ニューヨーク・ヤンキースの黒田博樹が4日、本拠地でのボストン・レッドソックス戦に先発し、7回4安打1失点で今季10勝目(8敗)をあげた。これで黒田はロサンゼルス・ドジャースに在籍していた2010年から5年連続2ケタ勝利。自身が持つ日本人投手の連続10勝以上の記録をまた1年更新した。ヤンキースは5−1で勝利した。
 大きな故障をしないタフさ、そして円熟味を増す投球術。この2つが生き馬の目を抜く厳しいメジャーリーグの世界で結果を残し続けている要因だ。今季のヤンキースはCC.サバシア、イバン・ノバら先発陣に故障が相次ぎ、前半戦で12勝をあげたルーキーの田中将大も右ヒジ靱帯の部分断裂で戦列を離れた。そんな中、唯一、開幕からローテーションを守ってきたのが黒田だ。

 今季は4、5月こそ打ち込まれるケースも目立ったが、夏場に入って状態をあげ、後半戦は9試合で7度のクオリティスタート(6回以上3自責点以内)を達成している。この日もチームの連敗を3で止め、プレーオフのワイルドカード争いに踏みとどまる貴重な1勝をもたらせた。

 強打者ぞろいのメジャーリーガーに対し、コーナーをきっちり突いてストライクを先行させ、最後はスプリットやスライダーなどボールになる球を振らせてアウトを重ねる。カウントを整える際にも、内角のボールコースから曲げてストライクを入れる、いわゆる“フロントドア”を駆使するなど、相手に的を絞らせない。この日は95球中73球がストライク。2回から3回にかけては4者連続三振を奪った。どの球種でもストライクがとれる精度の高さが39歳の右腕を支えている。

 ヤンキースはアメリカンリーグ東地区首位のボルチモア・オリオールズに9.5ゲーム差をつけられ、地区優勝は難しい状況だ。だが、ワイルドカードでは圏内まで4ゲーム差で、プレーオフ進出の可能性は残されている。逆転でのポストシーズン出場へ、引退を表明しているデレク・ジーターや、イチローとともにベテランの力で勝負の9月を勝ち抜く。