ついに、いや、本当に、あのフロイド・メイウェザーがやってくる。それも日本が生んだ天才ファイター、那須川天心とのドリームマッチになる。

 2018年を締めくくる大晦日決戦「RIZIN.14」(12月31日、さいたまスーパーアリーナ)が迫ってきた。

 

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 単なるエキシビションでは終わらない

 

 注目は何と言ってもプロボクシング5階級制覇、そして49戦無敗で引退した“超大物”メイウェザーが日本のリングに舞台に立ち、こちらもキックボクシングで28戦無敗、異種格闘技を含めれば32連勝無敗の「神童」那須川との歴史的な邂逅だ。

 

 実現に至るまでの“すったもんだ”はご承知のとおり。

 11月5日にメイウェザー同席のもとでRIZINがサプライズ発表したものの、後日に本人がSNSにて「公式試合に一度も合意していない」と試合のキャンセルを表明するという事態に。しかしRIZIN側との交渉は継続され、予定どおり試合が開催されることで合意に至った。

 

 スペシャルチャレンジバウトと銘打たれたこの試合。ルールは以下のとおりになる。

 ボクシングルールの3分×3ラウンドで両者とも8オンスのグローブを着用。契約ウエイトは147ポンド(66.7kg)以下で、公式試合とはならない。なおレフェリーはメイウェザー側が用意し、採点もないという。

 

 つまりメイウェザーの“土俵”に、那須川が乗り込むという形。メイウェザーが出した条件を丸のみしたかのようなルールで、体重も大幅に違ってくる。それでも那須川なら一太刀浴びせそうな雰囲気を漂わせる。

 

 那須川は今年9月30日の「RIZIN.13」において、MMAで世界的ネームバリューを誇る元UFCランカーの堀口恭司とキックルールで対戦し、3-0で判定勝ちした。濃密な駆け引きと攻防は直後から名勝負と呼ばれ、両者とも新たな引き出しを探り当てたファイトとなった。相手が大物になればなるほど、期待が高まる那須川のアドリブ力。スピードをベースに発想力と意外性がシンクロしたときに、人に触らせないディフェンスマスターのメイウェザーが焦るシーンが訪れるかもしれない。

 

 41歳のメイウェザーは“終わった人”ではない。

 昨年8月に一戦限定の復帰を果たし、UFCのスター、コナー・マクレガーとボクシングルールで対戦。10回にTKO勝ちを収めて、連勝記録を50に伸ばした。この試合でメイウェザーは日本円にして330億円を手にしたという。己はリスクを冒さず、涼しい顔を貫いてスピードとテクニックで相手に触らせない。さすがに全盛期の輝きはないが、老かいという言葉がピッタリだ。パンチを当てさせない、負けないファイトは、さすがの一言である。

 

 メイウェザーからしてみれば単なるエキシビジョンマッチとしか捉えていないのかもしれないが、那須川はきっとそう捉えていない。

 エキシビションをエキシビションでは終わらせない。那須川のそんな決意が見えてくるのである。

 

“ジョシカク”にも注目

 

 RIZIN.14の、他のカードも見ていくことにしよう

 那須川との対戦で敗れながらも評価をまた一段と高めた堀口はベラトールバンタム級王者ダリオン・コールドウェルとのRIZINバンタム級初代王者決定戦防衛戦に臨む。コールドウェルはアマレスでオールアメリカンに選ばれるなどのエリート。MMAに転向して5年目の昨年、ベラトールのタイトルを獲得した。レスリングの高い技術に加え、打撃に磨きが掛かる。今年3月にはギロチンチョークで柔術をベースにするレアンドロ・イーゴに快勝するなど、波に乗っている。堀口にとって試練の一戦となることは言うまでもない。

 

 女子も注目はタイトルマッチだ。

 女子のエースに登りつめた浅倉カンナと“急上昇中”浜崎朱加のRIZIN女子スーパーアトム級初代王者決定戦。

 柔道出身の浜崎は、15年10月にアメリカの女子MMA団体Invictaでアトム級王座に就いた実力者だ。今年に入ってRIZINに参戦し、アリーシャ・ガルシア、黒部三奈を退けて今回のタイトルマッチに辿り着いた。

 

 一方、レスリング出身の浅倉は、まさに充実一途。昨年のトーナメントでRENAを破って優勝を果たし、今年7月の再戦でも判定で退けている。ここまで8連勝中と、女王の風格すら漂い始めている。勢いを増している者同士の、ぶつかり合いとなる。

 

 ほかにも長野美香vs.山本美憂、RENAvs.サマンサ・ジャン=フランソワ、真珠・野沢オークレアvs.ヤスティナ・ハバ、ギャビ・ガルシアvs.バーバラ・ネポムセーノと女子も好カードをズラリとそろえている。

 

 また今回の「RIZIN.14」の前に、同日、同会場で午前開催の「RIZIN 平成最後のやれんのか!」も開催される。日本MMA界を引っ張ってきた川尻達也と北岡悟、両者の一戦がメーンとなる。

 

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RIZIN.14放送予定

・12月31日(日) 9:00~ ※「RIZIN 平成最後のやれんのか!」とともに、スカチャン1で完全生中継

 

※このコーナーではスカパー!の数多くのスポーツコンテンツの中から、二宮清純が定期的にオススメをナビゲート。ならではの“見方”で、スポーツをより楽しみたい皆さんの“味方”になります。


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