランド)の勝者など 19:30〜
・5月3日(土)
準々決勝2試合 13:00〜、19:00〜
・5月4日(日)
準決勝2試合 10:00〜、16:30〜 
・5月5日(月)
決勝 16:30〜

◇女子
・5月2日(金)
1回戦3試合 台湾×オランダなど 13:00〜
1回戦1試合 16:30〜
・5月3日(土)
準々決勝2試合 10:00〜
準々決勝1試合 16:00〜
準々決勝1試合 日本×1回戦(台湾×オランダ)の勝者 19:00〜
・5月4日(日)
準決勝2試合 13:00〜、19:30〜
・5月5日(月)
決勝 19:30〜

※会場はすべて東京・代々木第一体育館

 田中、チームの大黒柱に 岩隈も4日に復帰 〜メジャーリーグ〜

 メジャーリーグは開幕から1カ月が経過。日本人選手もそれぞれ活躍をみせている。
 なかでも全米を驚かせているのはニューヨーク・ヤンキースに鳴り物入りで入団した田中だろう。ここまで5試合に投げて3勝0敗、防御率2.27。すべての登板でクオリティスタート(6回3失点以内)を達成し、新人とは思えない安定度だ。

 日本とは異なるボールの質やマウンドの硬さ、環境も、ここまでは全くピッチングへの影響を感じさせない。むしろ、より制球力がアップし、進化しているように映る。伝家の宝刀スプリットで空振りを奪うだけでなく、ツーシームでバットの芯を外したり、威力のあるフォーシームで詰まらせもする。ここまでの試合、相手もバント攻撃や低めのボールを見送るなど対策を講じてきたが、その牙城は崩せなかった。

 次回は4日のタンパベイ・レイズ戦に先発する。ア・リーグ東地区最下位とチーム状態は決して良くないが、昨季32本塁打をマークしたエバン・ロンゴリア、現在、打率.314と好調なマット・ジョイスら要注意のバッターは少なくない。ヤンキースは地区首位を走るも、先発の2枚看板であるCCサバシア、黒田博樹がともに防御率5点台と不安がないわけではない。好投を続ける背番号19に寄せられる期待は高まっていきそうだ。

 また同じく4日にはシアトル・マリナーズの岩隈久志が、ヒューストン・アストロズ戦で今季初登板の見込みだ。右手中指のケガで出遅れたが、28日に3Aで先発し、復帰へのメドが立った。昨季14勝をあげた右腕が戦列に戻れば、エースのフェリックス・ヘルナンデスとともにチームの巻き返しが望める。1カ月遅れの開幕をいいかたちで飾ってファンを安心させたい。 
 
 続く5日にはテキサス・レンジャーズのダルビッシュ有が敵地でのロサンゼルス・エンゼルス戦に先発予定だ。前回登板(4月29日)はオークランド・アスレチックス相手に4回途中で4失点KO。メジャー3年目で最短降板となり、アスレチックスには自身7連敗となった。

 エンゼルスもマイク・トラウト、アルバート・プホルスと強打者を擁し、今季のア・リーグ西地区はレンジャーズ、アスレチックスとの3つ巴の争いになりそう。ダルビッシュとしてもライバル球団に続けて敗れるわけにはいかない。前回の反省を生かして、どう修正をはかるのか。マウンドでの“回答”に注目したい。

 ニューヨーク・メッツの松坂大輔はブルペンで新境地を切り開こうとしている。4月中旬にメジャー昇格を果たした33歳は、中継ぎで6試合に投げて失点したのは最初の登板(1失点)のみ。ここ5試合はヒットすら1本も許していない。4月25日にはテリー・コリンズ監督から抑え役をテストされ、メジャー初セーブをあげた。故障もあって、ここ数年は精彩を欠いていた右腕だが、短いイニングであれば速球を軸に力を発揮できる。ナ・リーグ西地区2位と好位置につけたチームがさらなる上位を狙う上でキーマンとなるかもしれない。

 リリーフといえば、ボストン・レッドソックスの日本人コンビも忘れてはいけない。上原浩治と田澤純一だ。上原はクローザーとして6セーブをあげ、防御率1.69、田澤もセットアッパーで防御率2.25。2日の試合では揃って失点して逆転負けを喫したが、2人に対するベンチからの信頼は揺るがない。チーム自体は4月は負け越して波に乗れなかったが、日本人2投手のリレーが多く見られれば、その分、勝ち星も伸びていくはずだ。

 野手ではカンザスシティ・ロイヤルズに移籍した青木宣親がトップバッターで存在感を示している。4月26日からは4試合連続でマルチヒットを記録。打率も.284と上がってきた。ヤンキースのイチローは控えに回ることが多く、限られた出場機会ながら、打率.372と結果を出している。日本が誇る2人の安打製造機のバッティングからも目が離せない。


