(写真:19年入部の西内愛梨。高知県出身、高知工高、広島工大を経てダイキ弓道部へ)

 現在、愛媛県内のスポーツ界は秋の茨城国体に向けて各競技で強化が進められている。ダイキ弓道部も玉木里奈主将の下、日々精進。部内で切磋琢磨に努めているが、この4月、新入部員が加わりさらに層が厚くなった。今回は新入部員の西内愛梨に意気込みを聞いた。

 

 西内は広島工大を卒業後、今季からダイキ弓道部へ加入した。弓道歴は高校1年生から数えて8年になる。高知出身の西内は高知工業高3年時、高知県少年女子代表として長崎国体に出場している。まずは高校時代のことを聞いた。

 

「小学校、中学校と水泳をしていて弓道には縁がありませんでした。高校に入り"何をやろうか"となったとき、叔父が弓道を勧めてくれたことと、見学に行ったときの先輩たちの弓道着姿の凛々しさにあこがれて決めました」

 

 未経験者から国体代表選手にまで成長した西内だったが、転機は高2の冬、最上級生への進級を目前にしたときだった。

 

「入部したときは未経験者だったし、まったくダメでした。徐々にうまくはなっていったのですが、高2の冬にせっかくやり始めた弓道で何か結果を残したいと思ったんです。ただ3年間、部に居たというだけではもったいないな、と。それでインターハイに出たい、国体に出たいという気持ちが強くなり、監督に『強くしてください!』とお願いしました」

 

--強化ポイントは?
「いや、もう全部でした(笑)。いろいろな所を指導されて、直されました。特に左手の使い方、いわゆる手の内に関しては相当に細かく指導を受けました。そのおかげで的中も増え、日に日にうまくなっているという実感はありました。インターハイ予選には非常に自信を持って臨むことができ、惜しくも出場は逃しましたが、そのときの自信が国体につながりました。初の全国大会ということで国体は緊張した部分もありましたが、団体メンバーの他の2人が全国経験者で心強かったことと、強化練習として国体前にいろいろな所に行き、それで技術面でも精神面でも成長し、国体ではプレッシャーもなく、とにかく楽しかった印象です」

 

 周囲の期待に応えて優勝、高知県少年女子三連覇を果たした長崎国体をこう振り返る。

 

「三連覇に向けて周囲からのプレッシャーも感じることなく、いつもどおりに弓を引けた感じでした。予選からずっと全的中だったんですが、それが決勝では外してしまいました。そこで『あ、やっぱり緊張してるんだな』と思いました。でも結果、優勝できて嬉しかったです。高校時代に何か結果を残すという目標も達成できたし、とにかく周囲の方々が喜んでくれていたのを鮮明に覚えています」

 

 高校卒業後、広島工大へ進んだ。進路を決めるにあたって、弓道を続けることを念頭に置き、さらには将来のことも考えて選択したという。

 

「そのときはダイキのような実業団チームの存在を知らなかったので、将来、弓道を活かす道があるとは思っていませんでした。だから大学を出てからのことを考え、高校で学んだことを活かし、さらに将来にもつながる広島工大を選びました。環境コンサルタントやビオトープ管理士になろうと考えていたんです。弓道については当時、国体で勝ったことであの喜びをもう一度味わいたい、弓道を極めてみたいという気持ちが強く、大学で続けることは決めていました」

 

 大学時代、西内は中四国大会新人戦優勝、2年生、3年生時には中四国大会を連覇するなどの活躍を見せた。また広島県代表として17年の愛媛国体、18年の福井国体にも出場している。そして大学卒業後の進路として、西内が選んだのがダイキだった。

 

「大学卒業後は教職や他にもやりたいことがありましたが、ダイキへ進むことを決めたのはダイキの玉木主将の存在が大きかった。主将は広島出身なので、大学時代に『こういう人がいた』という話は聞いていました。本格的に就活を始めた大学3年のときから、主将と話す機会があり、いろいろと話を聞いてもらいました。実業団チームというのはどういうものか、から始まって、ダイキ弓道部の環境など、疑問に思っていたことは全部、教えてもらいました。そうやって話していく中で、この主将と練習できたらいいなと思い、それが進路決定の決め手でした」

 

(写真:愛媛県弓道遠的選手権、西内は女子の部・個人2位入賞)

 ダイキに入った西内は第68回四国弓道選手権大会(5月19日)で個人5位。愛媛県弓道遠的選手権大会(6月30日)で女子の部・個人2位に入賞するなど早速、頭角を現している。ダイキ弓道部に入り、今後の目標を聞いた。

 

「国体でもう一度勝つことと、実業団大会などでの優勝。それ以上に目標にしているのは玉木主将と一緒に代表入りすること、それと主将よりも上の順位に立つことです。主将には一度も勝ったことがありませんから。ダイキ弓道部は全員のレベルが高くて、高校や大学とはレベルが違います。今後は仕事、練習、試合という実業団選手としてのサイクルに慣れ、結果を残したいと思っています。高校の恩師にダイキに入ったことを報告したら『いいチームに入ったね』と言われました。ここでますます弓道を極めていきたいです」

 

 最後に原田喜美子監督に西内評を聞いた。

 

「彼女は経験もあり、実績もある期待の新人です。性格としては内に闘志を秘めるタイプでしょうか。ダイキ弓道部の団体メンバーはここのところ固定されている感があったので、彼女が入ったことでいい刺激になるでしょう。先輩たちもうかうかしていられません」

 

 1年目の西内が起爆剤となり、ダイキ弓道部がより成長することを期待したい。

 

(取材・文/SC編集部・西崎)


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