(写真:チームマスコットのジャンボくんやリーグを代表する選手たちと記念撮影に臨む富樫<前列右から2番目>)

 15日、男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」の年間表彰式「B.LEAGUE AWARD SHOW2018-19」が東京・六本木ヒルズアリーナで開催された。レギュラーシーズン最優秀選手賞(MVP)にはリーグ最高勝率を記録した千葉ジェッツふなばしの富樫勇樹が選ばれた。レギュラーシーズンベスト5は富樫の他、田中大貴(アルバルク東京)、金丸晃輔(シーホース三河)が3年連続で選出。遠藤祐亮(リンク栃木ブレックス)、ダバンテ・ガードナー(新潟アルビレックスBB)は初受賞だった。

 

 A東京の優勝、大塚商会越谷アルファーズのB2昇格。週末の横浜アリーナでの熱戦を終え、B.LEAGUEは東京でシーズンの締めくくりを行った。レギュラーシーズンのMVPは千葉の司令塔が手にした。

 

 1試合平均14得点、同5.5アシスト。個人スタッツとしては得点王ガードナーの26.7得点、アシスト王のジュリアン・マブンガ(京都ハンナリーズ)の8.5アシストに見劣りするが、チームが52勝8敗で8割6分7厘という史上最高勝率を記録したことを考えれば妥当な選出と言えるだろう。

 

 惜しくも敗れはしたものの、ファイナルで怒涛の追い上げを見せた時、その中心には富樫がいた。ベストタフショット賞を受賞するなど今季は特に勝負強さで際立っており、3連覇した全日本総合選手権大会決勝では延長戦終了間際に逆転スリーポイントを決めた。

 

(写真:父が出演するVTRを見ながら照れ笑いを浮かべる富樫)

 MVP受賞に際し、「チームメイト、コーチングスタッフ、ブースター、フロントスタッフ、B.LEAGUEに関わるすべての人のおかげでコートで思い切りプレーできた」と感謝の意を述べた。

 

 セレモニーでは父・英樹さん、恩師の中村和雄氏らがVTRで登場し、富樫へのコメントを寄せた。中村氏からは「バスケ界のKAZU(三浦知良)になれ」と背中を押され、中学卒業後、アメリカに渡った。日本に帰国後、高卒でbjリーグの秋田ノーザンハピネッツに入団。中村氏の下でプレーした。再びアメリカに渡り、NBAのダラス・マーベリックスとの選手契約までこぎつけたが、試合出場はかなわなかった。

 

 千葉に入団し、B.LEAGUEがスタートしてからはリーグの顔として持ち前のスピードと得点力で牽引している。「167cmという小さい身長だからこそ、たくさんの子どもたちに夢や希望を与えられる」。小柄な男はコートで絶大な存在感を放つ。

 

 日本代表は今年のW杯、来年の東京オリンピック出場権を獲得している。富樫には中心選手と寄せられる期待は大きい。
「みなさんと一緒に日本一丸で戦い、子どもたちに“B.LEAGUEの選手になりたい”“日本代表になりたい”と1人でも多く思えるような環境をつくることが役目。これからも日々努力をし、お手本になれるプレーヤーを目指して頑張ります」

 

(写真:表彰式ではオリンピアン、メダリストがプレゼンターを務め、花を添えた)

 3シーズン目を終え、大河正明チェアマンは「年々試合のタフさが増してきた」と手応えを語る。3年連続で最優秀審判賞を受賞した加藤誉樹もレフェリーの視点でリーグのレベルアップを感じているという。「攻守に渡ってタフにプレーしている。簡単に倒れることが減ってきました」

 

 B1では水曜開催が3倍に増加し、集客面で落ち込むことも予想されたが、終わってみれば3年連続で入場者数を増やしている。大河チェアマンは「『チケットが買えない』という良い意味での苦情もいただきました」と語り、こう続けた。

「アリーナ整備にも努めていきたい。昭和のプロ野球、平成のJリーグと並ぶように令和のB.LEAGUEとして国民的なスポーツになっていきたいと思います」

 

 主な受賞者は次の通り。

 

【レギュラーシーズン最優秀選手賞】

富樫勇樹(千葉ジェッツふなばし) 初

 

【レギュラーシーズンベスト5】

遠藤祐亮(リンク栃木ブレックス) 初
富樫勇樹(千葉ジェッツふなばし) 3年連続3度目

田中大貴(アルバルク東京) 3年連続3度目

ダバンテ・ガードナー(新潟アルビレックスBB) 初

金丸晃輔(シーホース三河) 3年連続3度目

 

【ベストディフェンダー賞】
遠藤祐亮(リンク栃木ブレックス) 2年ぶり2度目

 

【ベスト6thマン賞】

馬場雄大(アルバルク東京) 初

 

【新人賞】

岡田侑大(シーホース三河)

 

【最優秀ヘッドコーチ賞】

ルカ・パヴィチェヴィッチ(アルバルク東京) 2年連続2度目

 

【得点王】

ダバンテ・ガードナー(新潟アルビレックスBB) 27.6点 2年連続2度目

【アシスト王】
ジュアン・マブンガ(京都ハンナリーズ) 8.5アシスト 初

【リバウンド王】

ジョシュ・ハレルソン(大阪エヴェッサ) 12.3リバウンド 初

【スティール王】

中山拓哉(秋田ノーザンハピネッツ) 2.2スティール 初

【ブロック王】

カディーム・コルビー(秋田ノーザンハピネッツ) 2.4ブロック 初
【ベスト3P成功率賞】

石井講祐(千葉ジェッツふなばし) 45.2% 初

【ベストフリースロー成功率賞】

金丸晃輔(シーホース三河) 90.9% 3年連続3度目

 

【BREAK THE BORDER賞】

日本男子代表チーム

 

【ベストタフショット賞】

富樫勇樹(千葉ジェッツふなばし) ※4月13日のアルバルク東京戦(船橋アリーナ)

 

【レギュラーシーズンMIP】

柏木真介(新潟アルビレックスBB) 初

五十嵐圭(新潟アルビレックスBB) 初

 

(文・写真/杉浦泰介)