 投手力光るオリックス&広島 〜プロ野球〜

 3月28日にセ・パ両リーグが同時開幕したプロ野球。開幕前、大方の予想はパ・リーグは福岡ソフトバンク、セ・リーグは巨人が頭ひとつ抜けた存在だと言われていた。しかし、その2チームを凌ぐ勢いで首位に立っているのは、パはオリックス、セは広島だ。いずれも久しく優勝していないが、近年は戦力的には決して侮れないチームとして見られていただけに、いよいよ本領発揮というところだろう。果たして、GWで2つの“台風の目”は威力を増すのか。

 開幕5連勝の西、ロッテ戦3勝目を狙う

 ここ数年は毎年のように「戦力はそろっている」と高い評価を受けながらも、優勝どころかAクラス入りもかなわなかったオリックスだが、今季は違う。2日現在、29試合を終えて19勝10敗。ファンの間では、08年以来のAクラス入りはもちろん、1996年以来となるリーグ優勝、日本一への期待が早くも膨らみ始めている。

 プロ野球最強と謳われたイチロー、田口壮、本西厚博の外野手トリオを擁し、日本一となったのは今から18年前。その後、オリックスファンは一度も“優勝”に酔いしれていない。2000年以降は下降線の一途をたどり、万年Bクラス状態。昨年までAクラスは2位となった08年のみである。勝率は5割を切ることはザラで、3割台が続いたこともある。

 しかし、今季は近年にはなかった開幕ダッシュを成功させている。24試合で4月としては球団新となる18勝を挙げ、実に7割5分という驚異的な勝率を残したのだ。最大の勝因は、リーグトップのチーム防御率2.37を誇る投手陣だ。他球団がうらやむほど、先発、中継ぎ、抑えとコマが揃っており、安定感は抜群である。

 まずはエース金子千尋の存在だ。2日現在、6試合を投げて2勝2敗。2勝はいずれも完封勝ちで、その内容は見事の一語に尽きる。4日の埼玉西武戦は2安打で自己最多の14奪三振無四球、25日の東北楽天戦は1安打、14奪三振1四球。さすがは昨季、沢村賞の基準をすべてクリアした好投手だ。残念ながら開幕24連勝を達成した田中将大(ヤンキース)の陰に隠れた感は否めないが、実力は田中にまったくひけをとらない。今季はタイトル総なめも十分にあり得る。「球界No.1投手」に金子をあげる打者も少なくないだけに、今年の活躍が楽しみだ。

 その金子を凌ぐ成績を挙げているのが西勇輝だ。現在開幕5連勝と、昨年の田中を彷彿とさせる。そのピッチング内容も完璧だ。被安打は4本、2本、3本、4本、3本。防御率は4試合目までは0.28を誇り、1966年8月に皆川睦男(南海)がマークしたリーグ月間最高防御率0.24、2011年9月に金子がマークした球団記録の0.25を上回る勢いだった。5試合目の福岡ソフトバンク戦で7回2失点を喫し、0.69となったものの、それでもダントツのリーグトップの数字である。次回は、GW中の千葉ロッテとの試合での登板が予想される。チームの対戦成績は3勝2敗。うち2勝は西が挙げており、相性は抜群。確実にとっておきたいカードだ。

 金子、西に加えて、ベテラン井川慶、ドラ1ルーキー吉田一将、195センチの長身ディクソンも、まずまずの結果を残している。その背景には、リリーフ陣の存在があることは間違いない。4月にプロ野球月間タイ記録となる11ホールドを挙げた佐藤達也、比嘉幹貴、そして移籍1年目の昨年は3試合の登板に終わったものの、今季は復活の兆しを見せている馬原孝浩がつなぎ、最後は平野佳寿がピシャリと締める。平野は4月はリーグタイ記録の11セーブを挙げ、まさに“守護神”の名を欲しいままにしている。先発もさることながら、リリーフ陣の見事なピッチングが見どころのひとつだ。5月に入って連敗を喫しているだけに、GWで勢いを取り戻したい。

 強固な中継ぎ陣に見るホンモノの強さ

 一方、セ・リーグの首位をキープしているのが広島だ。とはいえ2日現在、2位・阪神とは1ゲーム差、3位・巨人とは2ゲーム差と拮抗しており、こちらもGW中に少しでも貯金を増やしておきたい。

 打率は横浜DeNAに次ぐリーグワースト2位の2割5分1厘だが、防御率はリーグトップの3.05。2位・巨人が3.97、3位・阪神は4.24ということからも、広島の投手陣がいかに好投しているかは一目瞭然だろう。

