IL前期総括「工夫とやりくりも独立リーグの面白さ」
四国アイランドリーグplusの前期シーズンが終了しました。徳島インディゴソックスと高知ファイティングドッグスが最後まで優勝を争った中(優勝は徳島)、香川オリーブガイナーズは序盤のもたつきが響き、前期Vはなりませんでした。戦力面での誤算、それを埋められなかった我々首脳陣のベンチワークも含め、後期の巻き返しに向け、チーム全体でインターバルを有意義に過ごしたいと思っています。
投打の誤算
開幕戦を雨で流してイヤなムードでのシーズンインとなった前期ですが、投打で既存の選手が力を発揮できず、そのまま負けが込んでしまいました。先発投手陣では石田啓介のケガもあって、考えていたローテーションが組めませんでした。その中で森崎友星、畝章真がなかなか勝てないという状況もあり、青柳雄貴を先発に回すなどいろいろとやりくりをしました。森崎は立ち上がりに課題があるものの徐々によくなってきていますし、青柳は先発に回ってからいいピッチングを見せてくれました。まあいろいろとやりくりをして投手陣には負担をかけたと思います。
明るい材料としては後ろを任せた又吉亮文の成長があげられます。コントロールも良くなって、スライダーやチェンジアップなど変化球のキレや精度も上がりました。又吉までにリードした状態でつなげなかったのが敗因のひとつですが、後期はなんとか勝ちパターンを確立して又吉でゲームを締めるという形をひとつでも多くつくっていきたいですね。
野手陣も長打を期待していたクリスになかなか当たりが出ず、打線全体でも打率は悪くないものの得点圏でのタイムリー欠乏に苦しむなど、主導権を握れないゲームが多かったですね。それでも5月に入ると徐々にいい形でゲームをつくれるようになり、連勝するなど状態は上向きました。それでも「ここぞ」というところでミスや凡打があり、下位に沈む格好になりました。
独立リーグはどこもそうですが選手の頭数を揃えるのに限界があります。そうした中で首脳陣は選手の力量を見極めて、やりくりをする手腕が求められる。これは独立リーグの難しさであり、反面で面白い部分でもあります。
後期に向けては岡村瑞希、妹尾克哉、キャプテンの中村道大郎、三好一生など既存の選手の復調を期待しています。新人の宮城竜弥、宮脇廉も面白い存在で、彼らの伸びしろにも注目ですね。宮脇はキャッチャーですがサードもファーストも守れるので、彼のようないきのいい選手がラッキーボーイ的存在として活躍してくれたら、後期は面白いことになると思います。投手陣では新人の青柳、大高歩、谷口魁星がいいボールを放っています。
インターバルはリフレッシュも兼ねたオフ、そのあとは後期に向けた練習の日々になります。ただ主力にケガ人が出ないように、我々首脳陣がうまくコントロールしないといけないと思っています。
今年はインターバルを利用した選抜メンバーによる北米遠征が復活し、香川からも6人が選ばれました。北米遠征は気候やスケジュールなど過酷なものですが、選手それぞれが自覚を持って過ごすことで、アメリカで何かをつかんで帰ってきてほしいですね。
そういえば、NPBでも「勝てない」チームが話題になりましたね。4月は私の古巣・広島が8連敗を喫し、ついこの間までは東京ヤクルトが16連敗でした。1999年、広島のコーチ時代、チームが13連敗したことがありました。先日、当時の監督だった達川光男さんがテレビでそのときのことを喋っていましたが、よく覚えているな、と感心しましたよ。私はあんまり13連敗の記憶がなく、達川さんがテレビに出ているのを見るまで忘れていたくらいです(笑)。大型連敗は決して力が劣っているからではなく、投打のちょっとした歯車が狂って起きるものです。プロですから当然、スキや油断はないんですが、長いリーグ戦ではちょっとした巡り合わせの違いでガタガタガタと負けることがあるんですね。
しかし広島は8連敗からよくまあ立ち直りましたよ。サビエル・バティスタが当たっているし、投手ではクリス・ジョンソンが復活したのも大きい。大瀬良大地や床田寛樹などイキのいい若いピッチャーが勝っているのも盛り返した要因でしょう。クローザーの中崎翔太が勤続疲労なのかちょっとピリッとしないのが気になりますが、地力のある広島が今季もセ・リーグの主役で間違いないでしょう。
オリーブガイナーズは後期にいい形で入れるように、選手一同、インターバルで準備を整えて頑張ります。後期の36試合は暑さもあって、タフな戦いになります。地域が盛り上がるためにも、やはり優勝してナンボだと思っていますので、後期も盛大な応援をよろしくお願いします。
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