メジャーリーグの2008シーズンが1日、全米各地で本格的に開幕した。中日からFA移籍したシカゴ・カブスの福留孝介は地元での開幕戦、「5番・ライト」で先発デビュー。3点ビハインドで迎えた最終回、起死回生の同点3ランを放つなど、3打数3安打1本塁打の活躍をみせた。カブスは延長の末、3−4で敗れた。
 背番号1が圧巻のデビューを飾った。0−3と3点を追う9回無死1、2塁。ミルウォーキー・ブルワーズのクローザー、エリク・ガニエに対してカウントは1−3。ストライクを取りにきた右腕のボールを福留は鋭く一振りした。打球はぐんぐん伸び、カブスファンが陣取る右中間スタンドへ。開幕戦の同点3ランで、完全にシカゴ市民の心をつかんだ。

 日本人選手がデビュー戦で本塁打を放ったのは、松井稼頭央(当時メッツ)、城島健司(マリナーズ)に続き3人目。この日の福留は2回の第1打席でセンターの頭上を破る2塁打を放って、波に乗った。第2打席の四球を挟んで、7回にもブルワーズ先発ベン・シーツの初球をセンター前にはじき返した。3打数3安打3打点1四球、出塁率は10割。4年4800万ドルで請われた実力の片鱗を披露した。

 また、早速、日本人対決が実現したのは、シアトル・マリナーズ対テキサス・レンジャーズ戦。東北楽天からFA移籍したレンジャーズの福盛和男投手が1点ビハインドの7回、2番手で登板する。1死後、迎えた打者は8番・城島健司。ところが福盛は四球を与え、次打者のヒットで1死1、2塁とピンチを広げてしまう。

 ここで打順は1番に返り、イチローが打席へ。勝負の行方が注目されたが、3球目に福盛がワイルドピッチでランナーを2、3塁に進め、ベンチから敬遠の指示が出た。福盛は続く2番ホセ・ロペスに対しても暴投を与え、さらにタイムリーを浴びて3失点で1回も持たず降板した。試合はマリナーズが5−2で勝った。イチロー、城島ともに四球での出塁以外は音なしで、それぞれ3打数ノーヒット、2打数ノーヒットだった。

 一方、日本人野手で福留の他に結果を残したのは新天地で開幕に臨んだサンディエゴ・パドレスの井口資仁。ヒューストン・アストロズ戦に「2番・セカンド」で先発すると、初回の第1打席にセンターへ二塁打を放つ。これを皮切りに3安打の猛打賞をマークした。パドレスは4−0と快勝し、井口とともに幸先のよいスタートを切った。

 2年目を迎えるタンパベイ・レイズの岩村明憲は「1番・セカンド」で先発出場。昨季は開幕から9戦連続安打を放った岩村だったが、今年は5打数無安打だった。しかし、レイズはボルティモア・オリオールズに6−2で勝利し、「デビルレイズ」から「レイズ」と名称変更した新チームの船出を飾った。

 今シーズンよりフィラデルフィア・フィリーズに移籍した田口壮はワシントン・ナショナルズ戦の5回、代打で出場したものの、投ゴロに倒れた。ナ・リーグ東地区連覇を狙うチームも6−11で黒星発進となった。

 なお、新婚でシーズンインを迎えるニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜選手は「8番・DH」で開幕スタメン予定だったが、開幕戦が雨天中止。翌日以降に仕切り直しとなった。

 日本人投手ではマイナー契約から3年ぶりにメジャー復帰を果たしたサンフランシスコ・ジャイアンツの藪恵壹がロサンゼルス・ドジャース戦に3番手で登板した。藪は1回を3人で切ってとる落ち着いた投球で役割を果たした。

 一方、ドジャースからは最終回、クローザーの斎藤隆が登板。右ふくらはぎを痛め、調整の遅れが心配されていたが、危なげなく三者凡退に封じた。試合はドジャースが5−0と4投手の完封リレーで勝利した。

 その他の日本人投手はクリーブランド・インディアンスの小林雅英と、カンザスシティ・ロイヤルズの薮田安彦が登板機会なし。広島からドジャースに移籍した黒田博樹は5日のパドレス戦に先発予定だ。既に日本で開幕戦を終えているボストン・レッドソックスは2日に公式戦を再開し、同日のオークランド・アスレチックスには松坂大輔が先発する。