(写真:オーケストラを迎えて開幕セレモニーは壮大に行われた (c)2018 T.LEAGUE)

 24日、卓球の新リーグ「T.LEAGUE」が東京・両国国技館で開幕した。男子のT.T彩たまと木下マイスター東京が全チームに先駆けて対戦。試合は木下マイスター東京がT.T彩たまを3対1で下し、記念すべきオープニングゲームを勝利で飾った。女子は25日、同会場でTOP名古屋と日本生命レッドエルフが対戦する。

 

 いよいよ開幕を迎えたT.LEAGUE。日本人初のプロ選手・松下浩二チェアマンが「卓球を国技に」との想いでスタートした。初日の舞台は両国国技館。大相撲本場所中は力士の四股名入りの幟が立ち並ぶが、この日はT.LEAGUEのチーム名が描かれた幟がはためていた。会場には続々と人が詰め掛けた。

 

(写真:スモークやバズーカなど派手な演出で選手たちは登場 (c)2018 T.LEAGUE)

 巨大なロゴ入りのピンポン玉がコート中央にそびえ立つ。それを囲む特設ステージにチームを代表する選手が立った。タレントやアーティストを起用せず、オーケストラの演奏で会場を盛り上げる。松下チェアマンは「選手ファーストにしたかった」と、その理由を語る。大型ビジョンを使った演出に水谷隼は「感動でウルウルした」と感想を述べた。

 

 T.LEAGUEに中国のトップ選手こそ参加しなかったものの、日本代表クラスはほぼ参加した。中でも木下マイスター東京は日本の左右二枚看板を揃える。水谷と張本智和という日本のダブルエースの他、松平健太、大島祐太、田添健太ら日本代表クラスがズラリ。対するT.T彩たまは吉村真晴、岸川聖也、平野友樹の日本勢にポルトガルのティアゴ・アポロニア、韓国のチョン・ヨンシク、香港のウォン・チュンティンの外国籍選手が加わった。

 

 T.LEAGUEは独自のレギュレーションを採用する。試合には1チーム4名以上がエントリー。第1マッチは2ゲーム先取のダブルスを行う。第2~4マッチは3ゲーム先取のシングルスだ。3マッチ先取すれば勝利。勝ち点3を獲得する。勝敗が決まる3対0でも第4マッチは行い、4対0ならば勝ち点は4になる。マッチカウント2対2で並んだ場合はビクトリーマッチという延長戦で勝敗を決める。

 

 第1マッチのダブルスは木下マイスターが先取。水谷&松平ペアが、息の合ったコンビネーションを見せてチョン・ヨンシク&平野ペアを2-0のストレートで下した。第2マッチは大島と吉村が対戦。同学年のライバル対決は強打で押す大島が3-1で制した。敗れた吉村は「彼の方が素晴らしいプレーをした」と勝者を称え、自身のプレーについては「硬くなってしまった」と肩を落とす。

 

(写真:得意のバックハンドはこの日も冴えていた (c)2018 T.LEAGUE)

 このマッチを取れば、勝利が確定する木下マイスター東京は世界ランキング日本人最高位8位の張本が登場。「2対0でノビノビできた」とチームの勢いをそのままに世界ランキング9位のウォン・チュンティンを破った。張本は得意のバックハンドの強打を武器に相手を圧倒した。第1ゲームは2-5から9連続得点。その後は11-7、11-9と競ったゲームをモノにした。

 

 勝利が確定した木下マイスター東京は水谷が第4マッチを任された。水谷の名前がコールされると、大きな歓声で迎えられた。水谷は勝ち点4獲得を目指したものの、チョン・ヨンシクにフルゲームで敗れた。水谷とチョン・ヨンシクは白熱のラリー戦を展開。両者には歓声と拍手が送られた。松下チェアマンも「この試合が一番盛り上がった」と口にする。チームの勝敗自体は決まっていながら「水谷のシングルスをお客さんに見せることができた」(松下チェアマン)と新リーグが独自に設けたレギュレーションが生きたかたちとなった。

 

 満員御礼とまではいかなかったが、歴史的な瞬間を目にしようと5624人もの観客が集まった。まだ観客が応援の仕方やタイミングに戸惑っているように映る場面もあった。リプレー中に球速表示がされ、選手のすごさを観客に伝えるなど、レギュレーション同様に新しい卓球を見せようという意図は感じられた。選手たちからも好意的なコメントが聞かれたT.LEAGUE。まずはその第一歩を踏み出した。

 

(文/杉浦泰介)