第114回 力のウッズvs.技のミケルソン 夢の一騎打ち! ~ゴルフ~
ウッズvs.ミケルソン。
ゴルフのトップを走ってきたスーパースター同士が、ついに一騎打ちを迎える11月23日(現地時間)、ドリームマッチにふさわしく、夢を手にする街アメリカ・ラスベガスにおいて、マッチプレー方式で開催される。コースは名門のシャドークリークGC。ドラコン、ニアピンなども組み込まれるそうだ。
直接対決の勝者には、900万ドル(約10億円)の賞金が贈られる。勝者が全額を手にするというこの史上最大の一戦に、世界中から多くの注目が集まっている。
「過去の人」ではない
今さら2人の説明は不要だろう。
ウッズはジャック・ニクラスに続いて歴代2位となるメジャー通算14勝を挙げ、PGAツアー80勝もこれまた歴代2位(1位はサム・スニードの82勝)だ。
彼は「もはや過去の人」ではない。復活を成し遂げ、今また往年の輝きを取り戻そうとしている。
2014年から腰痛に苦しめられ、手術しても調子は思うように戻らなかった。その後、記録は低迷した。腰の手術を繰り返し、2017年5月には薬物使用の影響下で車を運転した容疑でフロリダ州ジュピターにおいて逮捕されるという衝撃のニュースが世界を駆けめぐったことは記憶に新しい。
麻薬性鎮痛剤など複数の薬物が検出され、1年間の保護観察処分が下った。誰もがウッズは終わったと思ったはずだった。
と、ここから得意のタイガーチャージを見せる。
2017年11月のヒーローワールドチャレンジで実戦復帰し、今年3月のバルスパー選手権を首位に1打差の2位タイで終える。そしてメジャーにも参戦を果たし、7月の全英オープンでは一時、首位に立つなど見せ場をつくって6位タイ。さらに8月の全米プロ選手権では、6位から出た最終日で「64」をマークして2位でフィニッシュした。
ウッズ自身、最終日のベストスコア。完全復活をアピールした大会になった。集まったファンは熱狂し、大きな歓声が彼に注がれた。
そして迎えた9月のプレーオフ最終戦、ツアー選手権。
単独首位で最終日を迎えた彼は71でまとめ、逃げ切ったのだ。実に2013年の「WGCブリヂストン招待」以来、5年ぶりとなるツアー優勝の味だった。高い技術は錆びついておらず、飛距離も伸びている。4度手術した腰の状態が悲鳴を上げることもなく、42歳ながら再び進化を始めている。ゴルフスイングコンサルタントという肩書きを持つクリス・コモコーチと2014年から契約を結び、取り組んできたことが成果としてはっきりと表れたのだった。
復活した両雄
一方のフィル・ミケルソンはウッズに対して常にプレッシャーを掛けてきたライバルとして存在感を発揮してきた。
メジャー通算5勝、ツアー通算43勝を誇る彼もまたウッズの復活に合わせるかのように、今年トップシーンに戻ってきた。
年齢はウッズの6つ上となる48歳。失礼を承知で申せば「もはや過去の人」感は、ウッズよりも強かったかもしれない。
2013年の全英オープンを制して以来、ミケルソンの名前が取り上げられることはなかった。関節炎の悪化もあり、目立った成績を残せないでいた。
だが今年に入ってから、その復活の足音は大きくなっていく。
2月のフェニックスオープンで5位タイに入り、続くペブルビーチプロアマでは2位タイと優勝まであと一歩と迫った。
そして迎えた3月のWGCメキシコ選手権。ジャスティン・トーマスとのプレーオフに勝利して4年半ぶりとなる優勝を遂げたのだ。ちなみに47歳8カ月16日での優勝はWGC最年長記録だという。
「THE MATCH」と題されたこの一戦は、運命が引き寄せたと言えるのかもしれない。ウッズ、ミケルソンに加え、キャディーもピンマイクをつけるとか。両者の会話から作戦、駆け引きなども分かるという仕掛けもある。
一夜限りの夢。
力のウッズか、技のミケルソンか。
世界ランキングの2トップを4年以上も守ってきた両雄には、会話を交わさなくなったなどと不仲説まで流れるようになった。
史上最大のマッチプレーが決まってからもSNSなどを通じての“挑発”もあり、決戦ムードも最高潮に達している。
勝者が来年のゴルフシーンに主役となる可能性もある。ウッズとミケルソンは世界のゴルフファンに、どんな夢を見せてくれるのだろうか――。
【放送スケジュール】ゴルフネットワークにて一夜限りの国内独占放送!
<THE MATCH ~タイガー・ウッズvsフィル・ミケルソン~>
11月25日(日) 19:00~22:00