(写真:サドンデスでの“サヨナラ勝ち”を喜ぶサントリーフィフティーン)

 第56回日本ラグビーフットボール選手権準決勝を兼ねたトップリーグ総合順位決定トーナメント準決勝が8日、東京・秩父宮ラグビー場が行われ、レッドカンファレンス2位のサントリーサンゴリアスがホワイトカンファレンス1位のヤマハ発動機ジュビロを延長戦の末に28-25で下した。東大阪市花園ラグビー場ではレッドカンファレンス1位の神戸製鋼コベルコスティーラーズが同3位のトヨタ自動車ヴェルブリッツを31-19で破った。サントリーと神戸製鋼が決勝進出。サントリーは3年連続の2冠に王手をかけた。

 

 王者サントリーが接戦を制し、ファイナルへとコマを進めた。

 

(写真:安定したキックで得点を重ねたギタウ)

 開始早々、ルーキーのWTB尾﨑晟也がインゴール左中間にトライを奪った。SOマット・ギタウの突破から、左サイドの尾﨑に繋ぐ。尾﨑は鋭いステップで内側に切り込んだ。コンバージョンキックをSOマット・ギタウが着実に決めた。サントリーが幸先良く7点をリードした。

 

 対するヤマハも得意のFW戦で優位に立つ。13分に敵陣深くに攻め込み、スクラムからHO日野剛志がトライ。18分には連続攻撃からSH矢富勇毅が繋いでLO大戸裕矢がインゴールに飛び込んだ。2トライ1ゴールでヤマハが12-7と逆転に成功した。

 

(写真:矢冨<中央>は豊富な運動量でボールに絡み続けた)

 ギタウのPGで2点差まで迫ったサントリーだが、アクシデントに見舞われる。28分、ギタウが接触プレーで脳震盪の疑いで一時退場(HIA)。代わりに田村が入った。

 

 FB五郎丸歩のPGで点差を広げられると、37分にも追加点を許した。自陣での田村のキックをFLクワッガ・スミスに猛チャージされる。ボールを奪ったスミスは無人のゴールにトライを挙げた。

 

 サントリーは戦列に戻ってきたギタウが終了間際にPGを決め、13ー22で試合を折り返した。前半はヤマハの圧力に押し負けた印象だった。

 

(写真:五郎丸をかわす尾﨑。この日ハットトリックを達成)

 後半に入って息を吹き返した。7分にSH流大、ギタウとテンポ良く繋いで、最後は左サイドでボールを受けた尾﨑がトライを挙げた。ギタウのコンバージョンも決まり、2点差に詰め寄る。

 

 サントリーはボールを広く展開し、ヤマハの守備網を打ち崩しにかかる。実を結んだのは30分。フィニッシャーは尾﨑だ。左サイドでボールを持った尾﨑は襲い掛かるヤマハの選手たちを押し退け、インゴールに飛び込んだ。

 

 25-22とついに逆転したサントリー。このままリードを守り切りたかったが、ヤマハの反撃に遭う。最後まで集中力を保って、トライは阻んだものの、終了間際に自陣でペナルティーを犯した。「寝起きでも決まる」という五郎丸のPGで追いつかれ、試合は延長戦に突入した。

 

 10分間のサドンデス方式の延長戦。サントリーのキックオフでスタートした。ヤマハがキックで陣地を取り戻したが、サントリーはFB松島幸太朗のゲインで押し返す。4分、ヤマハが痛恨のペナルティー。40m以上の距離はあったものの、ほぼ正面のキックをギタウが決めた。

 

(写真:「今日のことは忘れて来週からハングリーにいく」と気を引き締める沢木監督)

 ゴールが決まった瞬間、サントリーの勝利が確定した。歓喜に沸くサントリーと悲嘆に暮れるヤマハ。勝者と敗者のコントラストが残酷なまでに寒空のピッチ上に映し出されていた。

 

 サントリー沢木敬介監督、ヤマハ清宮克幸監督の両指揮官が「好ゲーム」と称える熱戦は、2連覇中のサントリーに軍配が上がった。「勝ち切れたことが強くなった証」とキャプテンの流は胸を張る。

 

 15日の決勝はリーグ戦で唯一黒星を喫した神戸製鋼が相手だ。「リベンジャーとして勝って終わりたい」と流。神戸製鋼には元オールブラックスのSOダン・カーターがいる。沢木監督は「ウチにはマット・ギタウがいる」と語り、真っ向勝負で3連覇を掴むことを誓った。

 

(文・写真/杉浦泰介)