現地時間18日、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)バンタム級トーナメント準決勝がイギリス・グラスゴーで行われた。WBA王者の井上尚弥(大橋)がIBF王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に2ラウンド1分19秒TKO勝ちした。井上はWBSS決勝進出。WBA王座の2度目の防衛とIBF王座奪取した。また19日に兵庫・神戸ポートピアホテルで行われたIBF世界ライトフライ級タイトルマッチは同級3位の小西怜弥(真正)が王者フェリックス・アルバラード(ニカラグア)に敗れた。小西は2度目の世界挑戦での王座奪取ならず。アルバラードは初防衛に成功した。

 

 スコットランドに初上陸した井上が、その“モンスター”ぶりを遺憾なく発揮した。

 

 IBFがWBA王座を統一戦とする場合、スーパー王者のみに限定しているため、正規王者の井上は対象外となる。今回はIBF世界バンタム級タイトルマッチとなった。ただしWBA側の意向で井上が勝った際には2度目の防衛として認められ、負けた場合は空位となる。

 

 IBF王者のロドリゲスは19戦全勝。WBA王者の井上は17戦全勝。「バンタム級最強決定戦」の名にふさわしく無敗の王者対決だ。井上は青いグローブに青いトランクスのリングコスチュームで臨んだ。「初回すごくプレッシャーをかけてきた」。1ラウンドは距離を詰め、攻めてくるロドリゲスのパンチを浴びる場面もあった。

 

 ただ、この3分間は助走期間に過ぎなかったのか。そう思わせるような戦いを第2ラウンドで見せた。開始30秒を過ぎたあたりで井上の左フックがロドリゲスを襲う。ダウン。カウント8で戦線に戻って来たロドリゲスに井上は左ボディで再びダウンを奪う。顔をしかめるロドリゲス。セコンドに向かって首を振るような仕草を見せたが、再び立ち上がった。

 

 ここで井上は一気に勝負を決める。ロープ際に追い込んで、左ボディ。3度目のダウンでロドリゲスの戦意は完全に喪失。レフェリーが両手を振り、試合を止めた。WBA王座は2度目の防衛。井上はIBF王座に加え、この試合でかかっていたアメリカのボクシング専門誌『ザ・リング』認定ベルトも手にした。

 

「平常心を持って戦おうと思って乗り込んできた。いいパフォーマンスができてホッとしています」
“バンタム級最強”へ。決勝の対戦相手は現WBAスーパー王者となる5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)だ。「キャリアもあってすごく強い選手。どう戦うかはこれから練っていきたい。憧れてきた選手でもあるのでファイナルで戦えることを光栄に思います」

 

(文/杉浦泰介)