OB監督就任。新生弓道部、全日本実業団大会で優勝!

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 今年5月、新主将・玉木里奈の下、新たなスタートを切ったダイキ弓道部は、この秋、新監督を迎えた。前任の青野常孝氏からバトンを受けたのは、原田喜美子新監督だ。原田監督は2014年までダイキ弓道部の一員として活躍していた。監督に選ばれたことについて、「驚いています」と言う原田監督に話を聞いた。

 

 選手に寄り添う指導

「10月1日付でダイキ弓道部の監督になりました。新たな弓道部の形を作る上でOBから監督をという話が出て、それで私に白羽の矢が立ったそうなのですが、最初に言われたときには本当に驚きしかありませんでした。これまで指導されていた先生方とは実績も経験もすべての面で足りないことばかり。本当に私でいいのか、と思いました」

 

 原田監督は14年9月で弓道部を引退、その後は丸4年、弓道とは無縁だった。現役部員で原田監督と活動時期が重なっていたのは玉木と山内絵里加、この2人だけだ。

「それこそ、他の3人の部員(山下花凜、松山絵未那、小泉紗季)とは”はじめまして”からでした。引退後はダイキの一社員として弓道部の活動を見ていただけなので、本当に久しぶりです。そういう状況だったのでまずはOB、そして新監督として部の現状把握から始めました」

 

 久しぶりの弓道部、原田監督の目にはどう映ったのか?
「練習はちゃんとしているし、技術ももちろん持っています。でも若いメンバーが揃っているので、ややもすると”楽しい”という方向に流れてしまう。決して”ユルい”わけではないのですが、そうならないように、まずは競技や技術以前、実業団の選手としての心構えについて伝えました。会社を代表して弓道をやっていることの自覚を持ち、人間性を磨き、そこから技術を磨くことが大事だ、と」

 

 原田監督は部員と年齢が近いこともあり、「指導よりもアドバイス」をモットーにしている。また選手時代の経験を生かして、「試合に向けて、どう気持ちを整えて臨むかなど、選手をやっていたからこそ分かることがあります。そういう部分もアドバイスしたい。それがOB監督として私がここにいる意味だと思います」と新しい監督像を描いている。

 

 原田体制の初陣は10月12~14日、明治神宮で行われた第66回全日本実業団弓道大会だった。ここでダイキ弓道部は団体女子の部・産業別戦で優勝を果たした。「ホッとしました」と同大会を振り返り、原田監督はこう続けた。

 

「ダイキ弓道部で勝てたのが嬉しいです。選手として競技はしていないのに、勝っても嬉しいというのは初めての経験です。選手時代、チームが勝っても自分が代表に選ばれていないときには複雑な気持ちになったこともありました。でも今はとにかく結果が出れば嬉しい。監督になったことを一番実感した瞬間です」

 

 歴代最強の弓道部に

 さて、今後、原田監督はどう弓道部を引っ張っていくのか?
「まだ漠然としていますが、若手の底上げをして、それを古参部員の刺激にしたい。そのために県外遠征を増やすなど場数を踏ませて、経験値を積むことが大切だと考えています。今の部員には各々、課題はあるものの、部内に良い教材がいるので日々、勉強になることばかりでしょう。若手は先輩の背中を追いかけ、先輩たちはそれを刺激にしてさらに前に行く。そうした好循環が生まれたら、ダイキ弓道部さらに強くなると思っています」

 

—-目標は?
「弓道部にとって三大タイトルとされる国体、全日本実業団大会、全日本勤労者大会を制することです。当然、そうした大会では選手の心身には相当な負荷がかかります。監督の私はそれを近くで支えられる存在でありたいと思っています。そして最高の結果を残してみんなの笑顔が見られたらいいですね」

 

 最後に主将の玉木にも話を聞いた。昨年、地元開催の「えひめ国体」で予選落ちを喫し、そのリベンジを狙った今年の福井国体は、玉木と山内が県代表に選ばれたもののブロック大会で敗れて本戦出場を果たせなかった。「来年は愛媛、福井、両大会のダブルリベンジです」と言い、こう続けた。

 

「福井国体に出場できなかったのは相当に悔しいことでした。でもそれを無駄にしないように、と今は切り替えて前を向いています。何がダメだったのかを全員が考えて、一から基礎に戻ってやり直しています。新体制になって、社内でも”弓道部、なんか新しくなったんだね?”と話題にしてくれる人も多いんです。そういう状況の中、私には目標があります。それは歴代の弓道部を超えて、最強になること。社内に昔の賞状が飾られていて、いつも”先輩たち強かったんだ”と思うんですが、それを超えたい。そして”今の弓道部、歴代を超えた”と言われたいんです」

 

 新体制で歩みだしたダイキ弓道部、19年秋、リベンジの舞台は茨城国体だ。実りの秋に向かうダイキ弓道部の一歩一歩から目が離せない。

 

(取材・文/SC編集部・西崎)

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