ツーウェイ・プレイヤー(二刀流)の衝撃の大きさが投票結果に表れている。

 

 

 MLBア・リーグの新人王に大谷翔平(エンゼルス)が選ばれた。当初はヤンキースの内野手ミゲル・アンドゥハーと接戦になると見られていたが、フタを開けてみると137ポイント対89ポイントで大谷の圧勝だった。30票ある1位票のうち25票を大谷が獲得した。もちろん二刀流での新人王受賞はメジャーリーグ史上初めてである。

 

 日本人としては野茂英雄(95年ドジャース)、佐々木主浩(2000年マリナーズ)、イチロー(01年同)以来、4人目の新人王受賞である。メディアには「快挙」の文字が躍っていたが、大谷の日本での実績と実力をもってすれば、そう驚くことではない。

 

 アンドゥハーの27本塁打は見事だが、606打席を要している。大谷は367打席で22本塁打だ。仮にレギュラーとして出場していれば35本前後のホームランを記録していた計算が成り立つ。大谷本人も「数字だけ見ればバッターの方が貢献できた」と語っていた。

 

 10月に右ヒジじん帯再建手術(トミー・ジョン手術)を受けた大谷は、来シーズンはバッターに専念することになりそうだ。

 

 今季のナ・リーグのホームラン王は38本。ア・リーグは48本。大谷には日本人初のMLBホームラン王の期待がかかる。大谷が憧れるイチローも「大谷はMLBに来た日本人初のホームランバッター」と最大級の賛辞をおくっていた。

 

 驚くのは大谷の志の高さだ。彼は高3の時、「人生の目標シート」なるノートに、こう書いている。

 

「人生が夢をつくるんじゃない。夢が人生をつくるんだ。オレがやらなくて誰がやる」

 

 恐るべき17歳である。今は大谷から夢のおすそ分けをいただいているような気分だ。

 

 打ってはホームラン王、投げてはサイ・ヤング賞。夢は無限に広がる。私たちはまだ壮大な物語の序章の部分を見ているだけかもしれない。

 

<この原稿は2018年12月3日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

 


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