1日、韓国・仁川でのアジア競技大会は陸上の男子50キロ競歩で谷井孝行(自衛隊)が3時間40分19秒の大会新記録で優勝した。アジア大会で日本競歩初の金メダルを獲得。これにより谷井は来年の世界選手権(中国・北京)代表に内定した。十種競技は日本記録保持者の右代啓祐(スズキ浜松AC)が8088点で金メダルを獲得。3位には中村明彦(スズキ浜松AC)が7827点で3位に入り、銅メダルを手にした。卓球は混合ダブルス準々決勝などが行われ、岸川聖也(ファースト)&福原愛(ANA)組が香港のペアに勝利し、4強入り。3位決定戦がないため、2大会連続のメダルが確定した。
【初の金含む7個のメダルラッシュ 〜陸上〜】

 陸上の日本勢金メダル第1号は男子50キロ競歩の谷井がもたらした。レース序盤、谷井は日本記録保持者の山崎勇喜(自衛隊)と先頭争いを展開した。5キロ毎のペースは22分13秒、22分12秒、22分05秒、22分で入ると、そこからは21分台とペースアップ。山崎とともに他を引き離した。山崎が歩型違反で失格となった後も、外国勢にその差を縮められることなく1位でゴールテープを切った。3時間40分19秒は自己ベストを1分以上更新したものの、日本記録には7秒及ばなかった。五輪は2004年のアテネから3大会、世界選手権は05年のヘルシンキから5大会連続で出場している谷井だが、意外にもアジア大会は今回が初出場。31歳のベテランが、日本競歩界では初のアジア制覇を成し遂げた。谷井はこれで北京行きの切符を手にし、昨年は9位と一歩届かなかった世界大会での入賞以上を目指す。

 トラック種目ではメダルラッシュが続いた。その締めくくりは十種競技だ。2日間かけて実施されるタフな種目を制したのは右代。1日目を終えた時点で、トップと142点差の3位につけていた。後半は右代が得意とする投擲種目が多く控えており、逆転のチャンスは十分にある。最初の110メートルハードルではリードを広げられたが、円盤投げで一気に100点以上詰め寄った。しかし棒高跳びで1位のレオノイド・アンドレーエフ(ウズベキスタン)に153点差まで離された。それでも得意のやり投げで全選手トップの68メートル09を記録し、アンドレーエフに32ポイント差と迫った。最終種目の1500メートルでは、2位をキープ。最後のスパートで2人に抜かれたが、4分43秒73でゴールした。657点を加算した右代は8000点越えでトップに立った。アンドレーエフはこの種目最下位で7879点止まり。「今年は金メダルを獲りにいく年」と語っていた右代。有言実行の金メダルだった。所属チームの後輩である中村は「ここで走らなければ来た意味がない」と1500メートルをぶっち切りで制した。5位から3位にジャンプアップし、銅メダルを掴んだ。

 その他の日本勢は男女400メートルハードルで岸本鷹幸(富士通)と久保倉里美(新潟アルビレックス)が銀メダルを獲得。女子200メートルの福島千里(北海道ハイテクAC)と、女子100メートルハードルの木村文子(エディオン)が、いずれも3位に入った。

<男子400メートルハードル・決勝>
2位 岸本鷹幸(富士通) 49秒81

<男子50キロ競歩>
1位 谷井孝行(自衛隊) 3時間40分19秒 ※大会新 

<男子十種競技>
1位 右代啓祐(スズキ浜松AC) 8088点
3位 中村明彦(スズキ浜松AC) 7827点

<女子200メートル・決勝>
3位 福島千里(北海道ハイテクAC) 23秒45

<女子100メートルハードル・決勝>
3位 木村文子(エディオン) 13秒25

<女子400メートルハードル・決勝>
2位 久保倉里美(新潟アルビレックス) 56秒21

【岸川&福原組が2大会連続の表彰台 〜卓球混合ダブルス〜】

 11年の世界選手権では銅メダルを獲得したこともある岸川&福原ペア。広州大会の準決勝で敗れている香港ペアに雪辱を果たした。第1ゲームを11−8で取った岸川&福原ペアだったが、第2ゲーム8−11、第3ゲームを5−11で落とし、相手にリードを許してしまう。それでも慌てずに第4ゲームを11−9で取り返すと、ファイナルゲームは11−3で片を付けた。準決勝進出を果たし、広州大会に続くメダル獲得を決めた。しかし岸川と福原にとって、険しい道のりはこの後も続く。次戦は昨年の世界選手権を制している北朝鮮のキム・ヒョクボン&キム・ジョン組と対戦する。

【レスリング男子グレコ66キロ級・松本、75キロ級・金久保、ともに銀】

 レスリングは男子グレコ―ローマンスタイル66キロ級の松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)が決勝で敗れ、銀メダルだった。同75キロ級の金久保武大(ALSOK)も決勝で敗れて準優勝だった。