第27回全日本大学女子サッカー選手権大会決勝が20日、東京・西が丘サッカー場で行われ、日本体育大学(関東第3代表)が早稲田大学(関東第2代表)を1―0で破り、4年ぶり17度目の優勝を果たした。試合は後半17分にMF三浦桃(4年)のゴールで日体大が先制。その後はキャプテンのDF大賀理紗子(4年)を中心に守り切った。
 
 三浦、大会MVP獲得(西が丘)
日本体育大学 1―0 早稲田大学
【得点】
(日) 三浦桃(62分)
 

 日体大が名門対決を制し、王座を奪還した。インカレ最多優勝を誇る日体大と、3連覇中の早大。試合は接戦となった。

 

 序盤から日体大が押した。開始早々に立て続けにシュートを放ち、早大ゴールを脅かす。40分にCKのこぼれ球を大賀が詰めるが、シュートはバーの上へ。前半はスコアレスで終えた。一方の早大はサイドを起点にチャンスを作ろうと試みるが、なかなかシュートまでもっていけなかった。

 

 後半に入っても依然として日体大が主導権を握る。16分、FW島村友妃子(4年)の縦パスに反応した李誠雅(1年)がペナルティーエリア内で右足を振り抜いた。シュートはGKの正面をついたが、ゴールの匂いを漂わせる。

 

 すると17分、ついに均衡が破れる。MF今井裕里奈(3年)が左サイドを駆け上がり、MF茨木美都葉(2年)とのワンツーでペナルティーエリア内に侵入した。左足で低くて速いセンタリングを上げると、三浦がダイレクトで合わせた。

 

 三浦のシュートは身を挺して防ごうとしたGK木付優衣(4年)の右を通過し、ゴールネットを揺らした。木付は「シュートが頭に過った」と中への意識が一瞬遅れたという。殊勲のゴールを決めた三浦は「サイドを崩してくれたので当てるだけで良かった。たまたまいたのでラッキーでした」と微笑んだ。

 

 先制された早大は24分にMF松本茉奈加(2年)、34分にMF冨田実侑(2年)、41分にMF八神友梨弥(4年)を投入して流れを変えようとしたものの、最後まで日体大守備陣を打ち破ることはできなかった。

 

 早大は4連覇ならず。守護神の木付は「勝ち続けている中でプレッシャーもあった」と胸中を明かす。この大会限りで現役を引退する木付はなでしこリーグのジェフユナイテッド市原・千葉から移籍してきた選手だ。「自分を受け入れてくれたア女(早大ア式蹴球部女子)のみんなにも、自分のサッカー人生に関わってくださったすべての人に感謝したいです。楽しい思いをさせてもらったので改めて“サッカーっていいな”と思いました」と笑顔で振り返った。

 

 勝った日体大は4大会ぶりの戴冠。就任1年目の小嶺栄二監督は「早稲田大学さんをすごく警戒していた。攻守にクオリティーが高い。期間は短かったですが、しっかりと準備をして戦えた」と胸を張る。指揮官は「今季はなでしこリーグ残留とインカレ奪還と2つの目標を立てた。選手は良くやってくれた」と目標達成を喜んだ。

 

 今季はOGも在籍する日体大FIELDS横浜としてなでしこリーグ1部に参戦した。なんとか残留は果たしたが、リーグ戦は9位、入れ替え戦に回るほど苦戦した。「苦しい試合が多かった。そこで培ってきた最後まで諦めないボールへの執着心などがチームとして成長してきた部分。このインカレで繋がってきた」と大賀。日体大は有終の美で今季を締め括った。

 

(文・写真/杉浦泰介)