
(写真:V2を達成したA東京。優勝賞金5000万円を手にした)
11日、男子バスケットボールリーグ「B.LEAGUE」のCHAMPIONSHIP 2018-19(CS)のファイナルが神奈川・横浜アリーナで行われた。東地区3位(ワイルドカード)のアルバルク東京が同地区優勝の千葉ジェッツふなばしを71-67で下し、2連覇を達成した。2年連続準優勝の千葉は全日本総合選手権に続く、シーズン2冠はならなかった。CSファイナルのMVPは12得点12リバウンド6アシストのSF馬場雄大が受賞した。
エドワーズ、両軍最多の20得点も初V届かず(横浜アリーナ)
千葉ジェッツふなばし 67-71 アルバルク東京
【第1Q】15-16【第2Q】18-19【第3Q】12-29【第4Q】22-7

(写真:3シーズン目のB.LEAGUE。毎年ファイナルで緩急動員数を更新している)
昨シーズンと同一カードとなったCSファイナルは、
過去最多1万2972人の観客が集まった。今シーズン最多勝率、
東地区王者の千葉と昨シーズンのチャンピオンA東京。
アリーナを互いのチームカラー赤で染めた。
先制点はA東京。Cアレックス・カークがオフェンスリバウンドを取り、ゴール下でファウルをもらった。シュートも決まり、バスケットカウント。フリースローも決め、3点プレーで幕を開けた。

(写真:19得点6アシストと奮闘した富樫。セレモニーでは「多少感情的になった」場面も)
対する千葉はエースで司令塔のPG富樫勇樹が出だしからアクセル
全開だ。PFギャビン・エドワーズの得点を演出すると、
ジャンプシュートを決める。得意のフローターシュート、
スリーポイントも決まるなど、第1クォーター(Q)
だけで10得点を挙げた。
千葉は富樫のスピードを生かしたアップテンポなバスケットに加え、スリーポイントシュートも武器である。レギュラーシーズンでリーグ最多の1試合平均86得点の破壊力。第2QではSG田口成浩が爆発した。スリーポイント4本を含む14得点だ。
個の力が躍動した千葉に対し、A東京はチームでバランスよく得点した。インサイドでカークが幅をきかせ、得意のピック&ロールでPG安藤聖哉、SG田中大貴、馬場らがリングにアタックする。カークと田中が9得点、馬場が6得点、安藤が4得点。35―33とリードして折り返した。

(写真:チーム最多の16得点を挙げた田中。内に外にと躍動した)
競った展開が一変したの第3Qだ。PF/
C竹内譲次が連続スリー。一気に勢いに乗った。安藤、
田中が鋭いドライブでインサイドに切り込む。外からはSF/
PFザック・バランスキー、PFミルコ・ビエリツァが決めた。
このQのフィールドゴール成功率は57.9%。
19点差をつけで第4Qを終えた。
昨シーズンのファイナルでは25点差の大敗を喫した千葉。20分間沈黙していたエースが息を吹き返す。富樫のパスを起点にエドワーズ、PFマイケル・パーカーが得点を挙げる。富樫自身は連続スリーを沈めるなど差をつめる。
「スリーポイントを打ち続けることはシーズン中でもやってきたこと。打つべきところで打ち続ける」
身長167cmの背番号2は大きく映った。残り26.5秒でスリーポイントを決め、2点差まで詰め寄った。ブースターのボルテージも最高潮となったが、反撃はここまで。終了間際にフリースロー2本を決めたA東京が71-67で逃げ切った。

(写真:豪快なダンクを叩き込むカーク。15得点9リバウンドをマーク)
A東京49、千葉36。リバウンド数で大きく差が開いた。A東京のルカ・パヴィチェヴィッチHCは「千葉をいかに走らせないことを意識した。そしてその後のオフェンスリバウンドを取らせないようにディフェンスを締めることを最重視した」という。相手のオフェンスリバウンドを6に抑え、カークも「チーム全体で意識した結果」と胸を張った。
今シーズンの千葉は、全日本総合選手権大会3連覇、東地区連覇を果たしたものの、またしてもチャンピオンリングを掴めなかった。大野篤史HCは「自分たちのディフェンスは機能していた。ただポゼッションを許し、少しボールウォッチャーになってしまっていた。シュートを落とした時に最後ボールを取れなかった」と悔やんだ。
富樫は第4Qで猛追したことを踏まえ、「気持ち切らさずやれていた。誰もネガティブな発言をしなかった」とチームを称え、「確実にリーグでもベストだと胸を張って言える」と語った。指揮官は「メンタルタフネスで格段に成長した。彼らにふさわしいコーチにならないといけない」と自らを責めた。

(写真:ブザーが鳴った瞬間、歓喜に沸くA東京。WCからの優勝はリーグ初だ)
これでA東京はリーグ初の連覇を達成した。今シーズンはワイルドカードでのCS参戦。CSはすべてアウェイに乗り込み、中地区と西地区の王者を撃破し、ファイナルで東地区王者を下した。厳しい指導で知られるパヴィチェヴィッチHCも選手を褒める。
「彼らは戦い抜いた。しっかりと準備し、ひとつの方向に団結して戦えた」
キャプテンのSG正中岳城は「タフなシーズンをチーム一丸となって取り組んだ結果」と喜び、トロフィーを誇らしげに掲げた。
(文・写真/杉浦泰介)