(写真:第68回住吉大社全国弓道大会、左から尾下、松山、山下、玉木。団体で松山・山下・玉木が優勝。個人も松山が優勝、尾下が2位入賞。)

 5月に入り、ダイキ弓道部の活動が本格化してきた。5月1日に行われた第68回住吉大社全国弓道大会(以下、「住吉大会」という)では団体優勝(松山絵未那・山下花凜・玉木里奈)を飾り、個人でも松山が優勝、尾下絵里加が2位入賞と上々の滑り出しを見せている。


 今回は6月に行われる国体代表最終予選に向けて調整に余念のない弓道部のメンバーから、住吉の優勝及び入賞の4選手に話を聞いた。なお尾下(旧姓・山内)は結婚によりこの5月末でDCMダイキを退社、選手生活にもピリオドを打つことになった。まずはその尾下から。

 

ーーお疲れさまでした。ダイキ弓道部での一番の思い出は?
「ダイキには14年間在籍したので思い出はたくさんあります。まさに弓道漬けの日々で練習も試合もたくさんあって、会社の方々にも応援いただき、その全てが思い出です。その中で一番にあげるとすれば2007年、入部2年目で初めて出場した秋田国体です。遠的で団体5位に入賞するなどいい経験ができました。あとは23歳のときに出場した都城弓まつり全国弓道大会。団体のメンバーには選ばれなかったけど個人戦に出させてもらい、熱くなることなく冷静に弓を引けたのを今でもはっきり覚えています。また団体優勝と個人優勝の二冠となった一昨年(17年)の住吉大会も思い出に残っています」

 

(写真:ダイキ弓道部在籍14年、尾下がこの5月で現役生活に幕。)

--自身の選手生活を振り返ると?
「小学生時代に見た凛々しい袴姿の弓道人、道場のシーンとした雰囲気、そこでスパーンと的にあたったときの音などが弓道に憧れるきっかけでした。それで高1から始めてここまで17年が経ちました。弓道はやればやるほどあたるというものではなく、調子の波がありながら先へ先へと進んでいく競技です。特に実業団では調子が悪くてもほぼ毎月試合がある。悪くても結果を残すためには、ただがむしゃらに引くのではなく、頭を使って考えながら矢を射る必要があります。とても奥深い競技なので、今後も趣味として続けていけたらいいなと思っています。悔いのない競技生活でしたが、最後、住吉大会は勝って終わりたかった。2位になって悔しいのですが、でも負けた相手がダイキ弓道部の後輩(松山)でした。心強い後輩が現れたということで、彼女たちに後を託したい。国体、全国勤労者、全国実業団の三冠を目指して、これからも頑張ってほしいと思います」

 

 次に主将の玉木に聞いた。主将として住吉大会団体優勝を牽引し、国体予選も2次を終えて1位に立っている。
「住吉大会の団体では山下、松山と初めて組んだのですが、想像以上に良いコンビネーションで、まとまりもありました。団体優勝、個人2名入賞と結果を残せたので弓道部としても満足できる結果でした。一番の目標である国体に向けては、昨年、一昨年と悔しい思いをしたので、絶対に今年はリベンジを、と強い気持ちでいます。遠的・近的ともに2位に入った岩手国体(16年)より上、優勝が目標です。そのためにはまず県代表に選ばれないといけないので、予選は本番以上のプレッシャーです。国体への思いが強い分、それが良い方に出るとは限りませんが、国体は一番の目標なので頑張ります。個人としては練習でも本番でも同じテンポで引けるように意識しています。これはずっと続けてきたことですが、それが結果に結びついているので、今後もそこを意識して練習していきたいです」

 

 次は国体予選3位につける山下に練習での心構えについて聞いた。
「国体予選は3年連続4位で代表選手になれず悔しい思いをしているので、今年は1本でも多くあてる、外さないようにと試合に臨んでいます。練習では常に1本1本を丁寧に引くことを意識しています。これまでも丁寧に引いているつもりでしたが、振り返ってみると雑になっている時がありました。練習でできていることが本番ではできないのが弓道の難しいところなので、本番で上ずることがないように練習でも試合同様丁寧に引くよう気をつけたい。あと、最近は相手のことを考え過ぎないようにしています。相手が外してこちらが有利になることがありますが、そのミスを待っているようなメンタルだとあてられたときの反動が大きくなります。相手ではなく自分がどう弓を引くかに集中したいと考えています」

 

(写真:第56回西日本女子弓道大会。初、弐段の部で優勝した松山<左>。)

 最後に住吉大会・個人で優勝を果たした松山。松山は入部2年目、学生時代から届かなかった国体出場を一番の目標に掲げている。
「ダイキ弓道部に入って1年間、練習で培ってきたものが試合でも出せるようになってきました。住吉大会で優勝して良いスタートが切れたと思っていますが、好成績を出したことで気持ちが緩んでしまうこともあるので、気持ちを切り替えて次の試合に臨みたいです。国体には強い思いがある分、練習の成果を出せないこともあるので、普段どおりを心がけていきたいです。実業団選手になってまだまだ足りないことばかりですが、自分がどこまでできるのか、日々追求していくことが楽しくもあります。国体などの大舞台でもうまく弓が引けるようにこれからも練習を頑張っていきたいです」

 

 昨年の福井国体はブロック予選敗退で出場がかなわなかった。秋の茨城国体に向けて部全体で意気上がるダイキ弓道部の今季の活躍に期待したい。

 

(取材・文/SC編集部西崎)


◎バックナンバーはこちらから