ニューヨーク・ヤンキースの田中将大が22日、本拠地でのトロント・ブルージェイズ戦で7月9日以来の登板を果たし、6回途中5安打1失点で13勝目(4敗)をあげた。田中は7月9日付で右ヒジ痛を訴えて故障者リスト入り。靭帯の部分断裂と診断され、治療とリハビリを行っていた。ヤンキースは5−2で勝利した。イチローは8番・ライトで出場し、4打数2安打だった。
 本人もチームも、まずは一安心といったところだろう。
 前半戦だけで12勝をあげ、ルーキーながらチームの大黒柱となった田中だが、右ヒジの内側側副靱帯を故障し、戦列を離れた。注射による治療と強化トレーニングに取り組み、この日が75日ぶりのマウンドだった。

 立ち上がりはいきなり連打を浴び、無死一、三塁のピンチ。だが、33本塁打を放っている3番のエドウィン・エンカーナシオンをツーシームで併殺打に打ち取り、1点を失ったものの、最少失点で切り抜ける。

 女房役のブライアン・マキャンのソロで同点に追いついてもらった直後の2回も1死後、6番・サードで先発した川崎宗則にライト線へ二塁打を運ばれ、得点圏に走者を背負った。しかし、下位打線を抑え、勝ち越し点を許さない。ここから徐々に右腕のエンジンがかかってくる。

 3回、打順が上位のホセ・レイエス、ホセ・バティスタに回る攻撃を3者凡退に切ってとると、4回、5回と無安打でスコアボードにゼロを重ねる。5回にヤンキースはブレット・ガードナーのソロアーチで1点を勝ち越し。田中に勝ち投手の権利が巡ってきた。

 6回、2本のヒットを浴び、1死一、二塁となったところでリリーフを仰いだが、70球と省エネ投球で試合をつくった。球速もMAX149キロを記録。スプリットをはじめ、変化球も故障前と変わらぬキレをみせ、不安を払拭した。

 ヤンキースは残り7試合でワイルドカード圏内に4.5差とプレーオフ進出には厳しい状況だ。登板後の右ヒジの状態にもよるが、今季の先発機会は残り1回とみられる。順調すぎるメジャーデビューから一転、苦しい時期も経験した1年目をいいかたちで締めくくりたい。