(写真:桜の樹の下、アジア太平洋に向け合宿を張った日本女子勢。大会当日にサクラサク!?)

 

 

 コース全長8000ヤード超、世界基準を標榜する「ザ・ロイヤル ゴルフクラブ」は、設計当初から世界に通用する日本人ゴルファーの育成を視野に入れている。そのためトーナメントの開催にも積極的だ。17年には男子下部ツアーのチャレンジトーナメント、18年からは男子ツアーの「全英への道~ミズノオープンatザ・ロイヤル ゴルフクラブ」が行われ、この4月25日~28日の4日間は「第2回アジア・太平洋女子アマチュア選手権(WAAP)」が開催される。"世界基準"を日本女子を含むトップアマがどう攻略するのか、今から注目が集まっている。

 

 日本から8人が出場

 R&Aが主催するアジア・太平洋女子アマチュア選手権は、アマチュア女子ゴルフのさらなる発展と女子アマの成長を目的にして始まった。第1回大会は昨年2月、シンガポールのセントーサゴルフクラブで行われ、今回が2回目の開催となる。優勝者には「エビアン・チャンピオンシップ(7月25日~28日)」「AIG全英女子オープン(8月1日~4日)」、「2020オーガスタナショナル女子アマチュア」(開催日TBA)への出場権利が与えられる。

 

 出場予定選手は90名、日本からは安田祐香、西村優菜、吉田優利、古江彩佳、後藤未有、佐渡山理莉、小倉彩愛、梶谷翼の8名が出場する。大会を前にして4月6~7日の2日間、ザ・ロイヤルGCにて日本選手強化合宿が行われた。今回は大会プレビューを兼ねて、合宿の模様をお伝えしよう。

 

 合宿に参加したのは吉田、後藤、小倉、梶谷の4選手。1日目は合宿の意義についてコース監修者の鈴木規夫プロなどから説明を受けた後、1番ホールから実戦を想定してラウンドを開始した。主催者R&Aでは今大会の優勝スコアを「8アンダーから、状況によっては二桁アンダーもある」と想定している。この日のザ・ロイヤルGCは午後になると海からの風が吹き、難しいコンディションとなった。選手たちは「想定スコアは二桁アンダーと言われているけど、大会当日に風が吹くとスコアはそこまで伸びない」と語った。

 

 風もあり厄介なコンディションだったが、関係者たちは一様に「アマチュアとはいえさすが日本を代表する選手たち。コースの攻め方、攻略法をどんどんと吸収していっている」と口を揃えた。結局、この日は日没が近づいたこともあり14番を終えたところでホールアウトとなった。

 

(写真:必勝を期す日本女子合宿。左から廣戸道場主宰・廣戸聡一、鈴木規夫プロ、吉田優利、梶谷翼、小倉彩愛、後藤未有)

 翌7日はコースではなくザ・ロイヤルGC内の廣戸道場から合宿プログラムがスタートした。「4スタンス理論」に基づいたフィジカルトレーニングが行われ、廣戸聡一トレーナーは選手たちに「これまでのスイング理論などは忘れてください」と語り、選手それぞれの身体特性に合った体の動かし方をイチからレクチャーした。廣戸トレーナーは「正しく安定して立つことなど、自分の体の取扱説明書を今日、手に入れたと思っています」と、トレーニングを締めくくった。

 

 

 ミス想定のリカバリー特訓

 道場を出た選手たちは練習場に立ち寄った後で、ラウンドを開始した。10番ホールからスタートし、前日プレーできなかった15、16、17、18番もラウンドする。同行した鈴木プロは「この位置にピン、あり得るよ」と、各ホールのグリーンで「仮想ピン」を想定して選手たちにパット練習を課していた。前日吹いていた風もなく良好なコンディションとなったが、各選手はあえてグリーン手前のバンカーへ打ち込むなど、実戦でのミスも想定。「情報、そして経験は多ければ多いほどいい」(吉田)と、本番でのリカバリーを見据えての練習を重ねていた。