 先発はエース前田健太(2勝1敗)、バリントン(3勝0敗)と経験豊富な2人が柱となっている。さらに現在3勝(1敗)を挙げ、期待以上の活躍を見せているのがルーキー大瀬良大地だ。1日にはプロ初完投勝利を挙げ、阪神との首位攻防戦で3タテの危機を救った。防御率1.894は、前田健の1.36、菅野智之(巨人)の1.888に続く堂々のリーグ3位だ。

 昨オフ、FAで巨人に移籍した大竹寛だけでなく、4月30日の阪神戦で自己ワーストの8失点で3回KOされ、翌日に二軍降格となった3年目の野村祐輔の穴をも埋める活躍に、早くも新人王の期待が寄せられている。

 さらにチームにとって大きかったのは、巨人から移籍してきた一岡竜司の加入だろう。藤蔭高校から沖データコンピュータ教育学院を経て、12年にドラフト3位で巨人に入団した一岡。昨年までの2年間の通算成績は13試合に登板し、0勝0敗、防御率4.70。大竹の人的補償として広島に移籍した23歳だ。

 その一岡が新天地で水を得た魚のような活躍を見せている。2日現在、開幕から13試合に登板し、被安打4、自責点0で防御率は0.00。4月27日には古巣巨人相手に0−0の延長11回表に3番手としてリリーフし、松本哲也、アンダーソン、村田修一を打ち取り、三者凡退に切ってとった。その裏、エルドレッドの3ランで広島がサヨナラ勝ちを収め、一岡はプロ初勝利をマークした。7月のオールスターゲームのファン投票にもノミネートされるなど、注目のセットアッパーだ。

 とはいえ、一岡はフルシーズンを投げた経験がないだけに、スタミナ面に不安は残る。夏はスタミナが消耗しやすく、無理をすれば故障にもつながりかねない。しかし、今季の広島の中軸は層が厚い。完全復活した永川勝浩は。12試合に登板し、防御率1.54。中田廉も9試合に登板し、防御率0.00を誇っている。負担を分散させることができるのは、非常に大きい。抑えのミコライオも変わらず安定しており、強固なリリーフ陣が今季の強さがホンモノであることをにおわせている。

「鯉のぼりの季節に強い」と言われる広島。一方で「勢いは鯉のぼりの季節まで」とも言われる。果たして今季はどうか――。20日からスタートする交流戦を前に、阪神2連戦、巨人3連戦が待ち受けている。そこで勝ち越せば、勢いづくことは間違いない。だからこそ、3日から続く横浜DeNA、東京ヤクルト、中日との9連戦で弾みをつけたいところだ。

<パ・リーグ>
3日(土)〜4日(日)
 東北楽天 − 福岡ソフトバンク (コボスタ宮城)
 千葉ロッテ − 埼玉西武 (QVCマリン)
 北海道日本ハム − オリックス (札幌ドーム)
5日(月)〜6日(火)
 埼玉西武 − 東北楽天 (西武ドーム)
 オリックス − 千葉ロッテ (京セラドーム)
 福岡ソフトバンク − 北海道日本ハム (ヤフオクドーム)

<セ・リーグ>
3日(土)〜5日(月)
 広島 − 横浜DeNA  (マツダスタジアム)
 中日 − 巨人 (ナゴヤドーム)
 東京ヤクルト − 阪神 (神宮)
6日(火)
 巨人  − 横浜DeNA  (東京ドーム)
 東京ヤクルト − 広島 (神宮)
 中日 − 阪神 (ナゴヤドーム)


 W杯メンバー入り狙う代表候補選手に注目 〜Jリーグ〜

 J1リーグは3日(土)、6日(火)に各地で試合が開催される。今月12日にはブラジルW杯の日本代表メンバー発表が控えており、国内組の代表候補選手にとってはメンバー入りへの重要なアピール機会だ。

 3日の注目カードは名古屋グランパス対セレッソ大阪だ。名古屋のDF田中マルクス闘莉王は、ここまでザックジャパンでプレーはしていないものの、常に代表復帰を待望する声があった。闘莉王は空中戦での強さはもちろん、最終ラインから正確なパスで攻撃の起点にもなれる。元日本代表DFの秋田豊は「パワープレーを仕掛けられた時、闘莉王ならラインコントロールしながら守り切ることができる。これは大きい」と33歳の代表復帰を推薦していた。日本代表候補のFW柿谷曜一朗、MF山口蛍、そしてウルグアイ代表FWディエゴ・フォルランらを擁するC大阪の攻撃を闘莉王がシャットアウトすれば、アルベルト・ザッケローニ監督の心を揺さぶるに違いない。

