2000年に設立された大亀スポーツ振興財団が愛媛県スポーツ協会と合併し、4月1日から新体制の「愛媛県スポーツ協会」として県内のスポーツ強化や発展に取り組むこととなった。同財団の大亀孝裕理事長は、合併にあたって以下のように述べている。


「県内のスポーツの向上発展に寄与することを目的に平成12年、2000年に設立された当財団は、18年間を経過いたしました。この間36団体141名の方々を顕彰申し上げますとともに、それぞれの競技団体や選手の皆さんの様々なスポーツ活動に対して支援を行って参りました。県内のスポーツの振興にいささかなりともお役に立てたのではないかと自負しているところでございます。

 

 ご承知のようにえひめ国体以後、本県のスポーツ界は新しいステージに入り、県や県スポーツ協会を中心に取り組みが始まっておりますが、中でも地域スポーツの振興を図っていくことが重要ではないかと考えます。

 

 このような観点からも、県内の各市町スポーツ協会や各競技団体が加盟する県スポーツ協会の役割と責任はますます大きなものとなっており、また中村(時広)会長を中心とする新たな体制でスタートしたところであります。

 

 このような状況の中、私共といたしましては、より地域の実情に即した効果的な支援を行うためには、思い切って私共の資産を全て提供し、県スポーツ協会と一体となって活動することが望ましいと考え、同協会との吸収合併を決断したものでございます。

 

 平成31年4月1日からは、県スポーツ協会において、私共の思いを引継いでいただくことになっておりますので、変わらぬご支援・ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。今後、県スポーツ協会を中心に本県の地域スポーツがますます振興・発展するよう祈念いたしますとともに、弊財団創設以来18年間に亘りまして、関係の皆様方から賜りました格別のご厚情に対しまして改めて心から厚く感謝を申し上げます」

 

 新体制となった県スポーツ協会は株式の運用益を資金として、県内スポーツの強化・普及に務めていくことになる。また、これまで大亀スポーツ振興財団が実施していた「大亀財団スポーツ賞」などの顕彰制度の今後も合併後の課題となっている。県スポーツ協会の寺尾和祝常務理事に話を聞いた。

 

「スポーツ協会と大亀スポーツ振興財団(以下、財団)はもともと目的は同じでした。それは県内スポーツの強化と普及です。今回の合併により新協会は財政面での強化が図れました。そうなると協会+財団は1+1=2ではなく、両者の合併によって3や4、またはそれ以上の大きな効果を生むことが期待できます。

 

 財団が実施していた強化策や顕彰制度について、合併の話が出たときから重要な検討項目でした。18年間続いてきたこれらの制度はスポーツ協会の実施する強化策や顕彰制度との重複を考慮しながら、合併後も継続していく方向で進んでいます。また大亀理事長が地元開催のえひめ国体のときから掲げていた『一町一技』については、県でも3カ年事業で支援していきます。ホッケー、ビーチバレー、クライミングなど多くのスポーツを愛媛県の"お家芸"として強化していきたいですね。

 

 今回の合併によって県スポーツ協会の土台は大変、強固なものとなりました。スポーツ支援の体制が整ったことで、今秋の茨城国体、さらにその先に向けてより愛媛県勢の活躍が期待できます」

 

 寺尾常務理事は、茨城国体の目標を「天皇杯19位以内」としている。地元国体から大きく順位を落とすことのない目標は、強化と選手の世代交代を同時に進めることで実現可能なものだ。新体制のスポーツ協会は各競技団体に対して、これまで以上の支援を実施する。新元号を前にしてより強固な体制になった愛媛県のスポーツ界、2020年の五輪イヤーに向け、より一層の進歩が期待される。

(取材・文/SC編集部・西崎)


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