 

 最後は18番ホールのグリーン上、鈴木プロの「最終日、最終ホールだと思って、ニアピン競争だ」の声でロングパットのアプローチで合宿を締めくくった。

 

 2日間の合宿を終え、4選手は以下のように語った。

 

(写真:小倉彩愛/2000年9月3日、岡山県出身。17年、日本女子オープン3位入賞)

小倉「4スタンス理論のことは以前から知っていて、今回、実際にトレーニングを受けたことで体のことを再確認できました。これから大会当日まで、教えられたことを消化して自分のものにしていきたい。大会に向けて意識するのは、ルーティンを大事にすること。ゴルフは状況によって歩いたり、走ったりとリズムは変わってきますが、テンポは変えないようにしたい」

 

(写真:梶谷翼/2003年9月12日、岡山県出身。16年、世界ジュニア選手権優勝)

梶谷「このコースを実際にラウンドして感じたのは、やはり難しいということ。攻略するためにはこれまでの経験をすべていかす必要があります。合宿初日は風が吹いて特に難しかった。風があるとグリーンも速くなるので、そこも考えないといけない。また体のトレーニングについても新しい話を聞けて新鮮でした」

 

 

 

(写真:後藤未有/2000年9月29日、福岡県出身。18日本女子オープンローアマチュア・8位)

後藤「ザ・ロイヤルGCは2年前、高校合宿のときにラウンドして以来です。相変わらず攻略難易度の高いコースで、ショットの精度が求められます。今回の合宿ではミスを想定してバンカーやラフからのリカバリーにも力を入れました。ここは入れてもいいバンカーなど、実際に回ってみることで知ることも多かった。本番に向けて情報は多いほどいいですから有意義な2日間でした」

 

(写真:吉田優利/2000年4月17日、千葉県出身。18年、日本女子アマ、日本ジュニア選手権優勝)

吉田「千葉出身ということで隣県にあるザ・ロイヤルGCはこれまで数回、プレーしたことがあります。何度来ても海外のコースにいるような感じで、それは雰囲気もそうですが、広いグリーンなど日本にはあまりないコースだということもあります。今回は鈴木プロについていただきラウンドできたので非常に教わることも多かった。さらに廣戸先生から初めて4スタンス理論というものを教えていただいた。体幹、体の軸を意識して、これからのプレーにいかしたいと思います。今年は『プロテストが目標か?』と聞かれることが多いのですが、その前に目の前のことをひとつひとつクリアしていくことが大切。このアジア太平洋もそのひとつです。結果を残して次に進みたいですね」

 

 なお、大型連休の最初に行われるアジア・パシフィック女子アマチュア選手権へのギャラリー入場は無料となっている。8人の日本人選手の雄姿、そしてトップレベルの女子アマが繰り広げる熱戦は、ぜひとも現地で観戦したい。

 

(取材・文/SC編集部西崎 写真/SC編集部)

 

◎大会概要
■大会名:アジア・太平洋女子アマチュア選手権


■開催日程:2019年4月25日(木)~28日(日)
25日(木)予選/第1ラウンド
26日(金)予選/第2ラウンド
27日(土)決勝/第1ラウンド
28日(日)決勝/最終ラウンド

 

■会場:ザ・ロイヤル ゴルフクラブ
茨城県鉾田市大蔵200
TEL. 0291-39-7511

 

■出場人数:90名(予定)
■競技方法:72ホールストロークプレー/個人戦(予選36H後、50位タイまでが決勝に進出)。6431ヤード/パー72(予定)

 

■テレビ放映
ゴルフネットワーク(予定)
4月25日(木)11時~15時(再19時~23時)
26日(金)11時~15時(再19時~23時)
27日(土)11時~15時(再21時~25時)
28日(日)11時~15時(再22時半~25時半)
5月19日(日)深夜 テレビ朝日「GET SPORTS」ハイライト放送予定

 

■観戦について:アジア・太平洋女子アマチュア選手権のギャラリー入場は無料。


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