 対するC大阪のエース・柿谷は、今季、未だリーグ戦でノーゴール。柿谷の不調と比例するかのように、チームも3勝3敗4分けの11位に沈んでいる。第10節の大宮アルディージャ戦では、2度の決定機を逃し、チームも引き分けた。代表でワントップの座を争うFW大迫勇也(1860ミュンヘン)がドイツで結果を残しているだけに、早く今季初ゴールを決めてブラジルW杯へ加速したいところだ。ザッケローニ監督も“ジーニアス”の復調を願っているだろう。

 6日の注目カードにはサガン鳥栖対柏レイソルを挙げたい。この試合では、鳥栖のFW豊田陽平と柏FW工藤壮人のストライカー対決が注目される。
 豊田はここまで7ゴールをマークし、得点ランキングのトップタイに立っている。開幕戦で2ゴールを挙げると、第5節から第7節には3試合連続ゴールを記録した。コートジボワール代表のエースFWディディエ・ドログバをもじった“トヨグバ”というニックネームからもわかるように、豊田の武器は強靭なフィジカルだ。空中戦で相手に体をぶつけられながらも体がぶれず、ゴールを奪う。またポストプレーで味方のチャンスを演出できるのも魅力だ。ブラジルW杯のメンバー争いでは当落線上にいるだけに、12日までの残り試合でインパクトを残したい。
(写真:直接対決で結果を出すのは豊田<右>か、それとも工藤か)

 一方で、工藤はここまで2ゴールとイマイチ波に乗り切れていない。豊富な運動量を生かした前線からの守備でチームには貢献している。しかし、昨季はキャリアハイの19ゴールを挙げているだけに、現在のゴール数は物足りない。工藤は4月の代表候補合宿で「W杯という具体的なイメージはないが、選ばれたいという思いはあるので、そういう気持ちを残りのアピールの場で出していきたい」と語っていた。代表に選ばれれば、本来のFWではなく右MFでの起用が濃厚だ。そうなった時のライバルであるFW岡崎慎司(マインツ)は、ドイツで14ゴールと結果を出している。やはり、代表入りに最も必要なのは、ゴールである。

 この他にもFW川又堅碁(新潟)やDF塩谷司(広島)など、GWはW杯メンバー入りを狙う選手たちのプレーに注目したい。

 ミラノダービーで日本人対決なるか

 海外サッカーに目を移すと、4日(日、現地時間)にはセリエAでACミラン対インテルの“ミラノダービー”が行われる。1929年の初対決から85年の歴史を持つ伝統の一戦だ。周知のとおり、インテルには日本代表DF長友佑都が所属している。そして、今年1月にはACミランに同MF本田圭佑が加入した。これにより、ミラノダービーでの日本人対決が実現されようとしているのだ。

 長友はインテルのレギュラーとして、今季も32試合に出場し、5ゴールと結果を出している。また、今季はゲームキャプテンを任されるなど、目標である「世界一のサイドバック」に邁進している。

 対する本田も、加入当初は連係不足などから目立った活躍を見せられなかったものの、第32節ジェノア戦でリーグ戦初ゴール。またコミュニケーションがとれてきたことで、アシストなどで得点に絡む機会も増えてきている。ミラノダービーではベンチスタートが濃厚という報道もあるが、ピッチに立つ可能性は十分にある。
(写真:ミラノダービーで対決が期待される長友<左>と本田)

 ACミラン、インテルともに今季は無冠が決定しているだけに、ダービーでは気持ちよく勝利したいところだろう。そして、伝統の一戦で日本人対決は実現するのか。日本での放送時間は深夜だが、必見の価値ありである。

【Jリーグ ディヴィジョン1】
◇第11節
・5月3日(土)
柏×鹿島(13:00、柏)
横浜FM×G大阪(14:00、日産ス)
徳島×仙台(14:00、鳴門大塚)
川崎F×甲府(15:00、等々力)
清水×鳥栖(15:00、アイスタ)
神戸×広島(15:00、ノエスタ)
浦和×F東京(16:00、埼玉)
大宮×新潟(17:00、NACK)
名古屋×C大阪(19:00、豊田ス)

◇第12節
・5月6日(火)
仙台×神戸(13:00、ユアスタ)
F東京×大宮(13:00、味スタ)
新潟×清水(14:00、デンカS)
鹿島×名古屋(15:00、カシマ)
鳥栖×柏(15:00、ベアスタ)
甲府×浦和(16:00、国立)
G大阪×徳島(19:00、万博)
※ACL出場のC大阪×川崎F、広島×横浜FMは7月15日に開催。

【セリエA 第36節】
・5月4日
ACミラン×インテル(サン・シーロ)