第97回全国高校サッカー選手権大会決勝戦の青森山田高校対流通経済大学柏高校の一戦が14日、埼玉スタジアムで行われ3対1で青森山田が優勝した。青森山田は2度目の大会制覇となった。試合は前半32分に流経大柏のDF関川郁万に先制ゴールを許したが、40分、後半18分とMF檀崎竜孔の2ゴールで逆転。さらに43分には途中出場したFW小松慧のゴールでダメを押した。

 

 サイド攻撃が冴えて逆転勝ち(埼玉スタジアム)

青森山田 3-1 流経大柏

【得点】

[流] 関川郁万(32分)

[青] 檀崎竜孔(40分、63分)、小松慧(88分)

 

 夏のインターハイで2回戦敗退をした青森山田が冬の選手権の頂点に立った。

 

 序盤は流経大柏にチャンスを作られた。5分にはMF熊澤和希のロングスローから関川にシュートを放たれた。7分にはMF岡本竜の左サイドからのクロスをファーサイドでFW左部開斗に頭で合わされた。いずれも得点には至らなかったがものの開始当初は流経大柏のシンプルな攻撃に手を焼いた。

 

 32分、流経大柏は右CKのチャンスを得る。キッカーのMF八木滉史が右足でストレートのクロスを入れる。これにエリア後方から飛び込んだ関川がどんぴしゃりのタイミングで頭で合わせて流経大柏が先制した。2年生の時からすでにJ1の鹿島アントラーズに内定していたセンターバックが得意の空中戦からゴールをこじ開けた。

 

 この得点から8分後、青森山田が流経大柏の一瞬の隙をついた。FW佐々木銀士が素晴らしい動き出しで流経大柏のDFライン右サイドの背後を取り、エリア内に侵入する。十分に敵を引き付けながら味方のあがりを待つと、ファーサイドに走り込んだ檀崎にラストパス。これを10番が左足できっちりと押し込んで青森山田が同点に追いついた。

 

 後半に入ると青森山田がテクニックをいかしたサイド攻撃で流経大柏の守備陣を切り崩しにかかる。レフティーのMFバスケス・バイロンが右サイドから2人を鋭い切り返しで振り切る。グラウンダーのクロスを入れるとファーサイドで待ち構えていた檀崎が右足でシュート。ボールは右ポスト内側に当たりゴールネットを揺らした。J1の北海道コンサドーレ札幌に内定している青森山田のエースが大舞台で結果を残した。

 

 ヘディングが得意な関川を前線にあげてパワープレーを仕掛ける流経大柏。だが、身長192センチのDF三國・ケネディ・エブスらを中心に青森山田はボールを跳ね返し続けた。後半終了間際には小松がダメ押しのゴールを決めて試合を決定づけた。ゲームセットの笛が鳴ると青森山田イレブンはピッチに倒れ込み、喜びを爆発させた。

 

 青森山田のエース・檀崎が喜びを語った。

「6年間、(中学、高校と)青森山田でやってきてよかった。仲間にも感謝したいし、両親にも感謝しています。苦しく、つらい思いをしてきた6年間だったので本当によかった。(同点ゴールは)流し込むだけだと見ている人は思うだろうけど、しっかり決めきれたのはよかったと思います。練習から“一本中の一本”を攻撃陣は心がけてやってきたので、少ないチャンスをものにできてよかったです」

 

 黒田剛監督は試合後、こう選手たちを労った。

「準々決勝、準決勝、決勝と全て先制点を奪われながらの逆転。我々が描いていたゲームプランとは異なった入りを重ねてきたが、選手たちは平常心で追いつき、逆転する精神力があった。自分たちをしっかりコントロールしながら逆転ができるチームに成長した。選手たちの成長をほめてあげたい」

 

 今年も日本サッカー界の宝たちが、きらきらと緑のピッチの上で輝きを放った。3年生はそれぞれの進路先で輝き、2年生、1年生たちは先輩の意志を受け継ぎ来年度にも素晴らしい勇姿を見せてほしい。

 

(文/大木雄貴)