第151回 ラグビーW杯、難敵撃破のヒント
ナショナルチームを「ジャパン」と呼ぶのはラグビーくらいのものだろう。基本的にサッカーは「日本代表」であり、バレーボールは「全日本」だ。
5カ月後に迫ったラグビーW杯日本大会。ジャパンのHC(ヘッドコーチ)ジェイミー・ジョセフは目標を「ベスト8」に置いている。
前回の15年イングランド大会で、ジャパンは南アフリカを破る大金星を含む3勝をあげたが、勝ち点の差で1次リーグ敗退の憂き目に遭った。
ジャパンを躍進させたオーストラリア人のエディー・ジョーンズHCは、現在イングランドを率いている。先のシックスネーションズではランキング上位のアイルランドを32対20で撃破し、日本での成功を予感させた。
過日、エディー・ジャパンの一員だった大野均とヒザを交えて話す機会があった。キャップ数98はジャパン最多である。
「イングランドは侮れませんよ。エディーさんはアメとムチの使い方が抜群に巧い。W杯本番までには優勝を狙えるチームに仕上げてくると思いますよ」
そして、こんなエピソードも。「エディーさんと言えばハードトレーニングですが、朝6時からの練習が1回だけ、行きたくない人間は行かなくていいとなった。アメ0.5、ムチ9.5くらいの割合なだけに、この時のアメはめちゃくちゃ甘く感じられた。僕は行きませんでした。
ところが行った選手に聞くとなぜかパソコンが起動していて、スカイプで誰が来たか、来なかったかがわかるようになっていたというんです。エディーさんは、ひとりでずっとそれを見ていたんでしょうね」
話をイングランド対アイルランド戦に戻そう。ジャパンは2戦目でアイルランドと対戦する。実力差は明白だが「勝てない相手ではない」と大野は言う。
「アイルランドにジョナサン・セクストンという世界最高のSOがいる。イングランドは80分間、彼にプレッシャーを与え続けた。ジャパンもこれをやり通すことができれば……」
エディーからのヒントだ。
<この原稿は『週刊大衆』2019年4月8日号を一部再構成したものです>